この記事では「一粒万倍」について解説する。

端的に言えば一粒万倍の意味は「小さなことから大きな成果を得る」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

学習塾経営者で国語が得意なぼすこを呼んです。一緒に「一粒万倍」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ぼすこ

国立大学教育学部卒業後、学習塾を経営。読書好きが高じて蓄えた幅広い知識と、得意教科である国語力で、四字熟語をわかりやすく解説していく。

「一粒万倍」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一粒万倍」の意味や語源・使い方など、基本的な内容を押さえていきましょう。

「一粒万倍」の意味は?

「一粒万倍」について、辞書には次のように記されています。

1.わずかなものが非常に大きく成長することのたとえ。また、少しでも粗末にできないという気持ちをも表す。
2.稲の別名

出典:デジタル大辞泉(小学館)「一粒万倍」

「一粒万倍」の「一粒」は、「ひとつぶ」と読みますね。この一粒は、お米のことを指します。一粒のお米を植えると、成長して万倍にも実る、ということから、「少しのものから大きく成長させる」といったことをたとえるようになりました。

よく目にする「一粒万倍日」も、大きく成長させることを願って、新しい財布の使い始めや、新事業のスタート、引っ越しなど物事の始まりに良い日であるとされているのです。

また、一粒のお米が万倍にもなるのだから、一粒でも無駄にするべきではない、というところから、少しも粗末にすべきでない、という気持ちを表現するのにも使われます。

「一粒万倍」の語源は?

「一粒万倍」の意味を確認したところで、次にその語源についても見ていくことにしましょう。

2〜3世紀ごろ、インドから伝わり中国語に訳された「報恩経(ほうおんきょう)」という仏典。この中に出てくる「世間に利を求むるは、田を耕す者に先んずるはなし。一を種えて万倍す。」という文言が「一粒万倍」の語源となっています。日本で「一粒万倍」という四字熟語の形になったのは、16世紀ごろです。

語源と同じく、「一粒万倍日」も中国が起源となっており、昔の中国で使われていたカレンダーには、「一粒万倍日」がいつなのか、記載されていたそう。現在使われている暦には載っていませんが、天赦日などの吉日と同様、大事にされてきたことがらなのでしょう。今も昔も幸運を呼び込むことにはみなさん余念がないですね。

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「一粒万倍」の使い方・例文

では、「一粒万倍」をどのように使えばよいのか、例文を見ていきましょう。

1.種まきから丹念に世話をしてきたので、今年の稲穂は一粒万倍の実り具合だ。
2.金運アップを期待して、一粒万倍の日に財布を新調した。
3.開業した事業がうまくいくよう、一粒万倍の言葉のように、努力を怠らずにいきたい。

「一粒万倍」は、少しのものを大きく成長させる、または、少しのものから大きな成果を得る、という意味で使われます。米の籾を植えて成長すれば、たくさん稲穂に実りますよね。でも、収穫のための稲を成長させるには、人の手が必要です。ですから、「一粒万倍」は、しかるべき努力をした結果、小さなものが大きくなる、という使い方をする必要があります。

少しのものでも無駄にすべきではない、という意味は、転じて使われるようになった意味なので、一般的ではありません。「一粒万倍というように」「一粒万倍ということばもあるのだから」など、たとえとして文章の中に取り入れると、意味が正しく伝わりやすいですね。

「一粒万倍」の類義語は?違いは?

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「一粒万倍」と似た意味を持つ言葉を探してみました。どんなものがあるのか、早速見ていきましょう。

「一攫千金」

「一攫千金(いっかくせんきん)」は、「一度に千金を攫む(つかむ)」、苦労せずに大きな利益を得ること、という意味の四字熟語です。千金は金1000枚という意味で、大きな利益を得る、という点では、「一粒万倍」と似ていますが、努力すれば実る、という堅実な意味の「一粒万倍」と違い、「一攫千金」は、少ない可能性のものに賭ける、という意味合いが強いので、使い分けに注意しましょう。

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「一粒万倍」の対義語は?

「一粒万倍」の対義となる言葉ははっきりと決められていません。そこで、「一粒万倍」の意味から、対義語となりそうなものを探してみました。

「貪小失大」

「貪小失大(たんしょうしつだい)」は、小を貪りて大を失う、小さな利益にばかりこだわって大きな利益を失うこと、をたとえた四字熟語です。最終的に大きな利益を得る「一粒万倍」と、大きな利益を失う「貪小失大」で結果が正反対になりますね。小さな利益は得てはいるものの、それを上回る大きな利益を失うため、損失の方が大きい場合に使われます。

「貪る(むさぼる)」という漢字は、通常「貪欲」などの熟語でも知っての通り「どん」と読みますが、「貪小失大」の場合には、「たんしょうしつだい」と読みますので、読み方にも要注意の四字熟語です。

「一粒万倍」の英訳は?

