この記事では「奇を衒う」を勉強していきます。

「奇を衒う」の読み方は「きをてらう」です。インパクトのある言葉ですが、「てらう」は耳馴染みのない動詞で意味までなかなか頭に入ってこないでしょう。「奇を衒う」とは、ずばり「相手の注意を引くために、わざと普通ではない言動をすること」です。

正しく自信を持って使えるように、「奇を衒う」の使い方や言葉の意味について、現役日本語教師のスヨメナと一緒に解説していきます。

ライター/スヨメナ

現役日本語教師。対面、オンライン問わず、世界中の国の人に日本語を教えている。ブログでも相手の立場に立って考え、わかりやすく発信していく。

「奇を衒う」の意味は?

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ここでは「奇を衒う」の言葉の正しい意味をしっかり押さえましょう。

「奇を衒う」の意味は「わざと普通ではない言動をすること」

まずは辞書で意味を確認してみましょう。

わざと変わった事をして、他人の注意をひきつけようとする。

出典:精選版 日本国語大辞典 「奇を衒う」

「奇を衒う(きをてらう)」の「奇」は「奇妙」や「奇異」などの熟語で使われています。意味は”普通と違っていること”。「衒う」は、今回はじめて耳にしたという人も少なくないでしょう。動詞「衒う」は、”自分の才能や知識をわざと見せびらかす”という意味合いがあります。

このことから「奇を衒う」は、”相手の注意を引くために、故意に変わったことをする”の意味になるのです。人に使うときは、少しネガティブな表現になります。

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「奇を衒う」の使い方は?

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「奇を衒う」の意味がわかったところで、使い方を解説します。

例文で「奇を衒う」の使い方をチェック!

いくつか「奇を衒う」を使った例文に触れていきましょう。

1.YouTubeでは、奇を衒った動画があふれ、アクセス数を稼いでいる。
2.集客を図るために奇を衒ったイベントを実施してきたが、お客さんは増えなかった。
3.全く奇を衒わないところが、彼のいいところだ。

1は、YouTubeでは、風変わりな動画がたくさんあり注目を浴びているという意味。誰もがやらない、普通ではない企画の動画をみんな見たがりますね。発信力が強いチャンネルは人気です。

2は、集客を増やす目的で、変わったイベントを実施したが効果はなかったという意味になります。新しい試みが失敗に終わったということです。どんなイベントだったんでしょうか。

3は、否定形「奇を衒わない」が使われています。「全く〜ない」ですから、変わったことをしない、素直でピュアなところが彼の長点だという意味ですね。

「奇を衒う」と似たような意味を持つ言葉は?

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「奇を衒う」に関連する似たような言葉があるので、一緒に覚えていきましょう。

「型破り」:常識を超えたやり方をすること

「型破り(かたやぶり)」の意味は、”常識を超えたやり方をすること”です。型にはまらず、常識にも囚われない、そんな人のことを形容するときによく使います。例えば「若くして社長になった彼の発想はいつも型破りで憧れる」であれば、社長の考え方はいつも常識に縛られず自由で憧れるという意味です。

「型破り」はポジティブでもネガティブな場面にも使えます。「型破りな新人が現れた」という使い方は、意外性を持った人物であるのはわかりますが、いい意味か悪い意味かは状況判断になるでしょう。

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「破天荒」:今まで誰もしたことのない様子

「破天荒(はてんこう)」は、”今まで誰もしたことのないことを成し遂げること”の意味。「未曾有」や「前代未聞」と置き換えることができます。例えば「おとなしそうな外見とは違って、彼は破天荒な人として有名だ」です。彼は見た目とは異なり、誰もがなし得なかったことをしてきた人として有名であるという意味を表します。

テレビなどで「破天荒」が”大胆で豪快な感じ”の意味で使われることがありますが、実はこちらは間違いです。メディアにより言葉が一人歩きして意味が変わってしまいました。使うときは注意してください。

「風変わり」:行動や性質が普通と違っていること

「風変わり(ふうがわり)」の意味は、”行動や性質が普通と違っていること”です。例えば「彼女は、風変わりな趣味を持っている」であれば、普通とはちょっと変わった趣味を持っているという意味を表します。「奇を衒う」は関心を引くためにわざと変わったことをしますが、「風変わり」は特に狙いはないです。「風変わりな場所」「風変わりな人」などいい意味でも悪い意味でも特に区別なく使えます

「奇を衒う」と反対の意味を持つ言葉は?

