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【四字熟語】「愛別離苦」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

よお、ドラゴン桜の桜木建二だ。この記事では「愛別離苦(あいべつりく)」について解説する。

端的に言えば愛別離苦の意味は「愛するものと別れる苦しみ」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

難関高校受験専門の学習塾講師を10年経験したwhite-sugarを呼んだ。一緒に「愛別離苦」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/white_sugar

文系中心に5教科オールラウンダーとして難関校専門学習塾講師を10年務めた後、引退。開成高校、筑波大学付属駒場高校を筆頭に早慶附属・系属高校など首都圏最難関クラスの高校合格者を多数輩出。

「愛別離苦」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「愛別離苦」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「愛別離苦」の意味は?

「愛別離苦」には、次のような意味があります。

親愛な者と別れるつらさ。親子・夫婦など、愛する人と生別または死別する苦痛や悲しみ。仏教でいう、八苦()の一つ。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「愛別離苦」

愛するものとの別離のつらさ。とくに親子・兄弟・夫婦など、愛する人と生き別れたり、死に別れたりする苦痛や悲しみのこと。

出典:四字熟語辞典(学研)「愛別離苦」

仏語。八苦の一。愛する者と別れる苦しみ

出典:大辞泉(小学館)「愛別離苦」

四字熟語は2文字+2文字の組み合わせで意味が分かれるものが多いのですが「愛別離苦」は「愛別離・苦」と別れます。こうすると「愛するものと、別れ、離れるのが苦しい、辛く感じる」と読み取りやすいですね。

「愛別離苦」は仏教から持ち込まれた言葉です。「四苦八苦」という言葉がありますね。これも元々は仏教用語。「四苦」というのは有名な「生苦・老苦・病苦・死苦(生老病死)」のことで、八苦とは「四苦」に加えて「愛別離苦、怨憎会苦(おんぞうえく)、求不得苦(ぐふとくく)、五蘊盛苦(ごうんじょうく)」を加えたものです。

「愛別離苦」以外の「八苦」に関してはここでは割愛させてくださいね。

仏教での「四苦八苦」はいつ、いかなる時代、どんな場所であっても人である以上、誰もが経験しなくてはならない苦しみを指します。愛する家族や恋人、友人との別れは、遅いか早いかの違いで誰もが経験するもの。まさに「八苦」に数えられるのも頷けるでしょう。

「愛別離苦」の語源は?

次に「愛別離苦」の語源を確認しておきましょう。「愛別離苦」に関する有名なブッダのお話は複数あります。そのうちの2つをご紹介しましょう。

ひとつ目は、我が子を失くし嘆き悲しんでいた母・キサーゴータミーのお話。子の死を受け入れられないキサーゴータミーは遺骸を抱えたまま、町をさ迷い歩きます。ブッダの評判を聞きつけ、必死に苦しみを取り払ってもらおうとするものの、彼は「死人の出たことの無い家からケシの粒を一つもらってきなさい」と言うのです。

キサーゴータミーは「死人を出したことのない家」を探しますが、そんな家など、一切見つかりません。キサーゴータミーは死別という悲しみは誰もが背負うものだと気づき、子の死を受け入れることができました。

もうひとつはコーサラ国の国王夫妻のお話。ある日、国王の耳にとんでもない噂が飛び込んできます。「愛ゆえに苦しみが生まれる、と説く坊主がいる」、と。その坊主こそブッダであり王妃の師でもありました。

そんなバカなと驚く王に王妃は静かに答えます。「あなたはあなたの子を、妻である私を、国を、国民を愛していらっしゃいますか?」と。国王は頷きます。「では、私と別れることになったら?寂しいですか?」

「寂しいで済ませられるか。そんなことになればどれだけ嘆き悲しみ、苦しむことになるのか!」と国王。王妃は続けます。「どちらが先になるかはわかりませんけれど、いずれお別れしなくてはいけない時(=死)が来ますわ。どんな形であれ、愛する人と別れるのは辛いのです。愛から苦しみが生ずるというのはこういうことではないでしょうか」。

国王は王妃、ひいてはブッダの言葉が真理だと自覚し、それ以来王妃様と共にブッダを師として崇めるのでした。

「愛別離苦」の使い方・例文

「愛別離苦」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

1.「愛別離苦」はこの世の習いとはいえ、奥さんを失くしたあいつは心身ともに憔悴しきっていたよ…。
2.生まれたばかりの我が子を姑に取り上げられ、家を追い出された彼女は「愛別離苦」の苦しみを味わった。
3.場数を踏めばショックなことも慣れるとは言うけどね、「愛別離苦」だけはいつまで経っても慣れないよ。

「愛別離苦」という言葉は、非常に重たい意味を持ちます。けして軽々しく使うべきではありません。

使う場面は「死別」あるいは「生き別れて会えない状態(音信不通)」のような場合に限られます。仲のいい友人の転校や、勤務先の転移など、再会するチャンスがある場合に使用するのは不適切。まして卒業式や出世による転勤、進学、就職など、たとえ離れ離れになるにしても、「明るい未来・希望」を感じさせるような場面では使うべきではありません

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なるほど。ただ別れるのが辛いのではなく「愛するものと二度と会えない」「今生の別れ」の苦しさを表すのか。確かに夢や希望を感じさせる場面では使うべきではないし、濫用すると本来の言葉の重さが薄れてしまうな。

\次のページで「「愛別離苦」の類義語は?違いは?」を解説!/

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