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神社などの観光地でも一粒万倍日について書かれていたりするのを目にすることが増えています。「一粒万倍」を説明することも出てくるでしょう。縁起をかつぐことなので、意味も含めて正しく伝えたいですね。どのような表現がふさわしいのでしょうか。

「Even the smallest beginning can generate a greatest profit」

「最小の始まりでさえ、最大の利益を生み出す」という意味の英文で、「一粒万倍」の意味を重視した英訳になります。一般的に使われる「一粒万倍」を表現するには最適でしょう。

「一粒万倍」の成り立ちも説明するならば、「A single seed can eventually produce a great harvest」の表現の方が良さそうです。こちらは、「一粒の種がやがて大きな収穫となる」という意味ですので、より「一粒万倍」を直接的に表現できますよ。

ちなみに「一粒万倍」には、稲の別名の意味もありましたね。英語で米は「rice」ですが、籾は「unhulled rice」、稲は「a rice plant」と少しずつ表現が違うことも覚えておきましょう。

「一粒万倍」を使いこなそう

「一粒万倍」は、小さなものから大きく成長させる、という意味でしたね。ただし、ほっておいても物事は成長するわけではない、ということもわかりました。小さいものを大きく成長させるには普段の努力が必要なようです。一粒万倍日に、宝くじを購入したり、新しい銀行口座を作ったり、新しい勉強を始めたり、自分の店を開店したり、私たちは成就のために動きます。しかし、その幸運を掴むためには、日柄などに気をつけることも大切ですが、結局は自分の努力が大事なのでしょう。

あなたご自身が「一粒万倍」にしたいことは何ですか。稲を育てるように、じっくり成長させていけば、いつかきっと大きな成果になるはずだということを「一粒万倍」という言葉は教えてくれたように、私は感じます。

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【四字熟語】「一粒万倍」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「一粒万倍」について解説する。

端的に言えば一粒万倍の意味は「小さなことから大きな成果を得る」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

学習塾経営者で国語が得意なぼすこを呼んです。一緒に「一粒万倍」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ぼすこ

国立大学教育学部卒業後、学習塾を経営。読書好きが高じて蓄えた幅広い知識と、得意教科である国語力で、四字熟語をわかりやすく解説していく。

「一粒万倍」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一粒万倍」の意味や語源・使い方など、基本的な内容を押さえていきましょう。

「一粒万倍」の意味は?

「一粒万倍」について、辞書には次のように記されています。

1.わずかなものが非常に大きく成長することのたとえ。また、少しでも粗末にできないという気持ちをも表す。
2.稲の別名

出典:デジタル大辞泉(小学館)「一粒万倍」

「一粒万倍」の「一粒」は、「ひとつぶ」と読みますね。この一粒は、お米のことを指します。一粒のお米を植えると、成長して万倍にも実る、ということから、「少しのものから大きく成長させる」といったことをたとえるようになりました。

よく目にする「一粒万倍日」も、大きく成長させることを願って、新しい財布の使い始めや、新事業のスタート、引っ越しなど物事の始まりに良い日であるとされているのです。

また、一粒のお米が万倍にもなるのだから、一粒でも無駄にするべきではない、というところから、少しも粗末にすべきでない、という気持ちを表現するのにも使われます。

「一粒万倍」の語源は?

「一粒万倍」の意味を確認したところで、次にその語源についても見ていくことにしましょう。

2〜3世紀ごろ、インドから伝わり中国語に訳された「報恩経(ほうおんきょう)」という仏典。この中に出てくる「世間に利を求むるは、田を耕す者に先んずるはなし。一を種えて万倍す。」という文言が「一粒万倍」の語源となっています。日本で「一粒万倍」という四字熟語の形になったのは、16世紀ごろです。

語源と同じく、「一粒万倍日」も中国が起源となっており、昔の中国で使われていたカレンダーには、「一粒万倍日」がいつなのか、記載されていたそう。現在使われている暦には載っていませんが、天赦日などの吉日と同様、大事にされてきたことがらなのでしょう。今も昔も幸運を呼び込むことにはみなさん余念がないですね。

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