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「奇を衒う」と反対の意味を持つ言葉は何があるのでしょうか。いくつか見ていきましょう。

「正々堂々」:正しい態度で貫くこと

「正々堂々(せいせいどうどう)」は、”正しい態度で立派なこと”を表す四字熟語です。例えば「正々堂々闘って負けたのだから仕方がない」であれば、真っ向勝負で臨んで負けたのだから悔いはないという意味になりますね。スポーツなどの勝負事でよく使われる表現です。”怯えずに向かう”という意味もあります。

「正々堂々」にはネガティブな意味合いはなく、常にポジティブな表現で使う言葉です。

「教科書通り」:理念に忠実である様子

「教科書通り(きょうかしょどおり)」は、”こうあるべきという理念に忠実である様子”を表した言葉。言い換えると”型にはめて実施する”という意味です。例えば「役所の人間は教科書通りの対応だった」であれば、役所の職員はマニュアル通りの対応だった(融通が効かなかった)という意味になります。ネガティブな場面で使われることが多いでしょう。

しかし「まるで教科書通りのお手本となる技術だった」のような例文のときは、”基礎ができている”という捉え方ができ、ポジティブな表現になります

「手垢のついた」:ありふれている様子

「手垢(てあか)のついた」は、”すでに多くの人々によって使用され、ありふれている様子”を例えています。つまり、珍しくないのです。例えば「実習生は、いくら質問をしても手垢のついた回答をする」であれば、質問してもありふれた回答をするという意味になりますね。

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「奇を衒う」の意味を理解して正しく使ってみよう!

この記事では「奇を衒う(きをてらう)」の意味や使い方・類語・対義語などを説明しました。「奇を衒う」は、”気を引くために、普通ではないことをする”という意味でした。ただ変なことをするのではなく、”気をひくため”という目的があることを忘れないでください。

反対の言葉として「正々堂々」「教科書通り」「手垢のついた」も勉強しました。ルールや理念に忠実なことは大切ですが、時には枠組みや型を破って、破天荒にチャレンジしたいものですね。

使用場面に注意して、今回学んだ言葉を使っていってください。

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国語言葉の意味

狙いがある!「奇を衒う」の正しい意味や使い方・類語など現役日本語教師がわかりやすく解説

この記事では「奇を衒う」を勉強していきます。

「奇を衒う」の読み方は「きをてらう」です。インパクトのある言葉ですが、「てらう」は耳馴染みのない動詞で意味までなかなか頭に入ってこないでしょう。「奇を衒う」とは、ずばり「相手の注意を引くために、わざと普通ではない言動をすること」です。

正しく自信を持って使えるように、「奇を衒う」の使い方や言葉の意味について、現役日本語教師のスヨメナと一緒に解説していきます。

ライター/スヨメナ

現役日本語教師。対面、オンライン問わず、世界中の国の人に日本語を教えている。ブログでも相手の立場に立って考え、わかりやすく発信していく。

「奇を衒う」の意味は?

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ここでは「奇を衒う」の言葉の正しい意味をしっかり押さえましょう。

「奇を衒う」の意味は「わざと普通ではない言動をすること」

まずは辞書で意味を確認してみましょう。

わざと変わった事をして、他人の注意をひきつけようとする。

出典:精選版 日本国語大辞典 「奇を衒う」

「奇を衒う(きをてらう)」の「奇」は「奇妙」や「奇異」などの熟語で使われています。意味は”普通と違っていること”。「衒う」は、今回はじめて耳にしたという人も少なくないでしょう。動詞「衒う」は、”自分の才能や知識をわざと見せびらかす”という意味合いがあります。

このことから「奇を衒う」は、”相手の注意を引くために、故意に変わったことをする”の意味になるのです。人に使うときは、少しネガティブな表現になります。

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