この記事では「身から出た錆」について解説する。

端的に言えば身から出た錆の意味は「自分の行いで苦しむこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「身から出た錆」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「身から出た錆」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「身から出た錆」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「身から出た錆」の意味は?

「身から出た錆」には、次のような意味があります。

自分の犯した悪行の結果として自分自身が苦しむこと。自業自得。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「身から出た錆」

「悪行」というと、人の道に背いたような「犯罪」といった行為をイメージする方が多いのではないでしょうか。しかし、「身から出た錆」は犯罪だけでなく、普段の行いを当てはめることができます。たとえば、いつも嘘ばかりつく人物がいたとしましょう。普段から嘘ばかり言っていると、いざ本当のことを伝えても誰も信じてはくれません。信用もなくなり、自分自身が困った時には誰も助けてはくれないでしょう。孤独になった時、初めて自分の行いを悔やむものです。

自覚がなかったとしても、相手に迷惑をかけるような行いはいけません。相手に与えた辛くて嫌な気持ちは、必ず自分へと返ってくるものです。普段から相手に嫌な思いをさせない、または悪事に手を染めないなど、戒めのために生まれた慣用句といえるでしょう。

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「身から出た錆」の語源は?

次に「身から出た錆」の語源を確認しておきましょう。「身から出た錆」の「身」は「刀身(とうしん)」のことです。「錆」はご存知の通り、金属の表面が酸化して腐食したものを「さび」と言いますよね。日本でも武士が当たり前にいた時代、刀はとても大事な武器でした。手入れを怠れば、刀は当然錆びてしまいます。切れ味が悪くなった刀は使い物になりません。

手入れを怠らなければ錆びないはずの刀。いざ戦わなければいけない時に、鞘から取り出した刀が錆びていれば、相手に隙を与えてしまいます。今までの行いを悔やんでも、刀が元に戻ることはありません。自らの行いによって苦しむ状況を刀から人間にたとえたことが由来とされています。この慣用句から「錆」は「悪い結果」という意味も含まれるようになりました。

「身から出た錆」の使い方・例文

では「身から出た錆」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.赤点を取ったのは身から出た錆だ。試験勉強せず遊んでばかりいた結果だな。

2.政策が大失敗して多くの支持者が離れた。これは身から出た錆だ。

3.会議中に居眠りしてしまった。上司の評価が悪いのは身から出た錆だろう。

4.  暴飲暴食によって健康診断が悪い結果に。身から出た錆ね。

自らの行いを悔やむことで初めて使える慣用句です。当然ではありますが、本人に自覚がない、もしくは周囲のせいにしている場合は使うことができません。自分自身が心から反省している時に使うとよいでしょう。また、他人へ使う場合は、嫌味となる場合があるので注意しなければいけません。

本人は努力しているのに、悪い結果がでた場合に「身から出た錆だな」と言われたら、相手はどう思うでしょうか。おそらく、不愉快にさせてしまうはずです。「身から出た錆」は、あくまで自分自身が苦しんだ場合に使うもの。他人に対する表現として使う場合は注意しましょう。

「身から出た錆」の類義語は?

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では「身から出た錆」の類義語を確認していきましょう。

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「 自業自得 」

「 自業自得(じごうじとく) 」は仏教用語。仏様の教えからできた四字熟語といえますね。自分の行いによって報いを受けることを意味します。「身が出た錆」と全く同じ意味であることから、「自業自得」を使う方が多いのではないでしょうか。

「 因果応報 」

「 因果応報 」は「いんがおうほう」と読みます。「因果」は「原因と結果」という意味。こちらも仏教用語で、過去の行いに応じて、さまざまな結果を報いとして受けることを意味します。本来は良い行いをしていれば良い報いが、悪い行いをしていれば悪い報いを受けるので、善悪両方に使える四字熟語でした。しかし、現在では悪い意味として使われる場合が多いです。

「身から出た錆」の対義語は?

では「身から出た錆」を対義語を確認していきましょう。

「徳は孤ならず必ず隣あり」

「徳は孤(こ)ならず必ず隣(となり)あり」は、普段から良い行いをしていれば、必ず助けてくれる人が現れるという意味。自分の行いによって一人で苦しむ「身から出た錆」と違って、「徳は孤ならず必ず隣あり」は必ず助けてくれる人が現れるので、本人が苦しむことはないといっているのです。「徳」は「優れた人格者」を指しており、「孤」は「孤独」を意味しています。人格者は孤独にならないのですから、普段の行いが大事といえる慣用句ですね。

「運否天賦」

「運否天賦」は「うんぷてんぷ」と読みます。こちらは「身から出た錆」とは全くの正反対。人の運命は天が決めることなので、自分では決められないという意味になります。たとえ不運な目にあっても、天が決めたこと。自分は悪くないといっているのです。本人が反省しなくて済む、魔法の四字熟語といえるのではないでしょうか。

「身から出た錆」の英訳は?

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では、「身から出た錆」は英訳すると、どのような表現になるのでしょうか。

\次のページで「「You asked for it 」」を解説!/

「You asked for it 」

「asked for」は「求める」という意味。直訳すると「あなたはそれを求めた」となります。本人が求めていないのに、自分が招いた様子から「身から出た錆」と同じ意味だといえますね。

「You reaped the whirlwind」

こちらは英語のことわざが元になった言葉です。「reap」は「刈り入れる」で、「whirlwind」は「竜巻」という意味。直訳すると「彼は竜巻を刈り入れた」となりますね。竜巻(大きな報い)が自分に返って来た様子から「身から出た錆」として使うことができます。

「身から出た錆」を使いこなそう

この記事では「身から出た錆」の意味・使い方・類語などを説明しました。ニュースを見ていても「身から出た錆」で苦労している方をよく見かけますよね。本来であれば、苦労している姿をみれば共感し、救いの手を差し伸べたくなるはず。しかし、「身から出た錆」の場合は本人に原因があるので、周囲は同情の余地なしとばかりに冷ややかな視線を向けてしまうものです。

「身から出た錆」は決して他人ごとではありません。日々の行いによって、我が身に降りかかる可能性は十分にあります。「身から出た錆」と言われないように、今回学んだことをきっかけに普段の言動や行動を少しだけ見直してみてはいかがでしょうか。

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【慣用句】「身から出た錆」の意味や使い方は?例文や類語を本の虫ライターがわかりやすく解説!

この記事では「身から出た錆」について解説する。

端的に言えば身から出た錆の意味は「自分の行いで苦しむこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「身から出た錆」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「身から出た錆」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「身から出た錆」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「身から出た錆」の意味は?

「身から出た錆」には、次のような意味があります。

自分の犯した悪行の結果として自分自身が苦しむこと。自業自得。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「身から出た錆」

「悪行」というと、人の道に背いたような「犯罪」といった行為をイメージする方が多いのではないでしょうか。しかし、「身から出た錆」は犯罪だけでなく、普段の行いを当てはめることができます。たとえば、いつも嘘ばかりつく人物がいたとしましょう。普段から嘘ばかり言っていると、いざ本当のことを伝えても誰も信じてはくれません。信用もなくなり、自分自身が困った時には誰も助けてはくれないでしょう。孤独になった時、初めて自分の行いを悔やむものです。

自覚がなかったとしても、相手に迷惑をかけるような行いはいけません。相手に与えた辛くて嫌な気持ちは、必ず自分へと返ってくるものです。普段から相手に嫌な思いをさせない、または悪事に手を染めないなど、戒めのために生まれた慣用句といえるでしょう。

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