この記事では「七転八起」を勉強していきます。

「七転八起」は「しちてんはっき」と読むんです。意味は「失敗してもあきらめずに立ち直ること」です。「7回転んで8回起き上がる」とありますが、数が合わないのは一体どういうことなのでしょうか。その点についても知っておいたほうがいいな。

正しく自信を持って使えるように、「七転八起」の使い方や言葉の意味について、現役日本語教師のスヨメナと一緒に解説していきます。

ライター/ヤマゾー

現役日本語教師。対面、オンライン問わず、世界中の国の人に日本語を教えている。ブログでも相手の立場に立って考え、わかりやすく発信していく。

「七転八起」の意味・語源は?

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ここでは「七転八起」の言葉の意味を覚えていきましょう。

「七転八起」の意味は「失敗してもあきらめずに最後まで頑張ること」

まず辞書で意味を確認しましょう。

1.何回失敗してもくじけず、立ち直ってどこまでもやりぬくこと。ななころびやおき。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「七転八起」

「七転八起(しちてんはっき)」は、漢字のとおり何度転んでも諦めず起き上がる様子から、”失敗してもあきらめずに最後まで頑張ること”を意味します。何回倒しても必ず起き上がる「起き上がり小法師(こぼし)」も、実は「七転八起」を表す縁起物なのです。

同じ意味の言葉として「七転び八起き(ななころびやおき)」があります。こちらのほうが耳なじみがあるかもしれませんね。「七転八起」で「ななころびやおき」と読むこともできるので注意が必要です。

なぜ数が合わない?「七転八起」の語源も知りたい!

「七転八起」は、中国の故事「七顛八起(しちてんはっき)」が語源といわれています。もともと「七”てん”八起」のてんの漢字は「顛」でした。「逆さになる」もしくは「ひっくり返る」という意味です。しかし、日本では「顛」という漢字を使わなくなったため、代わりに「転」を使用しています。

起き上がる回数が転ぶ回数よりプラス1回多いのはなぜでしょうか。中国では「」は大変縁起のいい数字です。それゆえ「七顛八起」になったといわれています。日本でも八は「末広がり」と呼ばれ、繁栄・発展を表すおめでたい漢字ですね。

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要注意!「七転八起」によく似ている「七転八倒」の意味

「七転八起」によく似ている「七転八倒(しちてんばっとう)」という言葉があります。こちらの漢字を見ると、7回転んで8回倒れている様子がわかるでしょう。起き上がれていないのです。つまり「七転八倒」は、”何度も転げ回ってもがいて苦しむこと”を意味します。「七転八起」とは全く意味が違うので要注意ですね。

「七転八起」の使い方は?

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「七転八起」の意味が理解できたところで、使い方を解説します。

例文で「七転八起」の使い方をチェック!

いくつか「七転八起」を使った例文に触れていきましょう。

1.人生は七転八起の連続だ。
2.七転八起して壮大なプロジェクトの成功をおさめた。
3.新しい会社へ行っても、七転八起の精神でがんばってください。

1は、人生は”失敗しては立ち上がることの繰り返し”であるの意味です。平坦な人生などありませんね。常にトライ&エラーの連続なのです。2は、プロジェクト成功の裏には”何回失敗してもあきらめずに最後までやりとげた”こと、つまり「七転八起」の様子が窺えます。

3は、転職するにあたっての励ましの言葉ですね。”はじめのうちは努力が報われなくても、めげずに頑張れば成功する”という意味合いを持ちますので、「七転八起」はこのようにエールを贈る言葉としてふさわしいでしょう。

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「七転八起」と似たような意味を持つ言葉は?

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「七転八起」と似たような言葉があるので、一緒に覚えてしまいましょう。

「栄枯盛衰」:栄えたり衰えを繰り返すこと

「栄枯盛衰(えいこせいすい)」は、”栄えたり衰えを繰り返すこと”です。「栄枯」は「栄えること、衰えること」、「盛衰」は、「盛んになる、衰える」の意味を表します。例えば「栄枯盛衰の世の中だから、浮かれてはいられない」であれば、良いことが起きても、必ず悪いことが起きるから油断できないの意味です。

「不撓不屈」:どんな困難にも屈しないこと

「不撓不屈(ふとうふくつ)」の「撓」も「屈」も「くじける」の意味を表し、共に「不」で否定しています。つまり意味は、”どんな困難にも屈することはない”です。「不撓不屈の精神」という使い方が一般的で、「七転八起」と同じようにあきらめない精神を表します。例えば「今夜は不撓不屈の精神で、課題を終わらせる」は、今夜はなにがあっても徹夜覚悟で課題を終わらせるの意味です。

「捲土重来」:失敗した者が再び盛り返すこと

「捲土重来(けんどちょうらい)」は、「捲土」が土煙で風が巻き上がる様子、「重来」は再びやってくることです。転じて「捲土重来」は、”失敗した者が再び盛り返す姿”を表します。例えば「前回無惨にも敗退したが、一年後には捲土重来を果たした」の意味は、一度敗れたものの、一年後には返り咲いたです。

「七転八起」と反対の意味を持つ言葉は?

