この記事では「肝を冷やす」という慣用句について解説する。

端的に言えば「肝を冷やす」の意味は「ひやりとする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「肝を冷やす」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「肝を冷やす」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「肝を冷やす」の意味や使い方を見ていきましょう。

「肝を冷やす」の意味は?

国語辞典には「肝を冷やす」に関して、次のような記載があります。

危ない目にあって、ひやりとする。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「肝を冷やす」

「肝を冷やす」という慣用句のポイントは、実際に危ないめに遭った上でひやりとしているという点です。ですから、自分が直接危険な状況に置かれてもいないのにこの表現を使うのは、誤用だといえます。

また、「肝を冷やす」の「肝」いわゆる「肝臓」とは異なるものだという点にも注意が必要です。この場合の「肝」とは、性根や心根という意味を表しています。

すなわち、「肝を冷やす」というのは「恐怖の感情」を表した比喩表現なのです。

「肝」を用いたその他の慣用句

ここでは、「肝を冷やす」のように「肝(きも・かん)」に関連した慣用句やことわざ、故事成語などを紹介していきます。

・「肝が太い」…勇敢で物怖じしないさま。

・「肝が据わる」…度胸があって動揺しない。

・「肝を潰す」…非常に驚く。びっくりする。

・「肝に銘ずる」…心に深く刻みつける。

・「肝胆相照らす」…非常に親しく付き合う。

・「肝胆を寒からしめる」…恐怖心を抱かせる。

この一覧を見ても分かるように「肝」は、大まかに「心」を意味しています。このことを知っていれば、いざというときに大変便利でしょう。

「肝を冷やす」の使い方・例文

続いて、「肝を冷やす」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

歩きスマホをしていたところ交差点であやうく車にひかれそうになって、健太は大いに肝を冷やしたことだろう。

肝を冷やしたといえば、子供のころ山菜採りに山へ入ったときに冬眠明けの熊と鉢合わせになったことを思い出すよ。

スズメバチの大群を目の当たりにしてひどく肝を冷やした彼女は、それからしばらくは外に出ようとしなかった。

これらの例文で押さえておくべきことは二つあります。それは、「肝を冷やす」「ひやっとする」という意味であることと、それが危険な目に遭ったからだということです。

特に後者がきちんとしていないと、この慣用句を用いることはできないので注意しておきましょう。たとえば、ひとつめの例文では、車にひかれそうになったことがそれに当てはまります。

そして、二つめの例文では、熊と鉢合わせになったことが恐怖心を抱いた原因です。最後の例文では、スズメバチの大群を見てしまったことがそれにあたります。

#2 「肝を冷やす」の類義語は?違いは?

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次に「肝を冷やす」類義語にはどのようなものがあるのしょうか。ここでは、代表的なものを二つほどご紹介します。

「薄氷を履む」

「薄氷を履(ふ)む」は、「肝を冷やす」と似た意味を持った慣用句だといえます。この言葉が表すのは、非常に危険なことに臨むことという意味です。

そもそも薄氷というのは、寒の戻りのために薄い氷が張ることをいいます。もちろん、そのような薄い氷の上を歩けば、いつ氷が割れて水の中に落ちてしまうか分かりません。

そんな不安で仕方のない様子をこの慣用句は表しています。ただし、すでに起きてしまったことではなくて、これから起こるであろうことに使用している点には注意が必要です。

\次のページで「「身の毛もよだつ」」を解説!/

「身の毛もよだつ」

「身の毛もよだつ」もまた、「肝を冷やす」の類義語・同義語として通用するものです。こちらの慣用句は、恐怖で体の毛が差が立つような思いがする様子を表しています。

ちなみに、「よだつ」とは毛が立つという意味の動詞です。では、これらの慣用句を用いた例文も、ここで押さえておきましょう。

敵地のど真ん中を通って撤退したその部隊の面々は、さぞかし薄氷を履む思いをしたことであろう。

サーカスで綱渡り中にバランスを失って落下したピエロは、ここにネットがなかったらと考えると身の毛もよだつおもいだった。

#3 「肝を冷やす」の対義語は?

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では、「肝を冷やす」対義語には、いったいどのようなものがあるのしょうか。心がひやりとするの「ひやり」に注目すれば、その反対は「あたたかい」になるはずです。

また、心がひやりとする原因が取り除かれれば、それもまた対義語といえるものになるでしょう。ここでは、そのような意味合いを持った慣用句を二つご紹介します。

「心に灯がともる」

「心に灯(あかり)がともる」は、温かい気持ちになるという意味の慣用句です。ここに登場する「灯」とは、ろうそくやランプのようなものを想像するとよいでしょう。

人の親切な行為やうれしくなるような出来事に出会ってほんのりと優しい気持ちになる。そんな意味合いがこの慣用句にはあります。

「胸をなで下ろす」

「胸をなで下ろす」もまた、「肝を冷やす」の対義語となりえるものです。こちらは、温かい気持ちになるというよりも、心配事や恐怖を感じるものから解放された安堵の気持ちを表しています。

たとえるなら、冷え切った心が常温に戻ったといったところでしょうか。では、これらの慣用句を用いた例文をここで確認しておきましょう。

その人気作家が書く小説は、どれをとってもあなたがた出版社一同の心に灯をともしてくれることだろう。

救出された赤ちゃんの命に別状はないとの病院側のコメントに、胸をなで下ろしたことはいうまでもない。

#4 「肝を冷やす」の英訳は?

