この記事では「夢幻泡影」について解説する。

端的に言えば「夢幻泡影」の意味は「人生ははかないものであること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

学習塾経営者で国語が得意なぼすこを呼んです。一緒に「夢幻泡影」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ぼすこ

国立大学教育学部卒業後、学習塾を経営。読書好きが高じて蓄えた幅広い知識と、得意教科である国語力で、四字熟語をわかりやすく解説していく。

「夢幻泡影」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「夢幻泡影」の意味や語源・使い方など、基本的な内容を押さえていきましょう。

「夢幻泡影」の意味は?

「夢幻泡影」について、辞書には次のように記されています。

1.人生は、夢や幻、泡や影のように儚いものであるということ。

出典:大辞林第三版(三省堂)「夢幻泡影」

「夢幻泡影」は、それぞれ儚くパッと消えてしまうようなものを表した漢字を集めてできた四字熟語です。

目が覚めれば消えてしまう「夢」、実在しないのにあるかのように見える「幻」、できたかと思えばすぐに水に溶けてしまう「泡」、光の加減で現れたり消えたり「影」。

どれも実態の掴めない不確かなものばかりですね。それらと同じように、私たち人間の人生も同じように儚いものである、という意味をとてもわかりやすく表現しています。

「夢幻泡影」は、仏教の教えを元にできた四字熟語。そのため、読み方が少し変わっています。「影」の漢字は普通に読むと「えい」ですよね。しかし、仏教では「影」を「よう」と読むことがあるため、「夢幻泡影」も「むげんほうよう」と読みます。「むげんほうえい」でも間違いではないですが、元の読み方をきちんと知っておくと、わかる人には「おっ」と思ってもらえるポイントでしょう。ぜひ気をつけて覚えておきたいですね。

「夢幻泡影」の語源は?

「夢幻泡影」の意味を確認したところで、次にその語源についても見ていくことにしましょう。

「夢幻泡影」の語源は、3世紀以前に大乗仏教の経典として成立した金剛般若経。402年には漢訳されたこの経典の最後に載っているのが、「夢幻泡影」の元になった一節です。その一節がこちら。「一切有為法 如夢幻泡影 如露亦如電 応作如是観(いっさいのういのほう むげんほうようのごとし つゆのごとくまたかみなりのごとく まさにかくのごときかんをなすべし)」

この世のすべてのものは実体のない仮の姿でずっとあるものではないというのに、それをまことのものであり永遠であると勘違いすることから執着してしまう。すべては夢幻泡影だという観念を持たねばならない」という教えです。簡単にすると、「世の中のものに執着しないためにも、すべては儚く消えてしまうものだと思っておくべきだ」というところでしょうか。ついついいろんな欲にとらわれてしまう私には、実に耳が痛いお言葉です。

\次のページで「「夢幻泡影」の使い方・例文」を解説!/

「夢幻泡影」の使い方・例文

では、「夢幻泡影」をどのように使えばよいのか、例文を見ていきましょう。

1.自分の人生が夢幻泡影だとはなかなか気づけないものだ。
2.大病して夢幻泡影を感じた彼は、生き方をがらりと変えた。

「夢幻泡影」は、単に儚くパッと消えてしまうようなものを表現するのではなく、「人生は儚いものである」という教訓めいたニュアンスのある言葉です。ですから、命や一生などの話の中で使うのが適当でしょう。

ファンタジー要素のある漢字が使われていたり、音の響きが素敵な四字熟語ですから、私自身、ゲームや創作物の中で見かけることもあります。しかし、元々は仏教語であることや、人生に関する深い意味のある四字熟語だということを忘れずに使っていきたい言葉だと感じました。

四字熟語として使う以上、漢字の表側だけにとらわれず、その意味もきちんと理解しておく必要がありますね。

「夢幻泡影」の類義語は?違いは?

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「夢幻泡影」に似た意味を持つ言葉とその違いについて見ていきましょう。

「泡末夢幻」

「泡末夢幻(ほうまつむげん)」は「夢幻泡影」が変化してできた四字熟語です。「泡沫」はどちらも「あわ」を表す漢字で、「泡沫」と「夢幻」という儚くすぐ消えてしまうものを重ね合わせて、その儚さを強調しています。

「夢幻泡影」との違いは、「人生は儚いものである」という教訓ではなく、「現実の存在ではなく、儚くすぐ消えてしまうもの」を表すところです。「夢幻泡影」は人生訓の要素が強いため、現在では「儚く、すぐに消えてしまうようなもの」を表すときには、こちらの「泡末夢幻」を使うことが一般的となっています。

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「夢幻泡影」の対義語は?

