今回は「アルビノ」について勉強していこう。

生まれつき肌や頭髪の色素が少ないアルビノと呼ばれる人がいるのを知っているか?ヒトだけでなく様々な動物にも存在するんです。

アルビノの原因や特徴についてライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.アルビノって何?

image by iStockphoto

まずはテーマである「アルビノ」について知っていきましょう。私たち日本人を含めた東洋人は「黄色い」肌をもつと言われていますよね。一方で西洋人には「白い」肌の人が多く、アフリカにルーツを持つ人には「黒い」肌をもつ人もいます。肌の色だけでなく、髪の色や目の色は人それぞれ異なるのは皆さんもよくご存じでしょう。こういった外見の違いは1つの個性ともいえるものですが、残念ながら差別の原因にもなっていますね。今回紹介するアルビノの人々は、国籍や親の外見、ルーツに関わらず、一様にして「真っ白」な外見をもつのです。その姿は美しくもあり、神秘的でもあります。しかしその特徴により、その身が危険にさらされることもあるのです。

1-1.外見的特徴

アルビノのヒトの特徴は、真っ白な体毛・頭髪、透き通るような白い肌、淡紅色や淡青色・淡褐色といった瞳の色です。白い人という字を使ういわゆる白人でも肌は多少なりとも黄色が混ざり、体毛や頭髪は茶色や赤みがかった茶色という人も多く存在しますよね。しかしアルビノの場合、肌は血管が見えるような白さであり、髪の毛はプラチナブロンド(白色)からブロンド(金色)、日光による変色で黄色をしています。また、瞳の色も特徴的であり、ごく淡い色の虹彩をもつのです。ヒト以外の動物も同様で、真っ白な皮膚や毛に覆われ、赤い目をしています。その見た目から神秘的な魅力を感じる人は少なくないでしょう。

アルビノは一般的にヒトを含めた動物に対して用いることが多いものの、植物にもアルビノは存在します。動物同様に真っ白な外見をしていますが、動物以上に希少かもしれません。その理由は次で解説します。

1-2.原因メカニズム

1-2.原因メカニズム

image by Study-Z編集部

アルビノの原因は色素のもととなるメラニンの生合成に関わる遺伝情報が欠損することによる先天的な遺伝子疾患です。肌や髪、瞳の色はメラニンの量に比例します。メラニン量が多いほど各所の色は濃く、少ないほど薄くなるのです。紫外線などの刺激を受けるとメラニンがつくり出されるために肌の色が濃くなります。いわゆる日焼けの状態ですね。これは外部の刺激から肌を守るための防御反応であり、その刺激がなくなれば肌の新陳代謝によって元に戻ります。つまり、肌の色が濃い人というのは紫外線の多い地域に住んでいたり、そういった土地にルーツをもつ人であり、自らを守るための進化の過程といえるでしょう。一方でアルビノは遺伝情報の欠損によって生まれながらにしてメラニンが少なく、生成できないために真っ白な外見になるとされています。

植物の場合、光合成に必要な葉緑体に存在するはずのクロロフィルという色素が少ないことが原因です。光合成ができないということは成長に必要なエネルギーを得られないと同じであり、個体そのものがもともと持っているエネルギーを使い果たした時点で枯れてしまいます。そういった点で食べることで栄養を補給する動物とは異なり、実際に目にすることはごく稀といえるでしょう。

\次のページで「2.アルビノと間違えやすい白変種」を解説!/

2.アルビノと間違えやすい白変種

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普通のライオンは茶色の毛をもっていますが、ホワイトライオンは真っ白な毛が美しく人気がありますよね。しかしこれはアルビノではなく白変種であり、ホワイトタイガーもこの一種です。白変種は色素の減少により外見が白くなっているものの、メラニンの生合成は正常に行われています。突然変異で生まれた品種と考えられていて、体毛は白くても瞳が黒いというのが見分けるポイントです。「アルビノ 白変種」で写真を検索してみるとその違いが明らかですよ。

3.人間界・動物界におけるアルビノ

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ヒトや動物におけるアルビノは美しく、同時に身体的なリスクを抱え、好奇な目にさらされることが多いのも事実です。モデルやタレントとしてその個性を発揮する人がいる一方で、偏見や差別に苦しんでいる人もいます。希少性の高さから高値で売買するために捕まえられてしまう動物がいるのもそうぞうに難くないでしょう。そういったアルビノの現状について解説します。

3-1.病気等による様々なリスク

その見た目のきれいさとは裏腹に、アルビノは様々なリスクを抱えています。メラニンは一種の防御反応であると話しましたね。アルビノはこれが機能しないことから紫外線の影響を直に受けてしまい、皮膚がんになるリスクが高くなります。これはさらに瞳(虹彩)に色素がない(または少ない)ために光を遮ることができず、光を非常に眩しく感じるようです。視力の低下(弱視)や眼振、斜視など、眼に関するリスクを避けては通れません。

動物界において、視力異常は大きなハンデになるでしょう。その見た目から他の個体よりも目立つのは明白ですよね。外敵から見つかりやすいだけでなく、視力が悪いことで危険の察知が遅れることも考えられます。

3-2.いまだに続くアルビノ狩り

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確かに十分な対策や治療が受けられない環境では健康上の問題が寿命に影響することもあるかもしれません。しかし生存率に影響を与えているのは、アルビノではない別の人間のせいでもあるのです。アルビノの動物は、人間に捕まえられてペットや見世物とされることも多いでしょう。人の場合はそんなことないだろうと思っていませんか?人に対してはもっと残虐な行為が行われていることを知っておいてください。

アルビノが悪魔や呪われた存在と考えられている地域が存在します。一方で幸運のお守りやエイズに効く薬になるとされ、殺害される人が後を絶ちません。そういった地域でなくとも、好奇の目を避けるためにあえて周りに合わせた黒髪に染める人もいます。人と違った見た目であることは、それだけ生きづらさの理由になってしまうのかもしれません。女性では性的暴行を受けたり、アルビノの子供を産んだことで他の男性との関係を疑われた母親と子供が家を追い出されることもあるといいます。

これらはすべて迷信や知識不足によるものです。医療や科学が発達している今の時代、まだこういった国や地域があるなんて信じられませんよね。

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遺伝情報の欠損が原因の希少な存在

アルビノはメラニンの生合成に関わる遺伝情報が欠損することによる先天的な遺伝子疾患であり、色素が欠乏することによって全身が真っ白になるという特徴的な外見をもっています。約2万人に一人という確率を多いと思うか、少ないと思うかは人それぞれです。しかし様々なリスク・ハンデによって自然界では稀少な存在となっていることは間違いありません。今後動物園でアルビノを見かけることもあるでしょう。アルビノと白変種の違いを知っておくと、一目置かれるかもしれませんね。

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理科生物生物の分類・進化

生まれつき色素が少ない「アルビノ」の不思議を元塾講師がわかりやすく解説

今回は「アルビノ」について勉強していこう。

生まれつき肌や頭髪の色素が少ないアルビノと呼ばれる人がいるのを知っているか?ヒトだけでなく様々な動物にも存在するんです。

アルビノの原因や特徴についてライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.アルビノって何?

image by iStockphoto

まずはテーマである「アルビノ」について知っていきましょう。私たち日本人を含めた東洋人は「黄色い」肌をもつと言われていますよね。一方で西洋人には「白い」肌の人が多く、アフリカにルーツを持つ人には「黒い」肌をもつ人もいます。肌の色だけでなく、髪の色や目の色は人それぞれ異なるのは皆さんもよくご存じでしょう。こういった外見の違いは1つの個性ともいえるものですが、残念ながら差別の原因にもなっていますね。今回紹介するアルビノの人々は、国籍や親の外見、ルーツに関わらず、一様にして「真っ白」な外見をもつのです。その姿は美しくもあり、神秘的でもあります。しかしその特徴により、その身が危険にさらされることもあるのです。

1-1.外見的特徴

アルビノのヒトの特徴は、真っ白な体毛・頭髪、透き通るような白い肌、淡紅色や淡青色・淡褐色といった瞳の色です。白い人という字を使ういわゆる白人でも肌は多少なりとも黄色が混ざり、体毛や頭髪は茶色や赤みがかった茶色という人も多く存在しますよね。しかしアルビノの場合、肌は血管が見えるような白さであり、髪の毛はプラチナブロンド(白色)からブロンド(金色)、日光による変色で黄色をしています。また、瞳の色も特徴的であり、ごく淡い色の虹彩をもつのです。ヒト以外の動物も同様で、真っ白な皮膚や毛に覆われ、赤い目をしています。その見た目から神秘的な魅力を感じる人は少なくないでしょう。

アルビノは一般的にヒトを含めた動物に対して用いることが多いものの、植物にもアルビノは存在します。動物同様に真っ白な外見をしていますが、動物以上に希少かもしれません。その理由は次で解説します。

1-2.原因メカニズム

1-2.原因メカニズム

image by Study-Z編集部

アルビノの原因は色素のもととなるメラニンの生合成に関わる遺伝情報が欠損することによる先天的な遺伝子疾患です。肌や髪、瞳の色はメラニンの量に比例します。メラニン量が多いほど各所の色は濃く、少ないほど薄くなるのです。紫外線などの刺激を受けるとメラニンがつくり出されるために肌の色が濃くなります。いわゆる日焼けの状態ですね。これは外部の刺激から肌を守るための防御反応であり、その刺激がなくなれば肌の新陳代謝によって元に戻ります。つまり、肌の色が濃い人というのは紫外線の多い地域に住んでいたり、そういった土地にルーツをもつ人であり、自らを守るための進化の過程といえるでしょう。一方でアルビノは遺伝情報の欠損によって生まれながらにしてメラニンが少なく、生成できないために真っ白な外見になるとされています。

植物の場合、光合成に必要な葉緑体に存在するはずのクロロフィルという色素が少ないことが原因です。光合成ができないということは成長に必要なエネルギーを得られないと同じであり、個体そのものがもともと持っているエネルギーを使い果たした時点で枯れてしまいます。そういった点で食べることで栄養を補給する動物とは異なり、実際に目にすることはごく稀といえるでしょう。

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