この記事では「流言蜚語」について解説する。

端的に言えば流言蜚語の意味は「口づてに伝わる根拠のない情報」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「流言蜚語」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「流言蜚語」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「流言蜚語(りゅうげんひご)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読みは同じですが、「流言飛語」と書くこともありますよ。

「流言蜚語」の意味は?

「流言蜚語」には、次のような意味があります。簡単な意味もありますが、詳しく意味を知っておくと正確な意味を把握できますよ。

1.口づてに伝わる、根拠のないうわさ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

ひと言で意味を表すと「うわさ」ですが、扇動的な宣伝というニュアンスがあります。単なるうわさではなく、何らかの目的をもって意図的に言いふらされたことについても該当する表現です。

人を陥れるための罠として真実ではないうわさを流したり、ありもしない説を広めて民衆の不安を煽ることなどもあります。場合によっては、民衆の不安を煽ることで、何らの商売につなげることもあるかもしれませんね。

「流言蜚語」の語源は?

次に「流言蜚語」の語源を確認しておきましょう。「流言蜚語」は「流言」と「蜚語」とそれぞれに由来を持ち、しだいに合わさって表現されたものとされています。

「流言」は中国の書物「礼記」に由来するもので、周から漢にかけて儒学者によってまとめられたものです。そこには、「久しく相見ず、流言を聞くも信ぜず」という記述があります。「しばらく会っていなくても、うわさを聞いても信じない」という意味になっていますよ。

「蜚語」のほうは、中国前漢の時代に司馬遷によって編纂された歴史書に、「すなわち蜚語あり、悪口を為して小に聞かしむ」として登場します。誰かに聞かせる目的で悪口を広める意味合いです。

\次のページで「「流言蜚語」の使い方・例文」を解説!/

「流言蜚語」の使い方・例文

「流言蜚語」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.先の見えない不景気な世になると、流言蜚語が飛び交いやすい。
2.対立する戦国大名の力を弱めるために、流言蜚語によって民衆の信頼度を下げる策を講じた。

例文の1.は、不景気な世では個人の利益のための行動の一つとして、流言蜚語があるということですね。2.のほうは、戦国時代に流言蜚語を流すことにより、敵対するの国を混乱させることを狙っています。

いずれも、名詞として使われており、「流言蜚語する」というように動詞としてはあまり使われません。また、単なるデマというより相手を貶める目的での行為なので、場面や状況によって使い分ける必要がありますよ。

「流言蜚語」の類義語は?違いは?

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それでは、「流言蜚語」の類義語についての説明です。意味はほぼ同じですが、ニュアンスには違いがあるので、詳しくチェックしていきましょう。

「街談巷語」

「流言蜚語」の類義語には、「街談巷語(がいだんこうご)」があります。意味は、「世間で語られるあてにならないうわさ話」です。「街談」も「巷語」も街などで語られる話という意味があります。ただ、相手を貶める目的はないので、この部分については「流言蜚語」とは違いますよ。

使い方としては、「流言蜚語」と同じく名詞としてのみ使われることが多く、「街談巷語する」という表現はあまりありません。

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「道聴塗説」

もう一つの類義語に、「道聴塗説(どうちょうとせつ)」があります。こちらも、意味は「根拠のない受け売り」や「いい加減なうわさ話」のことです。「道に聞きて塗(みち)に説く」と読み下し、「道聴」は道で聴くこと、「塗説」は道で話し伝えることを表します。

「流言蜚語」と違う点は、こちらも相手を貶める目的がないことです。どちらかというと、聞いたことをそのまま得意げに話すというニュアンスで、悪意よりも調子のよい感じが当てはまります。

「流言蜚語」の対義語は?

次は、「流言蜚語」の対義語についての説明です。対義語の場合は、もとの四字熟語のどの意味合いの部分について対になっているかに注目して見ていきましょう。

「他言無用」

「流言蜚語」の対義語には、「他言無用(たごんむよう)」があります。意味は、「ある話を他人に漏らしてはいけないということ」です。「他言」は他人に漏らすこと、「無用」はしてはならないことを表しています。

「流言蜚語」がうわさが広まっていくのに対し、「他言無用」のほうは他人に話さないという意味で反対の意味になっていますね。人に聞かれては困るようなことについて、「他言無用である」という使い方をすることが多くなっています。

「真実無妄」

もう一つの対義語には、「真実無妄(しんじつむもう)」があります。意味のほうは、「間違いや嘘ではなく本当のこと」です。「真実」は事実や正しいこと、「無妄」は騙したり偽りのないことを表しています。

「流言蜚語」が真偽のわからなことが広まっていくようすを表すのに対し、「真実無妄」は嘘偽りのない正しいことやようすという意味です。真偽不明と正しいとはっきりしている部分で反対の意味になっていますよ。

「流言蜚語」の英訳は?

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最後に、「流言蜚語」の英訳について見ていきましょう。漢字からくるイメージは含まれませんが、意味としては同じ英訳がありますよ。

「false rumour」

「流言蜚語」の英訳としては、「false rumour」があります。直訳すると「間違ったうわさ」となるので、もとの「流言蜚語」とはほぼ同じ意味で使うことができますよ。ただ、相手を貶める目的でのものかどうかの意味は含まれていないので、この点は使う上で注意が必要です。

ほかには、「groundless rumour」や「canard」という表現もあります。「ground」が地面や土地という意味なので、「groundless」は「地上ではない」という意味から「この世のことではない、根も葉もない」という意味として使われていますよ。

\次のページで「「流言蜚語」を使いこなそう」を解説!/

「流言蜚語」を使いこなそう

今回の記事では「流言蜚語」の意味・使い方・類語などを説明しました。

主な意味は「口づてに伝わる根拠のない情報」ですが、「流言蜚語」には「相手を貶める目的」というニュアンスが含まれていることがポイントになります。とくに、類義語や英訳については、この部分に注意して使い分けるといいですね。

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【四字熟語】「流言蜚語」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「流言蜚語」について解説する。

端的に言えば流言蜚語の意味は「口づてに伝わる根拠のない情報」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「流言蜚語」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「流言蜚語」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「流言蜚語(りゅうげんひご)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読みは同じですが、「流言飛語」と書くこともありますよ。

「流言蜚語」の意味は?

「流言蜚語」には、次のような意味があります。簡単な意味もありますが、詳しく意味を知っておくと正確な意味を把握できますよ。

1.口づてに伝わる、根拠のないうわさ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

ひと言で意味を表すと「うわさ」ですが、扇動的な宣伝というニュアンスがあります。単なるうわさではなく、何らかの目的をもって意図的に言いふらされたことについても該当する表現です。

人を陥れるための罠として真実ではないうわさを流したり、ありもしない説を広めて民衆の不安を煽ることなどもあります。場合によっては、民衆の不安を煽ることで、何らの商売につなげることもあるかもしれませんね。

「流言蜚語」の語源は?

次に「流言蜚語」の語源を確認しておきましょう。「流言蜚語」は「流言」と「蜚語」とそれぞれに由来を持ち、しだいに合わさって表現されたものとされています。

「流言」は中国の書物「礼記」に由来するもので、周から漢にかけて儒学者によってまとめられたものです。そこには、「久しく相見ず、流言を聞くも信ぜず」という記述があります。「しばらく会っていなくても、うわさを聞いても信じない」という意味になっていますよ。

「蜚語」のほうは、中国前漢の時代に司馬遷によって編纂された歴史書に、「すなわち蜚語あり、悪口を為して小に聞かしむ」として登場します。誰かに聞かせる目的で悪口を広める意味合いです。

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