この記事では「宝の持ち腐れ」を勉強していきます。

みんなが持っているその才能や能力、持っているのに使わないのはもったいないんじゃないか?「宝の持ち腐れ」です。今回紹介する「宝の持ち腐れ」の意味とは、ずばり”力を持っていながら活用しないこと”です。

正しく自信を持って使えるように、「宝の持ち腐れ」の使い方や言葉の意味について、現役日本語教師のスヨメナと一緒に解説していきます。

ライター/スヨメナ

現役日本語教師。対面、オンライン問わず、世界中の国の人に日本語を教えている。ブログでも相手の立場に立って考え、わかりやすく発信していく。

「宝の持ち腐れ」の意味は?

image by iStockphoto

ここではことわざ「宝の持ち腐れ(たからのもちぐされ)」の言葉の意味を覚えていきましょう。

「宝の持ち腐れ」の意味は「能力や才能を持ちながら、使わないでいること」

まず辞書で意味を確認してみましょう。

役に立つ物を持ちながら利用しないこと、また、才能・手腕がありながら活用しないことのたとえ。

出典:精選版 日本語国語大辞典「宝の持ち腐れ」

「宝」とは、その人が持つ能力や才能、技術などのことです。「持ち腐れ」とは、持っていながら腐っている状態を言います。そのため「宝の持ち腐れ」とは、”能力など有益なものがあるにもかかわらず発揮していないこと”の意味です。

また一方で、ものに対して使う場合もあります。高価なものや機能性の高いものなど、やはり価値あるものを所有していながら活かしきれていないことのたとえです。

「宝の持ち腐れは」はもったいないと同じ?

「もったいない」という言葉についても、辞書で確認してみましょう。

\次のページで「「宝の持ち腐れ」の使い方は?」を解説!/

1.有用なのにそのままにしておいたり、むだにしてしまったりするのが惜しい。
2.身に過ぎておそれ多い。かたじけない。
3.不都合である。ふとどきである。もってのほおかである。

出典:小学館 デジタル大辞泉「勿体無い」

1の”有用なのにそのままにしておく”ことは、「宝の持ち腐れ」の意味と同じですね。「もったいない」と「宝の持ち腐れ」は、言い換えて使うことができる類語に当たります。

「宝の持ち腐れ」の使い方は?

image by iStockphoto

「宝の持ち腐れ」の意味がわかったところで、使い方を解説します。

例文で「宝の持ち腐れ」の使い方をチェック!

いくつか「宝の持ち腐れ」を使った例文に触れていきましょう。

1.ずっと続けてきた野球を高校でやらないなんて宝の持ち腐れだと思う
2.優秀な彼を暇にさせるのは、宝の持ち腐れだ
3.母は、最新のスマホを買ったが、電話とLINEしか使わず宝の持ち腐れにしている

1は、野球を長年継続してきたのに、高校では続けないなんてもったいないの意味です。努力して身につけたスキルを活かしきれないのが残念であることが伝わりますね。2は、優秀な人材である彼を暇にさせてしまっていて、非常にもったいないの意味です。優れた人だとわかっているなら、温存させずに活躍させることが会社にとっても良いのではないでしょうか。まさに「宝の持ち腐れ」ですね。

3は、ものに対して使っています。最新のスマホは、高機能だし高いです。それにもかかわらず電話とLINEしか使わない。もったいないですね。価値あるものを活かしきれていないので「宝の持ち腐れ」が当てはまります。

「宝の持ち腐れ」と似たような意味を持つ言葉は?

image by iStockphoto

「宝の持ち腐れ」と似たような言葉があるので、一緒に覚えてしまいましょう。

「猫に小判」:価値がわからないと、何の役にも立たないこと

「猫に小判」の「小判」は江戸時代に使われたお金のことです。猫に小判を与えても、その価値がわからない猫にとっては、小判は何の値打ちもないという例えから、”どんな貴重なものでもその価値を理解できない人には何の役にも立たない”という意味になります。例えば「娘にピアノを買い与えたが、どうやら猫に小判だったようだ」は、高価なピアノも娘にとっては何の価値もないようだということです。良かれと思って買い与えた親のエゴだったことがわかりますね。

「馬の耳に念仏」:言い聞かせても、意味がないこと

「馬の耳に念仏」とは、”何を意見しても全く意味がないこと”です。馬にありがたい念仏を唱えても、その念仏の意味はわからないことが由来になっています。言い換えると、”何を言っても無意味である”ということです。例えば「おじいさんはこの家に愛着を持っており、引っ越しの話については馬の耳に念仏である」であれば、大事な引っ越しの話をおじいさんに言っても無駄であるという意味になります。

「無用の長物」:あっても役に立たず邪魔になるもの

「無用の長物」は「むようのちょうぶつ」と読みます。意味は”あっても役に立たないのみならず、かえって邪魔になるもの”です。例えば「たいして弾きもせず集めたギターが無用の長物になっている」は、ギターがいくつか置いてあるだけで弾いていないのですから、無駄であり、かつ場所をとって邪魔になっているという意味になります。

