いざ受験勉強を始めようと思っても、腰が重くてなかなか始められない人っていますよね。特に夏休みや春休みなどの長期休み明けは腰が重くなりがちです。まぁ、流石に冬休み明けに腰が重くなっている人はあまり見ませんが。

ん?「腰が重い」の意味、ちゃんと理解できていますか?この「腰が重い」というのは、簡単に言えば「気軽に行動を起こさない様子」という意味の慣用句です。

今回はその「腰が重い」について、院卒日本語教師の筆者が解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で2年間働き、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「腰が重い」の意味や使い方は?

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「腰が重い」という言葉、日常の中で見聞きしたり、実際に使ったりしたことがある人が多いのではないでしょうか。ただ、正確な意味や使い方を把握している人は少ないかもしれません。そこで、まずは「腰が重い」の意味と使い方を確認していきましょう。

「腰が重い」の意味は「気軽に行動を起こさない様子」

最初に、「腰が重い」の辞書での意味を確認していきましょう。「腰が重い」は、次のような意味が国語系の辞典に掲載されています。

気軽に行動を起こさないさま。

出典:明鏡 ことわざ成句使い方辞典(大修館書店)「こしがおもい【腰が重い】」

「腰が重い」は「気軽に行動を起こさない様子」を表す慣用句です。何かを行おうと考えていても、面倒だったり不安だったりして、やる気が起こらずに一向に腰が上がらない様子から生まれた言葉だとされています。やる気が起きず、なかなか行動に移せない…そのような状態を表現する慣用句です。また、慎重であるがゆえになかなか行動を起こさない…という状態を表すこともできます

「腰が重い」の使い方を例文とともに確認!

続いて、「腰が重い」の使い方を例文とともに確認していきましょう。「腰が重い」は「腰重い」という言い方をすることもありますが、意味は同じです。

\次のページで「「腰が重い」の類義語は?」を解説!/

1.明日から福岡へ出張なのだが、腰が重く荷物の準備が全く進んでいない。
2.田中さんは、自分に利益があるという確信がないと動かない腰の重い人だ。説得するのは大変だぞ。
3.海外に旅行に行くことに腰が重かった母だが、一度行ったらハマってしまい、最近は年に3回は海外旅行をしている。

例文1では、「腰が重い」を用いて、「出張へのやる気が起きず、荷物の準備が遅々として進まない様子」を表しています。やる気が起きず必要な行動にすぐに移れない…そのような場合に「腰が重い」は適切な言葉です。

例文2では、「腰が重い」を用いて、「自分に利益があるという確信がないと動かない慎重な様子」を表しています。やる気が起きない場合以外にも、慎重であるがゆえに行動に移すのが遅い…そのような場合にも「腰が重い」は使用可能です。

例文3では、「腰が重い」を用いて、「海外を旅行する気分にならず、なかなか海外旅行をしなかった様子」を表しています。不安が原因か慎重さが原因なのかはこの文からは分かりませんが、行動を起こす気分にならないため、なかなか行動に移せない…そのような場合にも「腰が重い」は使用できますよ。

「腰が重い」の類義語は?

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次に、「腰が重い」の類義語を確認していきましょう。「腰が重い」の類義語は「尻が重い」「気が乗らない」「億劫」です。意味やニュアンスを確認し、「腰が重い」と比較してみましょう。

「尻が重い」:なかなか行動を起こそうとしない様子

尻が重い」は「なかなか行動を起こそうとしない様子」を表す慣用句です。意味やニュアンスは「腰が重い」と全く変わりません。腰とお尻は身体の中で隣接している部分であるため、2つの言い方ができたと考えるのが自然でしょう。

なお、「腰が重い」「尻が重い」は意味とニュアンスは同一ですが、「腰が軽い」「尻が軽い」は意味が若干異なる部分があります。どちらも「行動が軽率である」という意味を持つ点では共通していますが、「腰が軽い」は「軽快に行動に移す様子」、「尻が軽い」は「(女性が)浮気っぽい」という異なる別の意味がありますね。

「気が乗らない」:何かをしようとする気持ちが起こらない

「気が乗らない」は「ある物事に対して、何かをしようとする気持ちが起こらない」という意味の慣用表現です。何かをしなけらばならないのにやる気が起こらない人に頼まれごとをしているのにやる気が起きない…そのような様子を表す場合に使用する表現ですね。

