この記事では「疾風迅雷」について解説する。

端的に言えば疾風迅雷の意味は「素早く激しいこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

難関高校受験専門の学習塾講師を10年経験したwhite-sugarを呼んです。一緒に「疾風迅雷」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/white_sugar

文系中心に5教科オールラウンダーとして難関校専門学習塾講師を10年務めた後、引退。開成高校、筑波大学付属駒場高校を筆頭に早慶附属・系属高校など首都圏最難関クラスの高校合格者を多数輩出。

「疾風迅雷」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「疾風迅雷」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「疾風迅雷」の意味は?

まず、「疾風迅雷」は「しっぷうじんらい」と読みますよ。そして、次のような意味を持つ四字熟語です。

素早く激しいさま。速い風と激しい雷の意から。▽「疾風」は激しく速く吹く風。はやて。「迅雷」は激しく鳴る雷。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「疾風迅雷」

風のようにすばやく、雷のように激しいこと。激しい勢いで、すばやく動き回ること。

出典:四字熟語辞典(学研)「疾風迅雷」

激しく吹く風と激しい雷。事態の変化が急なこと、行動が迅速なことなどにたとえる。「疾風迅雷の進撃」

出典:大辞泉(小学館)「疾風迅雷」

「疾」も「迅」も速いという意味です。「全力疾走」や「迅速な対応」という形でよく目にする漢字ですよね。

「疾風」は和語では「はやて」とも読みが当てられており、勢いのついた風のことを指します。「迅雷」は速い雷、転じて激しい雷鳴、雷の轟きの意味です。文字通り速い風と激しい雷を意味します。

そこから「素早く激しいこと」の意味に転用されるようになりました。さらには状況の急変で利用されるシーンも増えています。

「疾風迅雷」の語源は?

次に「疾風迅雷」の語源を確認しておきましょう。自然現象を使った例えですが、中国の古典に由来があるんですよ。

「礼記」という書物の中の玉藻という編が初出と考えられています。なお玉藻は「ぎょくそう」と読んでください。通論, 礼服の規定や礼儀作法を書いたものです。「たまも」と読むと、退治されて那須の殺生石に姿を変えた大妖怪になってしまいます。閑話休題。

「若し疾風迅雷甚雨有らば則ち必ず変ず」という一節ですね。(君子は寝ていたとしても)ひどく風が吹きすさび、激しい雷が鳴り響き、ひどい雨であれば姿勢を変え、(夜中であっても衣類や冠を整えて構えるものだ)というところに当ります。もともとは激しい風と雷の意味だけだったようですね。

「疾風迅雷甚雨」でセットになるのでしょうが、日本語だと四文字の熟語にするほうがおさまりがよいのでしょう。「甚雨」がカットされてしまったようです。

「疾風迅雷」の使い方・例文

「疾風迅雷」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.昼前は穏やかだったのに、今は疾風迅雷の大荒れ模様だ。
2.彼は命からがら逃げた。それはもう、疾風迅雷のごとく。
3.反撃に打って出るや否や、イングランド軍は疾風迅雷の勢いで進軍していった。
4.  社長の退任は疾風迅雷の出来事だったが、現場の人間もようやく落ち着きを取り戻してきたようだ。

例文1は本来の意味で激しい風と雷に見舞われている、悪天候だという意味で使っています。例文2は「素早さ」に重点を当てた使い方ですね。

例文3は勢いづいた様子を表しています。もちろん「速い」という意味も込められていますが、「疾風迅雷」という言葉の力強さの方を前面に押し出してきた印象です。

例文4は状況や事態が急変してしまった、という時の使い方。この使い方をするときには現場が混乱に陥った、大荒れしたというニュアンスを多分に含みます。

\次のページで「「疾風迅雷」の類義語は?違いは?」を解説!/

「疾風迅雷」の類義語は?違いは?

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今度は「疾風迅雷」の類義語をいくつか確認していきましょう。

「霹靂閃電」

「霹靂閃電」の読み方は「へきれきせんでん」です。「疾風迅雷」に比べて画数の多い漢字を使っているのでちょっと難しい印象かもしれませんね。

「霹靂」とは突然の雷鳴のことです。「青天の霹靂」という言い回しが一番なじみ深いでしょう。「閃電」は一瞬カッと光る稲妻のこと。突然稲妻が光り、雷鳴がとどろくといった意味ですね。

こちらも勢いがあって素早いものの例えとしてよく使われます。

「紫電一閃」

雷つながりでもう一つ。「紫電一閃」は「しでんいっせん」と読みます。

「紫電」は紫色に見える電光や稲妻、あるいは研ぎ澄まされた刃を一振りした時に発する光とも。「一閃」はサッときらめくことです。「あっという間」、「一瞬で」という意味ですが、時に鋭さ、怜悧さを伴う四字熟語となります。

疾風迅雷は速さと勢いを感じさせますが、こちらは鋭さという違いがありますね。一方で状況が一瞬で変化する場合にも使用することがあり、この点は疾風迅雷と似通っています。

「電光石火」

ここまで紹介した四字熟語の中では最も知名度が高いであろう、「電光石火」。読み方は「でんこうせっか」。

「電光」は雷の光、「石火」は火打石を打った時に出る火花の事です。どちらもほんの一瞬で消えてしまうことから、「ほんの短い時間」「一瞬」を意味します。

そこから転じてどちらもとても素早いことを意味するようになりました。「電光石火」は「疾風迅雷」と比べて、速さに特化した表現と言えるでしょう。

「迅速果敢」「迅速果断」

「迅速果敢(じんそくかかん)」・「迅速果断(じんそくかだん)」も「疾風迅雷」の同義語と言って差し支えありません。「迅速」は「とても速いこと」、「果敢」・「果断」とは「決断力に優れ、大胆なさま」を意味します。

「疾風迅雷」の対義語は?

