この記事では「内憂外患」について解説する。「内憂外患」は四字熟語です。別に難しい意味というわけじゃないが、危機的状況を示す言葉ということもあって、使いどころはやや限定されるな。特に学生の内はあまり縁の無い言葉ですが、社会人になると見かける機会が増え始めるから、学習しておくぞ。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「内憂外患」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「内憂外患」ってどんな意味?

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「内憂外患」の意味は、以下のとおりです。

国内の心配事と、外国との間に生じるやっかいな事態。内にも外にも憂慮すべき問題が多いこと。

「内」は国内、「外」は国外、「憂」「患」はともに憂えるの意。もとは国内外に解決すべきやっかいな問題が山積みしていることを表したが、現在では会社組織などの様子を表すときにも広く用いられる。

出典:goo辞書「内憂外患」

「内憂外患」とは、まずい状況にあることを指しています。ただまずいだけでなく、自分にとっての身内側と、外部側でそれぞれ別々に問題が発生している状態です。主に国内と国外の問題に対して使用されることが多いため、政治などのニュースで比較的頻出する言葉でもあります。

一方で現代では、会社などの組織や、家庭内と仕事の場など、より生活に密着した場面でも使用されるように。いずれにしろ良い意味合いではなく、問題だらけの状況を示していることに変わりはありません。

「内憂外患」ってなんて読むの?

「内憂外患」の読み方は「ないゆうがいかん」です。読み慣れないと、何か特殊で変わった読み方をするのでは?と考える人も多いですが、実は特別な読み方はしません。「憂(ゆう)」は「憂鬱(ゆううつ)」の「憂」であり、「憂い(うれい)」。つまり、思い通りにならず辛い思いをするさまを表しています。

同時に「患(かん)」は「患者(かんじゃ)」の「患」であり、「患う(わずらう)」ともいう言葉です。これも上手くいかず辛く感じる様を表しており、「憂」と意味合いとしてはほぼ同様と言えるでしょう。これが「内外」にあり、自分にとっての内も外も問題ばかりという意味になります。

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「内憂外患」の語源は?

「内憂外患」は出典がはっきりしている言葉のひとつです。春秋左氏伝にこの言葉があり、内容としては、晋という国が楚という国と戦争を起こそうとした時に、晋の范文子(はんぶんし)という人が次のように意見しました。「晋という国は国外が安定していると、必ず内側に問題が生じてしまいます。むしろ楚と戦わないでいた方が良いです。」と。

これは少々わかりにくいですが、「国の外と中、両方に問題があるという場合はあっても、両方に問題が無いなどということはあり得ない」という前提での話です。国の外側と内側、必ずどちらか、あるいは両方にトラブルはある、という意見になります。

そのため、楚という国外の問題をあえて残した方が、内側だけでも安定するでしょうという、国内を重視した意見であるわけです。

「内憂外患」ってどう使うの?

「内憂外患」は以下のように使用します。

1.現在の我が国は、政治に外交にトラブルだらけ。まさに「内憂外患」だ。
2.「内憂外患」にならないためにも、今は競合他社でなく、自社の経営の見直しをすべきだと思う。
3.最近夫と上手くいってないけれど、「内憂外患」になるのは避けたいから、せめて仕事だけでも終わらせたい。

状況を表す四字熟語であるため、繋がる言葉は限定的な傾向にあり、「だ/である/になる/~な状態」などが一般的に登場します。使い方のバリエーションが狭いという意味では、やや使い勝手が悪いとも言えますが、慣れると簡単に使えるようになるため、それまで少しづつ慣れていきましょう。

もっと詳しく!「内憂外患」について

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「内憂外患」は辞書上の意味を知っただけでも、使う分には不自由しません。しかし、世間的にどう扱われているかを知ることで、よりスムーズに読み書きできるようになります。ニュースなどで出ることも多いため、覚えておきましょう。

「内憂外患」に該当するとき・しないとき

「内憂外患」は、自分にとって内側にあたる部分と、外側に当たる部分があるという前提での言葉になります。どんなに大きなトラブルがあっても、問題の場所が集中している場合は、「内憂外患」とは言いません。

まれに「内憂外患」を、「とにかく問題の数が多い」という意味だと勘違いし、内側と外側の定義があいまいなまま「内憂外患」を使用しているケースがありますが、それは間違いです。使用する際は、内側とはどこで、外側とはどこなのかを意識して使用してください。

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注意!「内憂外患罪」は誤った言葉!

