端的に言えば知らぬが仏の意味は「無知は幸せ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
元国語塾講師で、仏教に詳しいライターのトミー先生を呼んです。一緒に「知らぬが仏」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/トミー先生
元国語塾講師で、通信教育で英語と国語の「赤ペン先生」などもやっていた。実はドイツ語が得意で、外国語を学ぶことにより国語を理解するのに役立つと実感している。今回は慣用句の「知らぬが仏」について、語源と意味と使い方を自分でしっかり理解できるよう、わかりやすく解説していく。
「知らぬが仏」の意味や語源・使い方まとめ
それでは早速「知らぬが仏」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。仏様というのは、すべてを悟っている存在なので、喜びも悲しみも怒りもなく、いつも平穏な顔をしていますね。知らなければ仏様のように平静でいられる、というのがこのことわざの基本的な意味ですね。このことわざの由来や使い方について解説しますね。
「知らぬが仏」の意味は?
「知らぬが仏」には、次のような意味があります。手元にある国語辞典には、次のように書かれていますね。
知れば腹も立つが、知らないから仏のように平静でいられる。また、本人だけが知らないで平然としているのをあざけっていう語。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「知らぬが仏」
国語辞典には「知れば腹も立つ」とありますが、「知らぬが仏」が前提としているのは「知らない方がいいこと」だからですね。そのことを知ってしまったら腹が立つ、だから知らない方がマシ、ということなので、「知らぬが仏」という表現は、みんなはそれを知っているのに本人だけが知らないという場合に用いられることが多いのですよ。ですから、国語辞典の解説にありますように、何も知らない本人を少し嘲笑するための用語なのですね。
「知らぬが仏」の語源は?
次に「知らぬが仏」の語源を確認しておきましょう。江戸時代に流行した「いろはかるた」は、平安時代の弘法大師が作った「いろは歌」をもとにしたものですね。この「いろは歌」は、日本語の仮名文字をすべて一つずつ使った短歌ですが、それぞれの仮名にことわざを書いた読み札と、それに合う絵を書いた取り札で遊ぶのですね。
「い」は「犬も歩けば棒に当たる」、「ろ」は「論より証拠」、「は」は「花より団子」ということですが、「し」のところで「知らぬが仏」が登場するのですね。「いろは歌」そのものはこの世のはかなさを歌っているのですが、「いろはかるた」は楽しい遊びですよ。
「知らぬが仏」の使い方・例文
「知らぬが仏」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
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