辞書的な意味で「疾風迅雷」の対義語として定義されているものはないようですね。なので当てはまりそうなものをご紹介します。

\次のページで「「意気阻喪」」を解説!/

「意気阻喪」

「意気阻喪(いきそそう)」とは意気込みや気力を失ってしまい、勢いがなくなってしまうことです。「意気」とは元気や気力、「阻喪」は挫けて気落ちしてしまうさまを言います。「阻喪は」「沮喪」と表記することも。

「疾風迅雷」は速さと勢いの両方の意味がありましたが、勢いに焦点をあてると「意気阻喪」も対義語と言えなくはないでしょう。

「疾風迅雷」の英訳は?

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では英語では「疾風迅雷」はどのように表記するのでしょうか。探ってみましょう。

「like lightning」

このlikeは「好き」ではなく、前置詞の「~のように」という意味。「lightning」は「稲妻」の意味ですね。日本語でも英語でも、とても速度の速いものの例えに稲妻は使われます。スピード自慢のキャラクターが「ライトニング」という名前を持つことも珍しくありません。

とてもシンプルに「稲妻のように」と表現するのは、日本人でも使いやすいでしょう。lightningの代わりに「whirlwind(旋風)」を使うこともままあります。

「as quick as lightning」

こちらも稲妻を使った表現です。as~asを使っているので「~と同じくらいに」と訳します。「稲妻と同じくらい素早く」という意味です。

「疾風迅雷」を使いこなそう

この記事では「疾風迅雷」の意味・使い方・類語などを説明しました。結構格好いい言葉なので使いたくなるかもしれませんが、乱発するのは教養ある大人としては控えましょうね。

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【四字熟語】「疾風迅雷」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「疾風迅雷」について解説する。

端的に言えば疾風迅雷の意味は「素早く激しいこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

難関高校受験専門の学習塾講師を10年経験したwhite-sugarを呼んです。一緒に「疾風迅雷」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/white_sugar

文系中心に5教科オールラウンダーとして難関校専門学習塾講師を10年務めた後、引退。開成高校、筑波大学付属駒場高校を筆頭に早慶附属・系属高校など首都圏最難関クラスの高校合格者を多数輩出。

「疾風迅雷」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「疾風迅雷」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「疾風迅雷」の意味は?

まず、「疾風迅雷」は「しっぷうじんらい」と読みますよ。そして、次のような意味を持つ四字熟語です。

素早く激しいさま。速い風と激しい雷の意から。▽「疾風」は激しく速く吹く風。はやて。「迅雷」は激しく鳴る雷。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「疾風迅雷」

風のようにすばやく、雷のように激しいこと。激しい勢いで、すばやく動き回ること。

出典:四字熟語辞典(学研)「疾風迅雷」

激しく吹く風と激しい雷。事態の変化が急なこと、行動が迅速なことなどにたとえる。「疾風迅雷の進撃」

出典:大辞泉(小学館)「疾風迅雷」

「疾」も「迅」も速いという意味です。「全力疾走」や「迅速な対応」という形でよく目にする漢字ですよね。

「疾風」は和語では「はやて」とも読みが当てられており、勢いのついた風のことを指します。「迅雷」は速い雷、転じて激しい雷鳴、雷の轟きの意味です。文字通り速い風と激しい雷を意味します。

そこから「素早く激しいこと」の意味に転用されるようになりました。さらには状況の急変で利用されるシーンも増えています。

「疾風迅雷」の語源は?

次に「疾風迅雷」の語源を確認しておきましょう。自然現象を使った例えですが、中国の古典に由来があるんですよ。

「礼記」という書物の中の玉藻という編が初出と考えられています。なお玉藻は「ぎょくそう」と読んでください。通論, 礼服の規定や礼儀作法を書いたものです。「たまも」と読むと、退治されて那須の殺生石に姿を変えた大妖怪になってしまいます。閑話休題。

「若し疾風迅雷甚雨有らば則ち必ず変ず」という一節ですね。(君子は寝ていたとしても)ひどく風が吹きすさび、激しい雷が鳴り響き、ひどい雨であれば姿勢を変え、(夜中であっても衣類や冠を整えて構えるものだ)というところに当ります。もともとは激しい風と雷の意味だけだったようですね。

「疾風迅雷甚雨」でセットになるのでしょうが、日本語だと四文字の熟語にするほうがおさまりがよいのでしょう。「甚雨」がカットされてしまったようです。

「疾風迅雷」の使い方・例文

「疾風迅雷」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.昼前は穏やかだったのに、今は疾風迅雷の大荒れ模様だ。
2.彼は命からがら逃げた。それはもう、疾風迅雷のごとく。
3.反撃に打って出るや否や、イングランド軍は疾風迅雷の勢いで進軍していった。
4.  社長の退任は疾風迅雷の出来事だったが、現場の人間もようやく落ち着きを取り戻してきたようだ。

例文1は本来の意味で激しい風と雷に見舞われている、悪天候だという意味で使っています。例文2は「素早さ」に重点を当てた使い方ですね。

例文3は勢いづいた様子を表しています。もちろん「速い」という意味も込められていますが、「疾風迅雷」という言葉の力強さの方を前面に押し出してきた印象です。

例文4は状況や事態が急変してしまった、という時の使い方。この使い方をするときには現場が混乱に陥った、大荒れしたというニュアンスを多分に含みます。

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