最近の学生たちは大人よりもネットをうまく使いこなしていますね。感心します。ネットには様々な"流言飛語"があふれています。その"流言飛語"に騙され惑わされているのは、正直に言って大人の方が多いんじゃないでしょうか。

「流言飛語」について院卒日本語教師の筆者が解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で働いている日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「流言飛語」の意味や語源は?

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「流言飛語(りゅうげんひご)」という言葉、見たことはあるけれど使ったことはないような…という印象の人が多いかもしれませんね。実は現在、使える場面が増えている言葉でもあります。まずは、その「流言飛語」の意味や語源を確認していきましょう。

「流言飛語」の意味は「根拠のない噂」

最初に「流言飛語」の辞書での意味を確認していきましょう。「流言飛語」について、国語系の辞典には次のような意味が掲載されています。

根拠のないうわさ。特に、無責任なものや、いい加減なものをいう。

出典:大修館 四字熟語辞典(大修館書店)「りゅうげん-ひご【流言飛語】」

「流言飛語」は「根拠のない噂」という意味の四字熟語です。真実ではない噂や真偽が確かではない噂について使用します。「流言」は「根も葉もない噂」という意味で、「飛語」は「広まっている根拠のない噂」という意味です。また、「飛語」を「非語」と書く人が散見されますが、「非語」は誤りですので気をつけましょう。なお、かつては「流言蜚語」と書いていたそうです。

「流言飛語」の語源は中国にあり!

「流言飛語」の語源は中国の古典にあります。まず「流言」という言葉が初めて書物に現れるのは『礼記』という紀元前に書かれた儒教の書物です。そして「飛語」の初出も、紀元前に成立した『史記』ですね。この2つが合わさった「流言飛語」という言葉が初めて登場するのは『先撥志始』という明の時代の末期、日本の江戸時代の初めごろに成立した書物です。

つまり「流言飛語」は、江戸時代以降に日本に入ってきた言葉だと考えられますね。

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「流言飛語」の使い方を例文とともに確認!

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続いて、「流言飛語」の使い方を確認していきましょう。「流言飛語」を含んだ例文を3つ用意しました。どのような文脈や意味で使用されているのか、確認してみてください。

1.A選手がB監督と確執を起こしたことにより、シーズンオフにトレードに出されるという報道があったが、おそらく流言飛語だろう。
2.芸能人は流言飛語に悩まされる職業だ。
3.インターネット上は流言飛語であふれている。正しい情報を見つけ出す力が必要だ。

例文1では、A選手とB監督の確執の報道について、「おそらく根拠のないデマだろう」という意味で「流言飛語」が使用されています。スポーツ選手のチーム内でのトラブルや確執の報道は、根拠のないものも多いですよね。

例文2では、「芸能人は根も葉もない噂やデマに悩まされる仕事だ」という文脈で「流言飛語」が使用されています。芸能人の名前を検索すると、同時にいろいろな噂も目に入りますよね。ただ、その噂は根拠のない・薄いものも多いです。

例文3では、「インターネット上は根拠のないデタラメな情報であふれている」という文脈で「流言飛語」が使用されています。最近はありとあらゆるデマがインターネットを通じて拡散されやすくなりました。情報を得る側のリテラシーも試されるようになっていますよね。

「流言飛語」の類義語は?

次に、「流言飛語」の類義語を確認していきましょう。「流言飛語」の類義語は「デマ」「ガセネタ」「流説」です。意味やニュアンスを確認し、「流言飛語」と比較してみてください。

「デマ」:根拠のない噂話

「デマ」は「政治的な効果を狙って意図的に流す虚偽の情報」「根拠のない噂話」という2つの意味を持つ言葉です。2番目の「根拠のない噂話」という意味で使用される場合は、「流言飛語」と意味やニュアンスの違いはありません。ドイツ語の「Demagogie(デマゴギー)」を省略した表現です。

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「ガセネタ」:デタラメの情報

「ガセネタ」は「デタラメの情報」という意味のくだけたカジュアルな表現です。「ガセ」は「偽物」や「ウソ」という意味を表し、「ネタ」は「材料」という意味を表します。「噂」というニュアンスが現れないのが「流言飛語」との違いです。

「流説」:根拠のない噂

「流説(りゅうせつ/るせつ)」は「根拠のない噂」という意味の単語です。意味やニュアンスは「流言飛語」と違いはありません。「流言飛語」とお互いに言い換えることが可能です。

「流言飛語」の英語表現は?

