混合気体はその名の通り、数種類の気体が混ざった状態の気体のことです。混合気体自体は何も難しくなのですが、大変なのが計算問題です。気体を学ぶといろいろな法則が登場し、公式も覚えなければならない。計算や法則を応用するのが苦手な奴も多いでしょう。そこで今回は気体とはなにか、問題を解くうえでの注意点はなにかを説明します。

解説は危険物取扱者の資格取得と大学時代に物理化学の単位取得のために混合気体について猛勉強したというたかはしふみかが行う。

ライター/たかはし ふみか

文系よりリケジョで、暗記の方が得意で計算は苦手。不思議な現象を解明する科学が好きで理系に進んだ科学館職員。

気体とは

気体とは

image by Study-Z編集部

混合気体の前にそもそも気体とは?という事から確認していきましょう。

そもそも気体とはなんだったでしょうか?気体とは物質の状態のひとつで、分子が自由に動き回れる状態をさします。水で考えると固体が氷、液体が水、気体が水蒸気ですね。気体は固体や液体に比べて分子同士の距離が遠く、体積がずっと大きいのが特徴です。気体の持つ圧力を気圧、と呼びます。気圧を表す単位に用いられているatmPaを聞いたことがある人も多いでしょう。

実際の気体(実在気体)には分子の形や体積があり、また水素結合ファンデルワールス力などが働いています。このような要因によって気体の状況が変わってしまい、それを式に表すのが困難です。

そこで物理化学の世界では気体を「気体分子の体積がなく、分子間力がない理想気体(完全気体)」として学びます。理想気体は状態変化がなく凝縮、昇華することがありません。

気体の法則

気体に関する法則でまず理解したのが「ボイルの法則」、「シャルルの法則」、「ゲイ・リュサックの法則」そしてこれらの法則を合わせた「ボイル・シャルルの法則」です。

公式には圧力P絶対温度T体積Vがたびたび登場するので覚えてくださいね。,

\次のページで「理想気体の方程式、状態方程式」を解説!/

image by Study-Z編集部

ボイルの法則
ボイルの法則とは「一定の温度、一定の気体に対して圧力(P)と体積(V)の積は一定気体の体積に圧力が反比例)」という法則です。この法則は1662年にロバート・ボイルによって発見されました。

シャルルの法則
シャルルの法則とは「一定圧力、一定量の気体に対して体積(V)は絶対温度(T)に比例する」という法則です。この法則は1787年にジャック・シャルルが発見しました。この法則が発見されたことで絶対零度がー273.15℃であることが分かったのです。絶対零度とはこれ以上下がることができない温度の下限で、エネルギーが最低の状態になります。

ゲイ・リュサックの法則
ゲイ・リュサックの法則とは「体積が一定の気体の圧力Pは絶対温度Tに比例する」という法則です。1802年に発見されました。

image by Study-Z編集部

これらの法則を合わせて一定量の気体に対して成り立つのがボイル・シャルルの法則。すでに発見された法則を合わせているため、特に発見者(考案者)はいないようです。

ボイル・シャルルの法則は、「気体の圧力P は体積V に反比例し絶対温度T に比例する」ことを表しています。

理想気体の方程式、状態方程式

理想気体の方程式、状態方程式

image by Study-Z編集部

化学で重要な式のひとつ、「状態方程式」。

この方程式は標準状態(0℃,1atm)のとき、1molの気体の体積は22.4lであることを意味しているのです。

この方程式は気体の体積V、絶対温度T、圧力Pの関係を示しています。この式から温度と体積が一定の時は気体の圧力は分子の数に比例することがわかるのです。

ここで新しく登場したnとR。nは気体のモル数、Rは気体定数でR=0.0820(l・atm/(K・mol))を意味しているのです。

ちなみに理想気体だけでなく実在気体の状態方程式もあり、参考書などにも書かれています。しかし、こちらの式はあまり登場しないので今回は割愛しますね。

\次のページで「混合気体とは」を解説!/

混合気体とは

image by PIXTA / 12946764

混合気体とは色々な気体が混ざった状態のことです。どんな気体を混ぜてもいいのかというと、そうではありません。混合して反応してしまう気体もあるからです。そのため、反応しない気体同士を混合したときに混合気体となります。