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「七転八起」と反対の意味を持つ言葉は何があるのでしょうか。いくつか見ていきましょう。

「刀折れ矢尽きる」:物事に立ち向かう術がなくなること

「刃折れ矢尽きる」は、刀も折れて矢も尽きてしまった状態です。激しい戦の末、武器を失ってしまったら戦えませんね。したがって意味は、”物事に立ち向かう術がなくなること”です。例えば「売上を伸ばすためにあらゆる方法を駆使したが、刃折れ矢尽きてしまった」は、思いつく限りのことはすべて試したが、もはや手段はないことを意味します。

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「万事休す」:施す手段がなくなること

「万事休す(ばんじきゅうす)」は、よく漫画などで使われている言葉ですね。”施す手段がなくなる”ことを表します。例えば「締切日は明日。午前0時を回ったら最後、万事休すである」です。全く仕上がる気配のない資料作成も時間が来たらもはや成す術がなくなります。この状況がまさに万事休すと言えるでしょう。

「絶体絶命」:どうしても逃げられなくなること

「絶体絶命(ぜったいぜつめい)」は、”追いやられて逃げられなくなること”を意味します。「絶体絶命のピンチ」という使い方をすることが多いでしょう。例えば「彼女に借金がバレて絶体絶命のピンチである」は、隠してきた借金が彼女にバレてしまい、言い逃れができない状態を表していますね。

「七転八起」の意味を理解して正しく使ってみよう!

この記事では「七転八起」の意味や語源・使い方・類語などを説明しました。「七転八起」は、何回転んでも起き上がる様子から、”何度失敗しても最後までやり切ること”の意味でした。「七転八倒」とは意味が違うことも頭に入れておいてください。

「絶体絶命」や「刃折れ矢尽きる」のように”追い込まれてどうしようもできない状態”の言葉も勉強しましたね。もし仮にそのような状態に陥ったとしても、「七転八起の精神」で乗り越えることができるかもしれません。最後まであきらめないでください。

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数が合わない!「七転八起」の正しい意味や語源・使い方・類語など現役日本語教師がわかりやすく解説

この記事では「七転八起」を勉強していきます。

「七転八起」は「しちてんはっき」と読むんです。意味は「失敗してもあきらめずに立ち直ること」です。「7回転んで8回起き上がる」とありますが、数が合わないのは一体どういうことなのでしょうか。その点についても知っておいたほうがいいな。

正しく自信を持って使えるように、「七転八起」の使い方や言葉の意味について、現役日本語教師のスヨメナと一緒に解説していきます。

ライター/ヤマゾー

現役日本語教師。対面、オンライン問わず、世界中の国の人に日本語を教えている。ブログでも相手の立場に立って考え、わかりやすく発信していく。

「七転八起」の意味・語源は?

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ここでは「七転八起」の言葉の意味を覚えていきましょう。

1.何回失敗してもくじけず、立ち直ってどこまでもやりぬくこと。ななころびやおき。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「七転八起」

「七転八起(しちてんはっき)」は、漢字のとおり何度転んでも諦めず起き上がる様子から、”失敗してもあきらめずに最後まで頑張ること”を意味します。何回倒しても必ず起き上がる「起き上がり小法師(こぼし)」も、実は「七転八起」を表す縁起物なのです。

同じ意味の言葉として「七転び八起き(ななころびやおき)」があります。こちらのほうが耳なじみがあるかもしれませんね。「七転八起」で「ななころびやおき」と読むこともできるので注意が必要です。

なぜ数が合わない?「七転八起」の語源も知りたい!

「七転八起」は、中国の故事「七顛八起(しちてんはっき)」が語源といわれています。もともと「七”てん”八起」のてんの漢字は「顛」でした。「逆さになる」もしくは「ひっくり返る」という意味です。しかし、日本では「顛」という漢字を使わなくなったため、代わりに「転」を使用しています。

起き上がる回数が転ぶ回数よりプラス1回多いのはなぜでしょうか。中国では「」は大変縁起のいい数字です。それゆえ「七顛八起」になったといわれています。日本でも八は「末広がり」と呼ばれ、繁栄・発展を表すおめでたい漢字ですね。

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