古い日記帳から一万円札が出てきたとき、棚から牡丹餅とはまさにこのことだと思わず笑みがこぼれてしまった。
棚から牡丹餅といえば、先日大して営業もしていないのにクライアントから大きな仕事をいただいたところだ。
主力選手の故障による一軍昇格は棚から牡丹餅のこととはいえ、このチャンスを十分に生かさない手はない。
「棚から牡丹餅」をきちんと理解するには、思いがけない幸運の中身が何かを正確につかむことが大切です。特に「思いがけない」の部分を忘れずに押さえておきましょう。
最初の例文での幸運は、日記帳から一万円札が出てきたことです。普通、お金が出てくるのを期待して古い日記帳をめくる人なんていませんよね。
二つめの例文では、それが大きな仕事にあたります。こちらも、積極的に営業攻勢をかけた結果でもないのにというのがポイントです。
最後の例文では、いわゆる「棚ぼた式」に一軍昇格が決定しています。いずれにしても、けっして自分自身の努力などではありません。
「渡りに船」
「渡りに船」は、望んでいたものがタイミングよく与えられる様子を表した慣用句です。そういった意味では、「棚から牡丹餅」と似た意味を持っているといえます。
ここでいう「渡り」が意味するのは、河川を渡ることです。昔は今と違い、大きな河川に橋はあまりかかっていませんでした。
したがって、それらを渡って向こう岸に行くには船に乗って渡してもらうしかなかったというわけです。運良くというのは「棚から牡丹餅」と同じですが、何かを望んでいたという点では異なるといえます。
「干天の慈雨」
「干天の慈雨」もまた、「棚から牡丹餅」の類義語となりえるものです。この慣用句は、日照りの際に降る恵みの雨を意味しています。
つまり、日照り続きで困っているときに幸運にも雨に恵まれたというわけです。こちらも、「棚から牡丹餅」と同じで幸運に恵まれてはいますが、望んでいるものが得られたという点で異なります。
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