
端的に言えば「生殺与奪」の意味は「思うがまま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「生殺与奪」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく
現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく
「生殺与奪」の意味は?
国語辞典を開いてみると、「生殺与奪」には次のような意味があります。
生かしたり殺したり、与えたり奪いとったりすること。どうしようと思うままであること。
出典:大辞林 第三版(三省堂)「生殺与奪」
「生殺与奪」とは、文字通り生かしたり殺したり、与えたり奪ったりすることです。しかし、これだけでは一体何が言いたいのかいまいち伝わってきにくいですよね。
そこで、ここに「~を自由に行える」という文言をプラスしてみてください。すると、一気に意味が分かりやすくなってきませんか?
人の命を自由に奪ったり人のものを勝手に奪ったりといった行為は、現代では当然許されるわけではありません。これは、当然もののたとえであり、それが自由にできるほど意のままに振舞える様子をこの四字熟語は表しているのです。
「生殺与奪」の出典・由来は?
次に「生殺与奪」の出典・由来を確認しておきましょう。この四字熟語は、古代中国の「荀子」という書物にある王制篇にその由来があります。
この書物の中で現れるのが、「貴賤、殺生、與奪(こうだつ)は一なり」という記述です。「生殺」はひっくり返って「殺生」に、「与」は旧字体の「與」に置き換わっていますが、ここが由来であることは間違いありません。
このフレーズは全体で、人事や殺生、褒賞や懲罰といった権力も、もとをただせば一つ(=中国皇帝)であることを示しています。
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