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最後に、「流言飛語」の英語表現を確認しましょう。「流言飛語」の英語表現は「false rumor」です。意味や例文をここで見ていきましょう。

「false rumor」:デマ、流言飛語

「false rumor」は直訳すると「間違った噂」となり、「デマ」や「流言飛語」の訳語として用いられる表現です。複数形の「false rumors」という形で使用されることが多いですね。例文を確認していきましょう。

1.Since the spread of the Internet, the speed at which false rumors spread has increased.
インターネットの普及後、流言飛語の広がるスピードが速くなった。

2.I cut ties with a friend who believed false rumors on the Internet and participated in radical demonstrations.
インターネット上の流言飛語を信じ、過激なデモに参加する友人と縁を切った。

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ネット上は「流言飛語」でいっぱいです…

今回は「流言飛語」について解説しました。「流言飛語」は「根拠のない噂」という意味の四字熟語で、真実ではない噂や真偽が確かではない噂を言い表す表現です。古い漢字を使用して「流言蜚語」と書いても問題ありません。

インターネット上は、多くの流言飛語であふれています。目にした情報をすぐに信じるのではなく、他の情報と照らし合わせて確認する癖をつけましょう。インターネットは有効に使えば最強の武器になりますが、「流言飛語」に惑わされると何の価値もなくなります。

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国語言葉の意味

根拠なき噂に注意!「流言飛語」の意味や類義語などを院卒日本語教師がわかりやすく解説

最近の学生たちは大人よりもネットをうまく使いこなしていますね。感心します。ネットには様々な”流言飛語”があふれています。その”流言飛語”に騙され惑わされているのは、正直に言って大人の方が多いんじゃないでしょうか。

「流言飛語」について院卒日本語教師の筆者が解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で働いている日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「流言飛語」の意味や語源は?

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「流言飛語(りゅうげんひご)」という言葉、見たことはあるけれど使ったことはないような…という印象の人が多いかもしれませんね。実は現在、使える場面が増えている言葉でもあります。まずは、その「流言飛語」の意味や語源を確認していきましょう。

「流言飛語」の意味は「根拠のない噂」

最初に「流言飛語」の辞書での意味を確認していきましょう。「流言飛語」について、国語系の辞典には次のような意味が掲載されています。

根拠のないうわさ。特に、無責任なものや、いい加減なものをいう。

出典:大修館 四字熟語辞典(大修館書店)「りゅうげん-ひご【流言飛語】」

「流言飛語」は「根拠のない噂」という意味の四字熟語です。真実ではない噂や真偽が確かではない噂について使用します。「流言」は「根も葉もない噂」という意味で、「飛語」は「広まっている根拠のない噂」という意味です。また、「飛語」を「非語」と書く人が散見されますが、「非語」は誤りですので気をつけましょう。なお、かつては「流言蜚語」と書いていたそうです。

「流言飛語」の語源は中国にあり!

「流言飛語」の語源は中国の古典にあります。まず「流言」という言葉が初めて書物に現れるのは『礼記』という紀元前に書かれた儒教の書物です。そして「飛語」の初出も、紀元前に成立した『史記』ですね。この2つが合わさった「流言飛語」という言葉が初めて登場するのは『先撥志始』という明の時代の末期、日本の江戸時代の初めごろに成立した書物です。

つまり「流言飛語」は、江戸時代以降に日本に入ってきた言葉だと考えられますね。

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