よく似た「気乗りしない」という表現も、「気が乗らない」と全く同じ意味を表します。

\次のページで「「億劫」:面倒で気が進まない様子」を解説!/

「億劫」:面倒で気が進まない様子

「億劫(おっくう)」は「面倒で気が進まない様子」を表す言葉です。仏教用語で「きわめて長い時間」という意味を表す「億劫(おっこう)」という言葉が一般用語に転じて生まれた言葉だと考えられています。

「気が進まない様子」を表す点は「腰が重い」と似ていますが、「億劫」は、その理由が「面倒だから」という場合に限られる点が違いですね。

他にもある!「○○が重い」という慣用句

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ここまで、「腰が重い」の意味や使い方、類義語を紹介してきました。「○○が重い」という慣用句は、類義語に「尻が重い」がありましたが、実は他にもいろいろあるのです。ここでは、その内の「気が重い」「足が重い」を紹介していきます。

「気が重い」:気分が晴れない様子

「気が重い」は、「悪い結果が予想されたり、物事が負担に感じられたりして気分が晴れない様子」を表す表現です。不安や心配事がある場合や、物事に対してプレッシャーを感じている場合に用いられる表現ですね。

「腰が重い」とは異なり、「なかなか行動を起こさない」というニュアンスは含まれていません。よって、類義語ではなくこちらのコーナーでご紹介しました。

「足が重い」:足が疲れて歩きづらい、行きたくない

「足が重い」は「足が疲れて歩きづらい様子」「その場所に行きたくない様子」という2つの意味を表す表現です。1番目の意味では、長い距離を歩いたり走ったりした後で足が疲れてしまい、動きにくくなった様子を表します。2番目の意味では、その場所に行きたくないため、なかなか歩みが進まない様子を表しますね。

「重い」という言葉を使って「動きが遅い」という点を表している点では、「腰が重い」と共通しています。

「腰が重い」時は、自分を不安にして追い込もう!

今回は「腰が重い」について紹介しました。「腰が重い」は「気軽に行動を起こさない様子」を表す慣用句です。何かを行おうと考えていても、面倒だったり不安だったりして、やる気が起こらずに一向に腰が上がらない様子から生まれた言葉だとされています。

どうしても「腰が重い」時、人間なら誰でもありますよね。そのような時は「行動を起こさなかった場合に起こる不都合」を想像するといいですよ。不安から自然と身体が動き出すはずです!

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国語言葉の意味

重いことは良くないこと?「腰が重い」の意味や類義語などを院卒日本語教師がわかりやすく解説

いざ受験勉強を始めようと思っても、腰が重くてなかなか始められない人っていますよね。特に夏休みや春休みなどの長期休み明けは腰が重くなりがちです。まぁ、流石に冬休み明けに腰が重くなっている人はあまり見ませんが。

ん?「腰が重い」の意味、ちゃんと理解できていますか?この「腰が重い」というのは、簡単に言えば「気軽に行動を起こさない様子」という意味の慣用句です。

今回はその「腰が重い」について、院卒日本語教師の筆者が解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で2年間働き、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「腰が重い」の意味や使い方は?

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「腰が重い」という言葉、日常の中で見聞きしたり、実際に使ったりしたことがある人が多いのではないでしょうか。ただ、正確な意味や使い方を把握している人は少ないかもしれません。そこで、まずは「腰が重い」の意味と使い方を確認していきましょう。

「腰が重い」の意味は「気軽に行動を起こさない様子」

最初に、「腰が重い」の辞書での意味を確認していきましょう。「腰が重い」は、次のような意味が国語系の辞典に掲載されています。

気軽に行動を起こさないさま。

出典:明鏡 ことわざ成句使い方辞典(大修館書店)「こしがおもい【腰が重い】」

「腰が重い」は「気軽に行動を起こさない様子」を表す慣用句です。何かを行おうと考えていても、面倒だったり不安だったりして、やる気が起こらずに一向に腰が上がらない様子から生まれた言葉だとされています。やる気が起きず、なかなか行動に移せない…そのような状態を表現する慣用句です。また、慎重であるがゆえになかなか行動を起こさない…という状態を表すこともできます

「腰が重い」の使い方を例文とともに確認!

続いて、「腰が重い」の使い方を例文とともに確認していきましょう。「腰が重い」は「腰重い」という言い方をすることもありますが、意味は同じです。

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