この記事では「一寸先は闇」について解説する。

端的に言えば「一寸先は闇」の意味は「未来は予測できない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

毎年60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「一寸先は闇」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい表現で意味や使い方を解説していく。

「一寸先は闇」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一寸先は闇」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「一寸先は闇」の意味は?

「一寸先は闇」には、次のような意味があります。

ほんの少し先のことも全く予知できないたとえ

出典:デジタル大辞泉(小学館)「一寸先は闇」

「一寸先は闇(いっすんさきはやみ)」は、京都が発祥の「いろはかるた」でご存知の方も多いのではないでしょうか。新聞やニュースでもよく使われていますが、「いろはかるた」によって全国的に有名になった慣用句といえるでしょう。「寸」とは、明治時代に中国から伝わった長さの単位です。一寸(いっすん)とは、約3センチメートルの長さ。服のサイズも寸法と表現しますよね。日常会話ではあまり使うことのない単位ですが、大工を中心に工事現場では今でもよく使われています。

「闇」と言うと、「暗黒」や「地獄」といった悪いイメージが先行してしまいがち。しかし「一寸先は闇」の「闇」は、あくまで「暗闇」を意味しています。昔は現代と違って、街灯や電気などが存在しません。夜はろうそくの火や、月の光を頼りに生活していたのです。真っ暗な部屋でろうそくの火を灯したとしても、少し先になにがあるのか分かりません。暗闇の中を動き回れば、つまずいて倒れるかもしれませんし、部屋の角に頭をぶつけてしまうこともあるでしょう。日常生活を送っている部屋ですら、暗闇の中では何が起こるか分からないのです。

人生も未来のことなど誰も分かりません。暗闇の先に何が待っているのか分からないのと同様に、未来を予測できない様子を例えた慣用句なのです。

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「一寸先は闇」の使い方・例文

「一寸先は闇」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.一寸先は闇だったとしても、未来に希望がないとは限らない。
2.最近は災害が多い。一寸先は闇と心得て、普段から防災準備をしておくべきだ。
3.支持率が高いはずの政治家が落選。政界はまさに一寸先は闇である。

「闇」という言葉が使われているせいか、「一寸先は闇」というとネガティブな印象を持ってしまいがちですよね。しかし、本来は予測できない、未来は何が起きるか分からないといった意味合いとして使われるべき慣用句です。失敗しないと自信を持っていたとしても、必ず成功するとは限りません。幸せな人生だったとしても、健康診断で病気が発覚することもあるかもしれません。

未来が予測できないからこそ、万が一に備えて事前準備をしておく。病気にならないように、普段から健康的な食生活を心掛けるなど、注意喚起の言葉として使うとよいでしょう。

「一寸先は闇」の類義語は?違いは?

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では「一寸先は闇」の類義語や違いを確認していきましょう。

「沈む瀬せあれば浮かぶ瀬あり」

「瀬」とは、川のなかでも歩いて渡れる浅い場所のことをいいます。よく「浅瀬」と表現しますよね。川には、息ができないほど深い場所もあれば、軽々と渡れる浅い場所もあるでしょう。人生も同じ。長い人生、良いことばかりとは限りません。涙が止まらないほど辛い経験をすることもあるでしょう。しかし、悪いことはずっと続きません。浮き沈みはあったとしても「悪いことはいつか終わる」という意味になります。

「一寸先は闇」に比べて辛さから解放されているため、前向きな表現として使うことができますね。

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「塞翁が馬 」

「塞」は場所。「翁」はお爺さんのことです。語源は、中国の北辺にある塞(とりで)に住んでいたお爺さんの話が由来。お爺さんは塞から馬を逃がしてしまいましたが、ある日、逃げた馬は足が速い馬を連れて帰ってきました。お爺さんの息子は、足が速い馬に喜んで乗馬。ところが、息子は落馬して骨折してしまいました。しかし、骨折したからこそ、兵役を免れることができたというお話です。

人生は不幸と幸運が点々としているため、未来を予測することはできません。ただの不幸で終わるかと思いきや、ケガで兵役を免れたことで、息子は戦争へ行かずに済んだのです。お爺さんも、1頭の馬から息子が助かる物語を予想できなかったのではないでしょうか。

「塞翁が馬」は素敵な話が元になっているとはいえ、普段使わない言葉を使っているせいか、文字だけでは意味が伝わりにくい印象です。同じ意味でも「一寸先は闇」のほうが普段使いしやすいでしょう。

「一寸先は闇」の対義語は?

