
「四面楚歌」
班超の故事よりさらに昔、項羽と劉邦が覇権を争っていたころに遡ります。武力に劣る劉邦が、垓下の戦いで項羽を追い詰める際に採用した策が由来です。「史記」にも掲載されている有名なエピソードより。
項羽は元々楚という国の人でした。劉邦は項羽の軍を取り囲むように自分の兵を展開させ、楚の国の詩を歌わせました。これを聞いて項羽は、故郷の人々がみんな寝返ってしまったと驚き悲嘆にくれます。ずっと付き従っていた最愛の虞美人を泣く泣く手に掛けたのもこのときです。
周りに味方がいない、敵ばかりという意味では「孤立無援」と非常に近い意味ですね。ただ、「四面楚歌」の場合は、寝返りのニュアンスを含みます。味方だと思っていたのに裏切られ、窮地に追い込まれたときには「四面楚歌」の方がピッタリですね。
「孤軍奮闘」
どことなく「孤立無援」と似ている四字熟語です。「孤軍」とは援軍も連携すべき軍もおらず、孤立してしまった軍隊。「奮闘」は全力で戦うことです。
孤立してしまって助けがない、という状況は「孤軍奮闘」とそっくり。しかし「孤軍奮闘」は力の限り戦う、踏ん張るという意味が込められています。「孤立無援」がネガティブな印象が強いのに対して「孤軍奮闘」はポジティブなニュアンスが強いですね。
「孤立無援」の対義語は?
「孤立無援」のズバリは対義語はちょっと見つからなかったので、似た意味の「孤軍奮闘」の対義語としてあげられるものをいくつかご紹介します。
「一致団結」
「一致団結」とは集団や組織に所属する人たちが、目的・目標にむけて協力し合う様子です。
「一致」とはひとつに合わさること。「利害の一致」など、日常でもよく目にします。「団結」も同じようにしょっちゅう会話に登場しますね。同じ志を持つ人々が、その目標を達成するために組織や集団を作る、という意味です。
「共存共栄」
「共存」とは2つ以上のものがともに存在することです。イソギンチャクとカクレクマノミのような「共存」関係、といった形で目にします。「共栄」とはいくつかのものがお互いに助け合い、一緒に栄えること。戦前の「大東亜共栄圏」などが使用例として挙げられます。
「共存共栄」はいくつかのものが敵対関係にならず、手を取り合って繁栄することです。漢字の意味そのままですね。誰にも助けてもらえないし、助ける余裕もない「孤立無援」に対して、対義語となるのにも納得できますね。
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