「夢幻泡影」の対義を持つ言葉ははっきりと定義されていません。そこで、「夢幻泡影」の意味から、対義語となりそうなものを探してみました。

「万古不易」

「万古不易」は、大昔からずっと変わらないもの、を表す四字熟語です。同じような意味を持つ四字熟語に「千古不易」というものもあります。儚くすぐ消えてしまう「夢幻泡影」に対し、変わらずにあり続けるもの、という意味では対義語と言えるでしょう。

改めてよく考えてみると、人の人生は本当に儚いものであり、「夢幻泡影」はそれをはっきりと表す言葉です。永遠に生きる人はいませんし、たとえ体が丈夫だとか長生きだとか条件が整っていても何かあって儚く消えてしまうのは、生きている以上皆同じ。そう考えれば、「夢幻泡影」の対義になる言葉を作るのは、なかなか難しいことかもしれませんね。

「夢幻泡影」の英訳は?

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「夢幻泡影」が英語でどのように表現されるのでしょうか。意味も踏まえて考えてみましょう。

「Human life is transitory (like the fantasy or the bubble or the shadow .)」

実は「夢幻泡影」にはしっかりとした英訳がないため、意味を主体にした英訳をしてみました。「夢幻泡影」の意味で重要なのは、「人生は儚いものである」という点です。ですから、主語を「人の一生」という意味の「human life」としました。「transitory」は、「はかない、無常な」という英単語です。

「夢幻泡影」の夢などの儚さを表現するものは、必要に応じて後ろから付け足す形になりますが、すべて並べ立てるよりは、どれか一つでも良いのかとも思います。日本の四字熟語だということをあらかじめ伝えた上で、一つ一つの漢字について説明する方が親切かもしれませんね。

「夢幻泡影」を使いこなそう

「夢幻泡影」について、基本的内容や関連する言葉について見てきました。かっこいい漢字が集まった四字熟語ですが、人生に関する深い意味を持つ四字熟語でしたね。その漢字の雰囲気にとらわれるのではなく、意味を正しく理解し、使いこなす必要があると感じました。

「夢幻泡影」の意味のとおり、私たちの人生は儚いものです。その中でいかに学び、いかに生きるか。私は、夢幻や泡のようにさっと消えてしまう人生を、ただ無為に過ごすのではなく、自分に何ができるかを考えるために戒めとなる言葉だと感じました。

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【四字熟語】「夢幻泡影」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「夢幻泡影」について解説する。

端的に言えば「夢幻泡影」の意味は「人生ははかないものであること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

学習塾経営者で国語が得意なぼすこを呼んです。一緒に「夢幻泡影」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ぼすこ

国立大学教育学部卒業後、学習塾を経営。読書好きが高じて蓄えた幅広い知識と、得意教科である国語力で、四字熟語をわかりやすく解説していく。

「夢幻泡影」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「夢幻泡影」の意味や語源・使い方など、基本的な内容を押さえていきましょう。

「夢幻泡影」の意味は?

「夢幻泡影」について、辞書には次のように記されています。

1.人生は、夢や幻、泡や影のように儚いものであるということ。

出典:大辞林第三版(三省堂)「夢幻泡影」

「夢幻泡影」は、それぞれ儚くパッと消えてしまうようなものを表した漢字を集めてできた四字熟語です。

目が覚めれば消えてしまう「夢」、実在しないのにあるかのように見える「幻」、できたかと思えばすぐに水に溶けてしまう「泡」、光の加減で現れたり消えたり「影」。

どれも実態の掴めない不確かなものばかりですね。それらと同じように、私たち人間の人生も同じように儚いものである、という意味をとてもわかりやすく表現しています。

「夢幻泡影」は、仏教の教えを元にできた四字熟語。そのため、読み方が少し変わっています。「影」の漢字は普通に読むと「えい」ですよね。しかし、仏教では「影」を「よう」と読むことがあるため、「夢幻泡影」も「むげんほうよう」と読みます。「むげんほうえい」でも間違いではないですが、元の読み方をきちんと知っておくと、わかる人には「おっ」と思ってもらえるポイントでしょう。ぜひ気をつけて覚えておきたいですね。

「夢幻泡影」の語源は?

「夢幻泡影」の意味を確認したところで、次にその語源についても見ていくことにしましょう。

「夢幻泡影」の語源は、3世紀以前に大乗仏教の経典として成立した金剛般若経。402年には漢訳されたこの経典の最後に載っているのが、「夢幻泡影」の元になった一節です。その一節がこちら。「一切有為法 如夢幻泡影 如露亦如電 応作如是観(いっさいのういのほう むげんほうようのごとし つゆのごとくまたかみなりのごとく まさにかくのごときかんをなすべし)」

この世のすべてのものは実体のない仮の姿でずっとあるものではないというのに、それをまことのものであり永遠であると勘違いすることから執着してしまう。すべては夢幻泡影だという観念を持たねばならない」という教えです。簡単にすると、「世の中のものに執着しないためにも、すべては儚く消えてしまうものだと思っておくべきだ」というところでしょうか。ついついいろんな欲にとらわれてしまう私には、実に耳が痛いお言葉です。

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