では「一寸先は闇」を対義語を確認していきましょう。

「順風満帆」

広い海を突き進む一隻の船。追い風を受けて「帆」はいっぱいに広がり、思うがままに船を先へ進めることができます。順調に拭く風と広がる帆から、「順風満帆(じゅんぷうまんぱん)」という言葉が誕生しました。人生も同じことで「思った通りに物事が進む」という意味になります。

明るい未来が約束されている「順風満帆」に対して、「一寸先は闇」は未来がどうなるか予測できません。まさに正反対な表現といえますね。

「転ばぬ先の杖」

暗闇を歩いていても、杖で周りをトントン叩きながら進めば何かにぶつかることはありません。きっと転ぶこともないでしょう。「転ばぬ先の杖」は、前もって注意していれば失敗することはないという意味になります。未来を予測できない「一寸先は闇」に対して、「転ばぬ先の杖」は事前準備しておけば人生をコントロールすることは可能だと言っているのです。

未来を切り開けるかは自分次第。ビジネスにおいても、忘れてはいけない心構えといえるでしょう。

「一寸先は闇」の英訳は?

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では、「一寸先は闇」は英訳すると、どのような表現になるのでしょうか。当然ですが「一寸」という単語は存在しません。「未来は予測できない」という意味から英訳していきたいと思います。

「 Nobody knows the future」

大変シンプルな英訳となります。「Nobody knows」は「誰も~知らない」という意味。「future」が加わることによって「未来は誰も予想できない」となるのです。普段使いしやすい表現ではないでしょうか。

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「We don't know what's around the corner」

「around the corner」は「曲がった角」という意味。たとえ毎日通っている道だとしても、「角を曲がった先には何が待っているかなど誰も分からない」と教えてくれています。道の角を使って、未来が予測できない様子を表現できていますね。

「一寸先は闇」を使いこなそう

この記事では「一寸先は闇」の意味・使い方・類語などを説明しました。「一寸先は闇」という慣用句は一見、ネガティブな状況でしか使えない印象を持つかもしれません。しかし、真っ暗な環境で雲一つない夜空を見上げてみてください。普段よりも美しい星空が見れるのではないでしょうか。

暗闇の中にいる時は不安ですし、何が起こるか分からない恐怖から押し潰されそうになるでしょう。でも、暗闇の中だからこそ、見えてくる答えがあるはずです。一寸先は闇だからこそ、自分で変えられる未来がある。予測できる未来など面白くないはずです。ぜひ、ポジティブな表現として「一寸先は闇」を使ってみてはいかがでしょうか。

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国語言葉の意味

【慣用句】「一寸先は闇」の意味や使い方は?例文や類語を本の虫ライターがわかりやすく解説!

この記事では「一寸先は闇」について解説する。

端的に言えば「一寸先は闇」の意味は「未来は予測できない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

毎年60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「一寸先は闇」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい表現で意味や使い方を解説していく。

「一寸先は闇」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一寸先は闇」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「一寸先は闇」の意味は?

「一寸先は闇」には、次のような意味があります。

ほんの少し先のことも全く予知できないたとえ

出典:デジタル大辞泉(小学館)「一寸先は闇」

「一寸先は闇(いっすんさきはやみ)」は、京都が発祥の「いろはかるた」でご存知の方も多いのではないでしょうか。新聞やニュースでもよく使われていますが、「いろはかるた」によって全国的に有名になった慣用句といえるでしょう。「寸」とは、明治時代に中国から伝わった長さの単位です。一寸(いっすん)とは、約3センチメートルの長さ。服のサイズも寸法と表現しますよね。日常会話ではあまり使うことのない単位ですが、大工を中心に工事現場では今でもよく使われています。

「闇」と言うと、「暗黒」や「地獄」といった悪いイメージが先行してしまいがち。しかし「一寸先は闇」の「闇」は、あくまで「暗闇」を意味しています。昔は現代と違って、街灯や電気などが存在しません。夜はろうそくの火や、月の光を頼りに生活していたのです。真っ暗な部屋でろうそくの火を灯したとしても、少し先になにがあるのか分かりません。暗闇の中を動き回れば、つまずいて倒れるかもしれませんし、部屋の角に頭をぶつけてしまうこともあるでしょう。日常生活を送っている部屋ですら、暗闇の中では何が起こるか分からないのです。

人生も未来のことなど誰も分かりません。暗闇の先に何が待っているのか分からないのと同様に、未来を予測できない様子を例えた慣用句なのです。

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