例えば空気は窒素や酸素、二酸化炭素が混ざった混合気体です。空気は混合物で、窒素や酸素は単体、二酸化炭素は酸素と炭素からできた化合物になります。

混乱しやすい混合物と化合物、単体。違いに自信がない人はこちらを確認してくださいね。

分圧の合計、ドルトンの法則

理想気体の混合気体においてそれぞれの気体がどれだけの圧力(分圧)を持っているのかを考えるのがドルトンの法則(分圧の法則)です。

1801年にジョン・ドルトンによって発見されたこの法則は次のように表すことができます。

混合物の圧力=各成分の分圧の和全圧の式

P=PA+PB

image by Study-Z編集部

理想気体の分圧はその気体だけを容器に入れたときに及ぼす圧力のことです。この分圧の和が混合気体の圧力(全圧)になります。

例えば気体Aだけが入った容器があり、その気圧が1Paだったとしましょう。そして同じ容器に入った気体Bが2Paだとするとふたつが合わさった時にその全圧は3Paとなりますね。

先ほど説明した状態方程式は混合気体でも使うことができます。この場合、圧力Pは分圧PAPBを合わせた全圧になるのです。

\次のページで「混合気体を理解するには公式を要チェック」を解説!/

混合気体を理解するには公式を要チェック

混合気体とは複数の気体が混ざった状態の気体のことです。混合して反応してしまう気体では混合気体にはなりません。酸素、窒素、二酸化炭素が混ざった空気をイメージするとわかりやすいですね。

気体の性質自体は特に難しいことはありません。しかし気体、特に混合気体を学ぶとボイル・シャルルの法則やドルトンの法則など気体に関する法則がたくさんが登場します。一見とっつきづらそうですが式自体は単純であり、意味を理解すればすんなりと頭に入ってくるものが多いです。まずは式を見ながら練習問題を解いてみましょう。

" /> 3分で簡単!「混合気体」ってどんな気体?科学館職員がわかりやすく解説 – Study-Z
化学流体力学物質の状態・構成・変化理科

3分で簡単!「混合気体」ってどんな気体?科学館職員がわかりやすく解説

混合気体はその名の通り、数種類の気体が混ざった状態の気体のことです。混合気体自体は何も難しくなのですが、大変なのが計算問題です。気体を学ぶといろいろな法則が登場し、公式も覚えなければならない。計算や法則を応用するのが苦手な奴も多いでしょう。そこで今回は気体とはなにか、問題を解くうえでの注意点はなにかを説明します。

解説は危険物取扱者の資格取得と大学時代に物理化学の単位取得のために混合気体について猛勉強したというたかはしふみかが行う。

ライター/たかはし ふみか

文系よりリケジョで、暗記の方が得意で計算は苦手。不思議な現象を解明する科学が好きで理系に進んだ科学館職員。

気体とは

気体とは

image by Study-Z編集部

混合気体の前にそもそも気体とは?という事から確認していきましょう。

そもそも気体とはなんだったでしょうか?気体とは物質の状態のひとつで、分子が自由に動き回れる状態をさします。水で考えると固体が氷、液体が水、気体が水蒸気ですね。気体は固体や液体に比べて分子同士の距離が遠く、体積がずっと大きいのが特徴です。気体の持つ圧力を気圧、と呼びます。気圧を表す単位に用いられているatmPaを聞いたことがある人も多いでしょう。

実際の気体(実在気体)には分子の形や体積があり、また水素結合ファンデルワールス力などが働いています。このような要因によって気体の状況が変わってしまい、それを式に表すのが困難です。

そこで物理化学の世界では気体を「気体分子の体積がなく、分子間力がない理想気体(完全気体)」として学びます。理想気体は状態変化がなく凝縮、昇華することがありません。

気体の法則

気体に関する法則でまず理解したのが「ボイルの法則」、「シャルルの法則」、「ゲイ・リュサックの法則」そしてこれらの法則を合わせた「ボイル・シャルルの法則」です。

公式には圧力P絶対温度T体積Vがたびたび登場するので覚えてくださいね。,

\次のページで「理想気体の方程式、状態方程式」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: