
医師「ハーベイ」って何した人?現役講師がわかりやすく解説
ハーベイの血液循環説が登場するまで主に信じられていたのは、古代ギリシアの医師ガレノスの生み出した仮説です。
ガレノスは、「血液は肝臓で作られ、血管を通って全身へ送られる。血液はたどり着いた先で生命活動のために消費される」とみなしていました。体を巡った血液が同じ場所に戻ってくる=循環しているとは考えていなかったのです。
ハーベイは、心臓の収縮によって血液が押し出されていることや、心臓や静脈の弁が血液の逆流を防いでおり血液が一方通行に流れることなどを、たくさんの種類の動物を使って示しました。
さらに、静脈を縛って血流を制限すると心臓に流れる血液が減り、動脈に同じことをすると心臓に血液がたまることも確認。心臓→大動脈→動脈→静脈→大静脈→心臓という血液の流れが存在するということに気づいたのです。
By Unknown author – Sigerist, Henry E. (1965) Große Ärzte, München, Deutschland: J.F. Lehmans Verlag (5. Auflage) (1. Auflage 1958) plate 26 p 120, Public Domain, Link
もっとも、ハーベイは動脈と静脈の間で血液がどのように流れているのかを解明することはできなかったようです。
皆さんご存じの通り、動脈を流れる血液は毛細血管に入り、体の隅々に送られたあと、毛細血管から静脈に流れていきます。毛細血管の太さは10マイクロメートル前後と非常に細く、赤血球がなんとか通り抜けられるほどしかありません。ハーベイの時代には、この毛細血管を見ることのできる手段がなかったのです。
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