「宝の持ち腐れ」と反対の意味を持つ言葉は?

image by iStockphoto

「宝の持ち腐れ」と反対の意味を持つ言葉は何があるのでしょうか。いくつか見ていきましょう。

\次のページで「「水を得た魚のよう」:自分に合った場所で生き生きと活躍する様子」を解説!/

「水を得た魚のよう」:自分に合った場所で生き生きと活躍する様子

「水を得た魚のよう」は「みずをえたうおのよう」と読みます。”その人に合った場所で、生き生きと活躍すること”の意味です。魚は水から出てしまうと、何も出来ずぐったりしてしまいますが、水の中に入れば生き返ったように泳ぎ始めますね。こちらが語源です。

例えば「彼は前の職場に復帰してから、水を得た魚のように働き出した」は、彼にとって以前過ごした職場は自分に合っていて、そこに戻ってきた彼は生き生きと働き始めることができたという意味になります。復帰前は居心地が悪い職場で、活躍できなかったのかもしれませんね。

「適材適所」:能力や性質にふさわしい任務を与えること

「適材適所」とは、”その人の能力や性質にふさわしい地位や任務を与えること”です。例えば「彼女の職場では、適材適所の部署に配置されるのは奇跡に近い」は、職員の能力や技術が考慮されず、その人に合った部署に配属されるのは難しいという意味になります。ビジネスにおいては、業績を上げていくために「適材適所」が理想でしょう。人事担当部署の方は、職員の個々の力や能力を把握し「宝の持ち腐れ」にならないような人員配置を心がけることが必要ですね。

「才気煥発」:才能が表に現れること

「才気煥発」は「さいきかんぱつ」と読みます。「才気」は「頭脳の活発な働き」、「煥発」は「火が燃えるように輝き現れること」の意味です。そのため、「才気煥発」は”優れた才能が表に現れること”を表します。例えば「彼女はファッション業界で若くして才気煥発し、一躍有名となった。」です。こちらは、彼女は若いながらもファッション分野において、持ち前の魅力や才能が外に現れ有名になったという意味になります。

「宝の持ち腐れ」の意味を理解して正しく使ってみよう!

この記事では「宝の持ち腐れ」の意味や使い方・類語・対義語などを説明しました。「宝の持ち腐れ」は、能力や才能を宝に見立て、持っていながらその宝を活かせていない状況を表す言葉でした。また、我々の文化の中で非常に馴染みのある言葉「もったいない」は、「宝の持ち腐れ」と同様の意味だとわかりました。

人は誰でもなにかしら個々の力を持っています。また、その能力を活かせる場所があるはずです。自分に合った場所を見つけ、無駄なく能力を発揮し「才気煥発」することが、生きる喜びになるでしょう。決して「宝の持ち腐れ」にならないよう、自分の能力や得意なことで活躍していってください。

" /> その宝もったいない?「宝の持ち腐れ」正しい意味や使い方・類語など現役日本語教師がわかりやすく解説 – Study-Z
国語言葉の意味

その宝もったいない?「宝の持ち腐れ」正しい意味や使い方・類語など現役日本語教師がわかりやすく解説

この記事では「宝の持ち腐れ」を勉強していきます。

みんなが持っているその才能や能力、持っているのに使わないのはもったいないんじゃないか?「宝の持ち腐れ」です。今回紹介する「宝の持ち腐れ」の意味とは、ずばり”力を持っていながら活用しないこと”です。

正しく自信を持って使えるように、「宝の持ち腐れ」の使い方や言葉の意味について、現役日本語教師のスヨメナと一緒に解説していきます。

ライター/スヨメナ

現役日本語教師。対面、オンライン問わず、世界中の国の人に日本語を教えている。ブログでも相手の立場に立って考え、わかりやすく発信していく。

「宝の持ち腐れ」の意味は?

image by iStockphoto

ここではことわざ「宝の持ち腐れ(たからのもちぐされ)」の言葉の意味を覚えていきましょう。

役に立つ物を持ちながら利用しないこと、また、才能・手腕がありながら活用しないことのたとえ。

出典:精選版 日本語国語大辞典「宝の持ち腐れ」

「宝」とは、その人が持つ能力や才能、技術などのことです。「持ち腐れ」とは、持っていながら腐っている状態を言います。そのため「宝の持ち腐れ」とは、”能力など有益なものがあるにもかかわらず発揮していないこと”の意味です。

また一方で、ものに対して使う場合もあります。高価なものや機能性の高いものなど、やはり価値あるものを所有していながら活かしきれていないことのたとえです。

「宝の持ち腐れは」はもったいないと同じ?

「もったいない」という言葉についても、辞書で確認してみましょう。

\次のページで「「宝の持ち腐れ」の使い方は?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: