この記事では「五風十雨」について解説する。

端的に言えば五風十雨の意味は「世の中が平穏無事であること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「五風十雨」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「五風十雨」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「五風十雨(ごふうじゅうう)」の意味や語源・使い方を見ていきます。見た目に特徴のある漢字が並び目を引きますが、意味などを詳しくチェックしていきましょう。

「五風十雨」の意味は?

「五風十雨」には、次のような意味があります。もともとの天候と農業の関連の話から、世の中全体の話に転じた意味になっていますよ。

1.天気が順調で、農作のために都合がよいこと。
2.世の中が安泰であること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

もともとは天候が順調であることという意味を表しており、そこから転じて世の中が安泰であることにつながっています。

天候は個人の力でなんとかできるものではないので、めぐり合わせとしてそういう時期であるととらえることができますね。そして、世の中のほうも個人ではなかなか何ともならないので、今はそういう時期であるととらえることができます。

「五風十雨」の語源は?

次に「五風十雨」の語源を確認しておきましょう。中国の後漢時代に王充(おうじゅう)によって書かれた「論衡(ろんこう)」の是応(ぜおう)篇に記述があったとされています。

「五風十雨」は、「五日にして一たび風ふき、十日にして一たび雨ふる」という表現を略したものです。五日ごとに風が吹き、十日ごとに雨が降ることは、農業に最適で豊作が見込めるという意味になっていますよ。

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「五風十雨」の使い方・例文

「五風十雨」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。二種類のそれぞれの意味についての例文になっていますよ。

1.今年の気候は、五風十雨という通りになり順調で、この周辺の農作物はみんな豊作だった。
2.好景気で五風十雨を思わせる中、あなたが経営するフレンチレストランや洋食のお店もランチの予約がいっぱいで話題になっている。

例文の1.は、天候の意味がそのまま使われているケースです。理想的な天候のあとに、農作物が順調に生育していき豊作につながったということですね。

2.のほうは、世の中が順調で景気もよいことから、財布も緩みがちで積極的に外食するようすがわかりますね。こちらは、天候から転じた意味合いのほうを使った例文です。

四字熟語には「〇〇する」と動詞として使うものもありますが、「五風十雨」の場合はそのまま名詞としてのみ使いますよ。

「五風十雨」の類義語は?違いは?

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それでは、「五風十雨」の類義語についての説明です。意味は似ていても語源は違うので、語源まで詳しくチェックしていくと、それぞれの表現の特徴がつかみやすくなりますよ。

「天下泰平」

「五風十雨」の類義語には、「天下泰平(てんかたいへい)」があります。意味は、「何事もなく世の中が無事に治まって、平和であること」です。「天下」は国家や国じゅうのことを表し、「泰平」は「太平」とも書き平和なようすを表します。

「天下泰平」の使い方としては、「天下泰平の…」「天下泰平だ」「天下泰平である」というように使うことが多くなっていますよ。また、「五風十雨」とは、ほぼ同じ意味になっています。

\次のページで「「平穏無事」」を解説!/

「平穏無事」

もう一つの類義語に、「平穏無事(へいおんぶじ)」があります。意味は、「変わったこともなく穏やかなようす」のことです。「平穏」は何事もなく穏やかなようす、「無事」は変わったことがないようすや健康なことを表します。

「五風十雨」のほうは世の中についてのイメージですが、「平穏無事」は日常生活をイメージさせるような表現です。意味は近くなっていますが、ニュアンスはわずかに違いがあります。場面によって使い分けるといいですね。

「五風十雨」の対義語は?

次に、「五風十雨」の対義語についての説明です。対義語は、部分的に対になっていることもありますが、ここでは全体としての意味が対になっているものを2つ紹介します。ニュアンスの違いまで細かくチェックしていきましょう。

「多事多難」

「五風十雨」の対義語には、「多事多難(たじたなん)」があります。意味は、「あまりにも事件が多く、困難が絶えないようす」です。「多事」は多くの出来事や事件のこと、「多難」は困難や災難が多いことを表します。

「五風十雨」は世の中が安泰であることなので、「多事多難」は全体として意味が反対になっていますね。また、使い方はとくに限定的なことはなく、「多事多難の…」のほかに「多事多難な…」「多事多難だ」などの言い方も可能です。

「内憂外患」

対義語には、もう一つ「内憂外患(ないゆうがいかん)」という表現もあります。意味のほうは、国内の心配事と国外から受ける災難のことですが、転じて「家庭などの内輪の心配事と外部からもたらされる災難などのこと」という意味につながっていますよ。

「五風十雨」は世の中すべてのことも表しているので、国内や国外からの状況が関連する「内憂外患」という表現は対義語としてはふさわしいかもしれませんね。

「五風十雨」の英訳は?

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最後は、「五風十雨」の英訳を一緒に見ていきましょう。言語の違いがあっても、必要な情報を含みつつニュアンスも近い表現がありますよ。

「seasonable rains and winds」

「五風十雨」の英訳には、「seasonable rains and wonds」があります。直訳すると「季節にふさわしい雨や風」となり、困ったことやアクシデントなどのない理想的な状態であることがわかりますね。

ほかには「halcyon weather」という表現もありますよ。直訳すると「穏やかな天候」となりますが、こちらもトラブルや困ったことがなく結果として穏やかな状況であることが伝わってきます。

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「五風十雨」を使いこなそう

今回の記事では「五風十雨」の意味・使い方・類語などを説明しました。もう一度確認すると、意味は「農業によい天候であること」から転じて「世の中が安泰であること」につながっているということでした。

「五風十雨」は天候と農業に関する表現ですが、転じた意味もあるので特別な用語というわけではありません。世の中全体のことを表しているので、一般的な会話でも幅広く使うことができますよ。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「五風十雨」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「五風十雨」について解説する。

端的に言えば五風十雨の意味は「世の中が平穏無事であること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「五風十雨」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「五風十雨」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「五風十雨(ごふうじゅうう)」の意味や語源・使い方を見ていきます。見た目に特徴のある漢字が並び目を引きますが、意味などを詳しくチェックしていきましょう。

「五風十雨」の意味は?

「五風十雨」には、次のような意味があります。もともとの天候と農業の関連の話から、世の中全体の話に転じた意味になっていますよ。

1.天気が順調で、農作のために都合がよいこと。
2.世の中が安泰であること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

もともとは天候が順調であることという意味を表しており、そこから転じて世の中が安泰であることにつながっています。

天候は個人の力でなんとかできるものではないので、めぐり合わせとしてそういう時期であるととらえることができますね。そして、世の中のほうも個人ではなかなか何ともならないので、今はそういう時期であるととらえることができます。

「五風十雨」の語源は?

次に「五風十雨」の語源を確認しておきましょう。中国の後漢時代に王充(おうじゅう)によって書かれた「論衡(ろんこう)」の是応(ぜおう)篇に記述があったとされています。

「五風十雨」は、「五日にして一たび風ふき、十日にして一たび雨ふる」という表現を略したものです。五日ごとに風が吹き、十日ごとに雨が降ることは、農業に最適で豊作が見込めるという意味になっていますよ。

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