今回は「マンガン乾電池」について解説していきます。

「マンガン乾電池」は、リモコンや時計の電源として、利用されている身近な電池の一つです。身近でありながら、「マンガン乾電池」の仕組みや構造を説明できる方は少ないと思う。そこで、今回は「マンガン乾電池」について、化学の知識を用いて説明していきます。豆知識として、きっと役に立つはずです。

エネルギー工学、環境工学を専攻している理系学生ライターの通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。中学時代に、DIYで太陽光発電装置を製作するために、独学で電気工事士第二種という資格を取得してしまうほど熱い思いがある。

マンガン乾電池とは?

image by PIXTA / 28797823

マンガン乾電池は、身近な電池の一つです。テレビやエアコンといった家電製品のリモコン持ち運び可能なラジオ懐中電灯置き時計などの電源に用いられています。小型で、比較的安全に使用できることが利点だと言えますね。重量も比較的小さいです。また、マンガン乾電池は簡単に長期間保管することができますよ

一度、完全に放電し、電力を取り出した後は再利用することができない電池を一次電池と言います。マンガン乾電池は、一次電池に分類されますよ。この記事では、マンガン乾電池の構造や仕組みを解説します。そして、マンガン乾電池に似ている電池もいくつか紹介しますね。

マンガン乾電池について学ぼう!

マンガン乾電池の構造

マンガン乾電池の構造

image by Study-Z編集部

マンガン乾電池は、亜鉛缶の中に正極合材が詰められており、その中に炭素棒が差し込まれています正極合材は、正極活性剤である二酸化マンガンと電解質である塩化亜鉛塩化アンモニウムの混合物に、炭素粉末を加えて水で練ったものです。炭素棒はプラス極へとつながり亜鉛缶はマイナス極そのものとなりますよ。

セパレーターは炭素棒と亜鉛缶が電池の中で接触し、短絡することを防ぐ役割を果たします。セパレーターは、イオンのみが通り抜けることができるのです。また、マンガン乾電池の起電力約1.5V(ボルト)になっています。この電圧は、小型の機器を動かす場合は、非常に便利なのです。

\次のページで「マンガン乾電池の化学反応」を解説!/

マンガン乾電池の化学反応

マンガン乾電池の化学反応

image by Study-Z編集部

マンガン電池の正極では、二酸化マンガンが電子を受け取る反応がおこります。上の図に示したように、二酸化マンガン、水、電子が反応し、マンガンの化合物と水酸化物イオンが生じる反応が代表的です。反応の条件によって、生成物の組成が変化することがあります。一方、負極では、亜鉛が電子を放出する反応がおこりますよ。上の図のように、亜鉛、塩化亜鉛、水酸化物イオンから、亜鉛の化合物が生じるのです。この反応も、条件によって、生成物の組成が変化しますよ

負極で放出された電子は、リモコンやラジオなどの負荷を通り、正極にたどり着きます。正極にたどり着いた電子が、二酸化マンガンと反応するのです。この反応が、次々とおこることで、電流が流れます。また、このように電子の授受によって進む反応を酸化還元反応といいますよね。

マンガン乾電池に似ている電池

ここでは、マンガン乾電池と似ている、もしくは互換性のある電池を紹介していきます。それぞれの電池の特徴に注目しながら、違いや共通点を見つけてみましょう。マンガン乾電池と同様に、これから紹介する電池も、身近な場所で使われていますよ

アルカリマンガン乾電池

image by PIXTA / 29210609

マンガン乾電池の電解液を、酸化亜鉛水酸化カリウムに変更したものを、アルカリマンガン乾電池といいます。アルカリマンガン乾電池の起電力は約1.5V(ボルト)です。アルカリマンガン乾電池とマンガン乾電池の起電力は全く同じなので、互換性は高くなっていますよ

マンガン乾電池の起電力は使い始めたと同時に、二次曲線的に低下していきます。一方、アルカリマンガン乾電池の起電力は、完全放電するまで、ほぼ一定の値となるのです。このような理由から、強いパワーを連続して必要とする機器には、マンガン乾電池は不向きで、アルカリマンガン乾電池の使用が推奨されるのですね。

アルカリマンガン乾電池のデメリットとしては、価格がマンガン乾電池よりも高いことが挙げられます。また、過放電状態が続くと、上の写真のように液漏れが発生しますよ。漏れてきた液には、強アルカリ性の水酸化カリウムが含まれているので、扱いには十分気を付けましょう。

ニッケルカドミウム電池

image by PIXTA / 28797823

ニッケルカドミウム電池は、充電が可能な二次電池です。ニッケルカドミウム電池には、マンガン乾電池と同じ形状とサイズの製品があります。起電力も約1.3V(ボルト)であることから、マンガン乾電池と共通して使える場合が多いです。

