

昭和生まれの人間なら「馬の骨」が頑固おやじの常套句として、脳裏に刷り込まれているんじゃないか?聞き慣れてるし文脈から意味合いも想像はつくが、しかしあらためて見ると、なんで馬なんだろうな?
今回は根無し草で気の向くまま、芯のない人生を歩んでいる「馬の骨」ライターのぷーやんを呼んだ。「馬の骨」の意味と使われ方について、説明してもらう。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/ぷーやん
webライター歴7年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。人生の岐路を真剣に悩まずに決めてきたため、このままでは「馬の骨」になりかねないと危惧している。
「馬の骨」を辞書でみてみよう!
「馬の骨」は、辞書では次のように記載されています。
素性のはっきりしない者をあざけっていう語。「どこの―だか知れないやつ」
出典:デジタル大辞泉(小学館) 「馬の骨」
『素性がはっきりしない』のにあざけるということは、少なくとも有名ではないか、名門校の出身ではないという確信があるのでしょう。いずれにしても、人を肩書きで判断していますね。
いい高校や大学、あるいは大手企業に勤めていることは、それなりに頑張ってきた証であるとは思います。しかしそうでないからといって、批判的な態度をとるのは考えもの。先入観に捉われずに、きちんと人となりをみて判断したいものです。
例文で「馬の骨」の使い方を確認!
辞書で言葉の意味を確認しても、それだけでは使いこなすには不十分です。インプットした知識は、アウトプットを重ねることで自分のモノになっていきます。「馬の骨」の使い方を例文で示しますので、アウトプットにお役立てください。
1.彼女の実家へ挨拶にしに行ったら、『どこの「馬の骨」かもわからん奴に、うちの娘はやれん!』と親父さんに言われた。
2.最初は「馬の骨」とみくびっていたが、彼との付き合いが長くなるほど、才気の底知れなさに身がすくむほどだ。
3.今大会は下馬評ではまったく注目されていなかった高校が優勝した。「馬の骨」という認識だったまさにダークホースの躍進に、名門校は鼻を明かされた格好だ。
例文1は昭和の頑固親父の決めセリフですね。娘さんからしたら、余計なお世話でしょう。例文2と3は、侮っていた相手の思わぬ優秀ぶりに舌を巻く様子を表現しています。
人の特性や能力というのは、第一印象・出身・肩書きなどからではわからないことのほうが、圧倒的に多いものです。結果として下馬評通りになる可能性が高くても、人の評価はじっくりみて決めたほうがよいのではないでしょうか。

よく知りもしないやつを「馬の骨」と言うのは、直感的にはよくないってわかるんだよ。でも、だれでも知っているくらい偏差値の高い大学を指して、『○○大出身?すごいじゃん』なんていうのは普通の感覚としてあるよな。まあ経歴も人となりを現すかもしれないが、それだけですべてを知ることはできないってことだな。
脱線しちまったが話を元に戻そう。言葉の意味については、類義語や対義語などを押さえて外堀を埋めておくと、安心して使いこなせるぞ。次の項からは、「馬の骨」から連想される言葉たちをみていこうか。
いわれも知らぬ者:来歴のわからない人
「いわれ」は漢字にすると「謂れ」です。その意味は「理由」や「由緒」。ちなみに「世間一般でいう」という意味の「いわゆる」は、「所謂」と書きます。『世間で謂(い)う所の○○』という言い回しが転じて、「所謂」と言う(書く)ようになったのだとか。
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俗物:学や風流のない人
「俗」は「ありふれた」「品のない」という意味。突出した才能があるかはともかくとして、どこかで聞いたことのあるような一般論しか言わないような人は、この言葉が当てはまってしまいそうです。
「馬の骨」に対義語はある?
類義語の次は対義語を挙げていきます。
名門の出:由緒ある家柄出身
「馬の骨」の「素性の知れない」部分に対しては、対義的ですね。ただしいくら名門出身の人でも、そこでなにも頑張らなかった場合は得てして「俗物」になりがちです。
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