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それでは、最後に「肝を冷やす」英語で表現するとどうなるのか、いっしょに見ていきましょう。

\次のページで「「freeze someone's blood」」を解説!/

「freeze someone's blood」

「freeze someone's blood」は、「肝を冷やす」を英訳した中でもっともポピュラーなもののひとつです。この表現を直訳すると「〇〇の血を凍らせる」となります。

洋の東西の違いで「肝」か「血液」かに分かれるのは、大変興味深い点です。それと同時に両者ともに「冷やす」「凍らせる」と、どちらも温度が下がるといった意味の表現を使っている点にも興味がひかれます。

「scare oneself」

「scare oneself」もまた「肝を冷やす」の英訳となりえるものです。こちらに登場する「scare」には怖がらせるという意味があります。

つまり、「自分自身を怖がらせる」=「ギョッとする」=「肝を冷やす」というわけです。

「肝を冷やす」を使いこなそう

この記事では「肝を冷やす」の意味・使い方・類語などを説明しました。この慣用句の意味は、「危ない思いをしてひやりとする」でした。

みなさんは、なるべくなら肝を冷やすような体験はしたくありませんよね?もし仮にそうなったとしても、無事に解決して胸をなで下ろせるようにしたいものです。

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国語言葉の意味

【慣用句】「肝を冷やす」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

この記事では「肝を冷やす」という慣用句について解説する。

端的に言えば「肝を冷やす」の意味は「ひやりとする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「肝を冷やす」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「肝を冷やす」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「肝を冷やす」の意味や使い方を見ていきましょう。

「肝を冷やす」の意味は?

国語辞典には「肝を冷やす」に関して、次のような記載があります。

危ない目にあって、ひやりとする。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「肝を冷やす」

「肝を冷やす」という慣用句のポイントは、実際に危ないめに遭った上でひやりとしているという点です。ですから、自分が直接危険な状況に置かれてもいないのにこの表現を使うのは、誤用だといえます。

また、「肝を冷やす」の「肝」いわゆる「肝臓」とは異なるものだという点にも注意が必要です。この場合の「肝」とは、性根や心根という意味を表しています。

すなわち、「肝を冷やす」というのは「恐怖の感情」を表した比喩表現なのです。

「肝」を用いたその他の慣用句

ここでは、「肝を冷やす」のように「肝(きも・かん)」に関連した慣用句やことわざ、故事成語などを紹介していきます。

・「肝が太い」…勇敢で物怖じしないさま。

・「肝が据わる」…度胸があって動揺しない。

・「肝を潰す」…非常に驚く。びっくりする。

・「肝に銘ずる」…心に深く刻みつける。

・「肝胆相照らす」…非常に親しく付き合う。

・「肝胆を寒からしめる」…恐怖心を抱かせる。

この一覧を見ても分かるように「肝」は、大まかに「心」を意味しています。このことを知っていれば、いざというときに大変便利でしょう。

「肝を冷やす」の使い方・例文

続いて、「肝を冷やす」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

歩きスマホをしていたところ交差点であやうく車にひかれそうになって、健太は大いに肝を冷やしたことだろう。

肝を冷やしたといえば、子供のころ山菜採りに山へ入ったときに冬眠明けの熊と鉢合わせになったことを思い出すよ。

スズメバチの大群を目の当たりにしてひどく肝を冷やした彼女は、それからしばらくは外に出ようとしなかった。

これらの例文で押さえておくべきことは二つあります。それは、「肝を冷やす」「ひやっとする」という意味であることと、それが危険な目に遭ったからだということです。

特に後者がきちんとしていないと、この慣用句を用いることはできないので注意しておきましょう。たとえば、ひとつめの例文では、車にひかれそうになったことがそれに当てはまります。

そして、二つめの例文では、熊と鉢合わせになったことが恐怖心を抱いた原因です。最後の例文では、スズメバチの大群を見てしまったことがそれにあたります。

#2 「肝を冷やす」の類義語は?違いは?

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次に「肝を冷やす」類義語にはどのようなものがあるのしょうか。ここでは、代表的なものを二つほどご紹介します。

「薄氷を履む」

「薄氷を履(ふ)む」は、「肝を冷やす」と似た意味を持った慣用句だといえます。この言葉が表すのは、非常に危険なことに臨むことという意味です。

そもそも薄氷というのは、寒の戻りのために薄い氷が張ることをいいます。もちろん、そのような薄い氷の上を歩けば、いつ氷が割れて水の中に落ちてしまうか分かりません。

そんな不安で仕方のない様子をこの慣用句は表しています。ただし、すでに起きてしまったことではなくて、これから起こるであろうことに使用している点には注意が必要です。

\次のページで「「身の毛もよだつ」」を解説!/

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