ニッケルカドミウム電池の最大の特徴は、完全放電したあとも、充電することで何度も使用できることにあります。そのことから、電話機の子機のバッテリーなどにも、使用されていますよ。ですが、有害な金属であるカドミウムが使用されていることから、近年では活躍の場を減らしています。カドミウムは、イタイイタイ病といった公害の原因物質として知られていますよね。

\次のページで「ニッケル水素電池」を解説!/

ニッケル水素電池

ニッケル水素電池は、ニッケルカドミウム電池の改良版として登場した電池です。カドミウムの代わりに、水素を利用しています。水素は、水素吸蔵合金という特殊な金属に蓄えていますよ。マンガン乾電池と同じ形状とサイズの製品があり、起電力は約1.35V(ボルト)です。もちろん、マンガン乾電池と高い互換性をもちますよ

現在、ニッケル水素電池は乾電池の形をした充電池としては主流となっています。また、大電流を取り出せることから、ハイブリッド自動車電動アシスト自転車電動車いすなどのバッテリーにも使用されていますよ。

ニッケル水素電池のデメリットは、適切な充電および放電を行わなかった場合、メモリー効果が生じることです。メモリー効果とは、正味の電池容量が減少してしまうことですよ。メモリー効果は、ニッケルカドミウム電池にも生じることがあります

マンガン乾電池の仕組みを学ぼう!

マンガン乾電池は、身近でありながら、中身はよくわからないブラックボックスのような存在です。ですが、この記事を読むことで、その考えは変わることと思います。

マンガン乾電池にどのような物質が使われていて、どのような化学反応によって電気エネルギーが取り出されるのかが解明されたはずです。豆知識として知っておけば、きっと面白い話のネタになるでしょう。また、今回紹介したマンガン乾電池に似た電池の知識も、電池を選ぶ際に役立つかと思います。

" /> 身近なマンガン乾電池はどのような仕組み?理系学生ライターがわかりやすく解説 – ページ 2 – Study-Z
化学

身近なマンガン乾電池はどのような仕組み?理系学生ライターがわかりやすく解説

マンガン乾電池の化学反応

マンガン乾電池の化学反応

image by Study-Z編集部

マンガン電池の正極では、二酸化マンガンが電子を受け取る反応がおこります。上の図に示したように、二酸化マンガン、水、電子が反応し、マンガンの化合物と水酸化物イオンが生じる反応が代表的です。反応の条件によって、生成物の組成が変化することがあります。一方、負極では、亜鉛が電子を放出する反応がおこりますよ。上の図のように、亜鉛、塩化亜鉛、水酸化物イオンから、亜鉛の化合物が生じるのです。この反応も、条件によって、生成物の組成が変化しますよ

負極で放出された電子は、リモコンやラジオなどの負荷を通り、正極にたどり着きます。正極にたどり着いた電子が、二酸化マンガンと反応するのです。この反応が、次々とおこることで、電流が流れます。また、このように電子の授受によって進む反応を酸化還元反応といいますよね。

マンガン乾電池に似ている電池

ここでは、マンガン乾電池と似ている、もしくは互換性のある電池を紹介していきます。それぞれの電池の特徴に注目しながら、違いや共通点を見つけてみましょう。マンガン乾電池と同様に、これから紹介する電池も、身近な場所で使われていますよ

アルカリマンガン乾電池

image by PIXTA / 29210609

マンガン乾電池の電解液を、酸化亜鉛水酸化カリウムに変更したものを、アルカリマンガン乾電池といいます。アルカリマンガン乾電池の起電力は約1.5V(ボルト)です。アルカリマンガン乾電池とマンガン乾電池の起電力は全く同じなので、互換性は高くなっていますよ

マンガン乾電池の起電力は使い始めたと同時に、二次曲線的に低下していきます。一方、アルカリマンガン乾電池の起電力は、完全放電するまで、ほぼ一定の値となるのです。このような理由から、強いパワーを連続して必要とする機器には、マンガン乾電池は不向きで、アルカリマンガン乾電池の使用が推奨されるのですね。

アルカリマンガン乾電池のデメリットとしては、価格がマンガン乾電池よりも高いことが挙げられます。また、過放電状態が続くと、上の写真のように液漏れが発生しますよ。漏れてきた液には、強アルカリ性の水酸化カリウムが含まれているので、扱いには十分気を付けましょう。

ニッケルカドミウム電池

image by PIXTA / 28797823

ニッケルカドミウム電池は、充電が可能な二次電池です。ニッケルカドミウム電池には、マンガン乾電池と同じ形状とサイズの製品があります。起電力も約1.3V(ボルト)であることから、マンガン乾電池と共通して使える場合が多いです。

ニッケルカドミウム電池の最大の特徴は、完全放電したあとも、充電することで何度も使用できることにあります。そのことから、電話機の子機のバッテリーなどにも、使用されていますよ。ですが、有害な金属であるカドミウムが使用されていることから、近年では活躍の場を減らしています。カドミウムは、イタイイタイ病といった公害の原因物質として知られていますよね。

\次のページで「ニッケル水素電池」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: