
「梁冀跋扈」
「梁冀跋扈(りょうきばっこ)」もまた、「生殺与奪」の類義語だといえるものです。この四字熟語はなかなか難しい漢字を使用していますね。
前半の「梁冀」は中国が漢と呼ばれていた時代に登場する人物です。そして、「跋扈」の方は「跋扈将軍」という彼に付けられた役職名から来ています。
時の幼帝に「跋扈」という役職名を与えられた梁冀は激怒し、帝を毒殺してしまったそうです。思い通りにならないのなら、皇帝でさえも亡き者にしてしまう。
そのぐらいの権力が全盛期の梁冀にはあったというわけですね。では、これらの類義語の用法を例文で確認しておきましょう。
我が商社は完全なる「タテ社会」で、上司は部下に対して活殺自在の権力を握っていると言い換えてもいいぐらいです。
こんな片田舎のメーカーでは、地方私立大の単なる学部卒の先輩が社長の姻戚だというだけで梁冀跋扈のごとく振舞っている。
#3 「生殺与奪」の対義語は?

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では、「生殺与奪」の対義語にはどのようなものが考えられるのでしょうか。「生殺与奪」が思いのままに振舞えることを表すのなら、その対義語は思い通りにいかず苦労が続くことを表すはずです。
ここでは、そのような意味合いを持った四字熟語を二つご紹介します。
「千辛万苦」
「千辛万苦(せんしんばんく)」は、さまざまな苦しみや困難を意味する四字熟語です。「生殺与奪」の権を握っている者は、その強大な力を背景に悠然と歩を進めることができるでしょう。
しかしながら、そのような権力を持たない者は、ときにさまざまな苦労を経験します。そんな状況を表すのに「千辛万苦」はぴったりの四字熟語だといえるでしょう。
「悪戦苦闘」
「悪戦苦闘」もまた、「生殺与奪」の対義語ともいえる存在です。こちらの四字熟語は、困難な状況下で強大な敵と必死に戦っている様子を形容しえいます。
そんな様子は、まさに権力者のそれとは真逆のシチュエーションだといえるのではないでしょうか。では、これらの対義語を用いた例文も、ここでチェックしておきましょう。
米国や豪州に武者修行へと出かけたそのゴルフ選手は千辛万苦を乗り越え、つい先日祖国に凱旋した。
英語圏に住む者であっても、高度な専門用語を含む学術書の翻訳につねに悪戦苦闘を強いられるようだ。
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