日本史

平安時代から続く「天台宗」とは?歴史オタクがわかりやすく5分で解説

よぉ、桜木健二だ。「天台宗」は平安時代初期に日本に伝わり、今でも滋賀県は比叡山、延暦寺を総本山として教えを広めているぞ。

今回はその「天台宗」について歴史オタクのライターリリー・リリコと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

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ライター/リリー・リリコ

興味本意でとことん調べつくすおばちゃん。座右の銘は「何歳になっても知識欲は現役」。大学の卒業論文は源義経をテーマに執筆。平安時代は得意分野。

1.中国で生まれた「天台宗」

image by PIXTA / 53895489

仏教の起源は、紀元前五世紀のインド。ガウタマ・シッタールダ(釈迦)がブッダガヤで悟りを開き、人々に広めたのが最初です。

そのお釈迦様の死後、仏教は主に「大乗仏教」と「上座部仏教」の二つの流れに分けられました。

簡単に解説すると、「大乗仏教」は修行した僧侶ひとりだけではなく、生きとし生きるものすべてが救われるという教えです。逆に「上座部仏教」は戒律を重視し、修行したもののみが悟りを開いて救われるというものでした。

今回解説する「天台宗」は「大乗仏教」の宗派のひとつです。

「天台宗」の実質的な祖「智顗」

古くから日本に存在する「天台宗」。しかし、その起こりは日本ではなく、六世紀の中国「隋」の時代でした。「隋」は「西晋」が滅んで以来約300年ぶりの中国の統一王朝でしたが、しかし、二代目の皇帝「煬帝(ようだい)」の失策によって短命に終わってしまった国家です。

その煬帝が深く帰依し、尊敬を現したのが「智顗(ちぎ)」という僧侶でした。煬帝が智顗に「智者」の称号を贈ったため「智者大師」とも呼ばれています。

「智者」の称号の通り、智顗はたった一度お経を聞いただけで覚えてしまうような、非常に頭のいい人だったのです。

智顗は十八歳で出家して、高名な僧侶として有名だった「慧思(えし)禅師」に入門して修行を始めました。そこで智顗は「法華経」を学び、悟りを開いたとされています。

また、智顗が修行したのは中国の浙江省にある天台山という山で、昔から聖地とされてきた場所でもありました。智顗の晩年には天台宗の中心的な寺院となる「国清寺」が建設されます。(残念ながら、智顗の生前に完成しませんでしたが。)

「諸経の王」とされる「法華経」

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C8/9 brushwork – http://www.emuseum.jp/detail/100905, パブリック・ドメイン, リンクによる

当時、インドから中国に伝わったたくさんの経典を調べた智顗は、そのなかでも「法華経」に「すべての人に悟りの世界を」という教えが述べられていたため、「法華経」が最も尊く、すべての人を救うお経だと確信します。そうして、この教えに注目した智顗は「法華経」を中心にした「天台教学」を完成させたのです。

「天台教学」は、『法華玄義』『法華文句』『摩訶止観』の三冊の本にまとめられ、日本には、奈良時代に来日した高僧「鑑真」が伝えることとなります。

聖徳太子は智顗の生まれ変わり?

日本に仏教が伝来したのは538年。飛鳥時代のことです。朝廷では朝鮮半島の「百済」の聖王から公伝された仏教を推進するかどうかの論争が起こりました。それで賛成派(崇仏派)の蘇我氏と、反対派(廃仏派)の物部氏の間で揉めに揉め、ついには「丁未の乱」へと発展していきます。このとき、蘇我氏側にはまだ年若かった聖徳太子(厩戸王)がいました。「丁未の乱」は崇仏派の勝利に終わり、かくして、日本に仏教が根付き始めたというわけです。

「丁未の乱」ののちに、聖徳太子は大阪に四天王寺を建立。さらに、「法華経」の注釈書として『法華義疏』、『勝鬘経』の注釈書『勝鬘経義疏』、『維摩経』の注釈書『維摩経義疏』の三冊を自ら執筆しました。この三冊は合わせて『三経義疏』と呼ばれます。

それに加えて、聖徳太子は「十七条の憲法」のふたつめに仏教や僧侶を大切にしなさいという条文をつくりました。

聖徳太子が仏教を厚く保護し、広めたことから、中国には「智顗は聖徳太子として生まれ変わり、日本に法華経を広めた」という伝説があります。

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日本に根付いて1200年以上にもなる天台宗だが、その大本が生まれたのは中国の「隋」だった。智顗は天台教学を完成させた実質的な天台宗の祖だが、実は、彼に師匠がいたように、天台宗には智顗以前の歴史があった。だから、智顗は最初の祖ではなく、第四の祖とする場合もあるぞ。

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