「内憂外患罪」という言葉があります。検索すると候補に出てくるほどですが、実はこれは誤った言葉です。正確には「外患誘致罪」であり、「外患」という言葉が共通しているため、しばしば間違われることが原因でしょう。

「外患誘致材罪」とは現在日本でもっとも重い刑罰であり、この罪状で判決が出ると死刑しかありません。内容は簡単に言うと、「外国と手を組んで日本国に武力を行使させた罪」となります。テロや大量殺人を想定した刑罰ですが、テロや大量殺人であっても、外国が関係していない時はあてはまりません。

「内憂外患」は政治用語か?

「内憂外患」は一般的な会社や家庭の場でも使用可能な言葉ですが、使用できることと、使用する人が多いかということは別問題です。実際の問題として「内憂外患」は、今でも国内外の問題を表す言葉として使われがちであり、「政治の言葉だ」と感じて敬遠する人が見受けられます。

確かに政治関連のニュースなどに、出番が偏る言葉であるのは事実です。しかし、だからといって一般的な状況で使ってはいけないというわけではありません。政治の言葉だから、自分には縁が無いからという考えは止めて、親しむようにしておきましょう。

「内憂外患」の類義語は?

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「内憂外患」の類義語としては、「内患外禍(ないかんがいか)」があります。意味は国の中にも外にも心配事があることであり、読んでわかる通り、「内憂外患」とほぼ意味合いとしては同様です。「外禍」の「禍」とは「わざわい」という意味であり、「コロナ禍」という言葉が広まるにつれ、知った人も多いでしょう。

「渦(うず)」とはへんが異なるため、注意してください。また、「内患外禍」も四字熟語であるため、あえてこちらに置き換えせねばならない状態は考えづらく、類義語としては一致率が高すぎてやや使いづらくもあります。

「内憂外患」は起こりうる

「内憂外患」は決していい意味の言葉ではありません、少なくとも、諸手をあげて歓迎するようなものではないでしょう。しかし同時に、起こりうることでもあります。重要なことは、そうなったとしても諦めず、希望を捨てないことです。

特に現代のような情報化社会は、不安の種は探せばいくらでも見つかってしまいます。未来予測も大切ですが、今目の前で起きていることを大切にしていきましょう。

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国語言葉の意味

簡単でわかりやすい「内憂外患」の意味や使い方・類義語!持たれているイメージが偏りがち?言葉大好きライターが詳しく解説

この記事では「内憂外患」について解説する。「内憂外患」は四字熟語です。別に難しい意味というわけじゃないが、危機的状況を示す言葉ということもあって、使いどころはやや限定されるな。特に学生の内はあまり縁の無い言葉ですが、社会人になると見かける機会が増え始めるから、学習しておくぞ。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「内憂外患」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「内憂外患」ってどんな意味?

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「内憂外患」の意味は、以下のとおりです。

国内の心配事と、外国との間に生じるやっかいな事態。内にも外にも憂慮すべき問題が多いこと。

「内」は国内、「外」は国外、「憂」「患」はともに憂えるの意。もとは国内外に解決すべきやっかいな問題が山積みしていることを表したが、現在では会社組織などの様子を表すときにも広く用いられる。

出典:goo辞書「内憂外患」

「内憂外患」とは、まずい状況にあることを指しています。ただまずいだけでなく、自分にとっての身内側と、外部側でそれぞれ別々に問題が発生している状態です。主に国内と国外の問題に対して使用されることが多いため、政治などのニュースで比較的頻出する言葉でもあります。

一方で現代では、会社などの組織や、家庭内と仕事の場など、より生活に密着した場面でも使用されるように。いずれにしろ良い意味合いではなく、問題だらけの状況を示していることに変わりはありません。

「内憂外患」ってなんて読むの?

「内憂外患」の読み方は「ないゆうがいかん」です。読み慣れないと、何か特殊で変わった読み方をするのでは?と考える人も多いですが、実は特別な読み方はしません。「憂(ゆう)」は「憂鬱(ゆううつ)」の「憂」であり、「憂い(うれい)」。つまり、思い通りにならず辛い思いをするさまを表しています。

同時に「患(かん)」は「患者(かんじゃ)」の「患」であり、「患う(わずらう)」ともいう言葉です。これも上手くいかず辛く感じる様を表しており、「憂」と意味合いとしてはほぼ同様と言えるでしょう。これが「内外」にあり、自分にとっての内も外も問題ばかりという意味になります。

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