この記事では「雲泥(うんでい)の差」について解説する。

端的に言えば「雲泥の差」の意味は「大きな違い」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「雲泥の差」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「雲泥の差」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「雲泥の差」の意味や使い方を見ていきましょう。

「雲泥の差」の意味は?

「雲泥の差」には、次のような意味があります。

天と地ほどの隔たり。大変なちがい。 「昔と今の生活水準には-がある」

出典:大辞林 第三版(三省堂)「雲泥の差」

「雲泥の差」どうして「大変な違い」を表しているのか考えてみましょう。みなさん、「雲」はどこにありますか?

そう、答えは空の上です。一方で、「泥」の方はいかがでしょうか?

そんなの地面に決まっているじゃないかと答える人がほとんどでしょう。その通りです。

もうお分かりでしょうか。雲は天を表し、泥は地を表しています。

つまり、雲泥の差とは天地ほどもかけ離れている様子を表した慣用表現だったのです。

「雲泥の差」の出典は?

次に「雲泥の差」出典を確認しておきましょう。これは、中国に大活躍した詩人である白居易の「傷友」という詩にその由来があります。

その詩の中にあるのが、次のような一節です。「今日長安の道、対面雲泥を隔つ

これは、洛陽にいた頃は貧しくてもお互いに助け合っていた友人が、今長安では道であってもお互いに顔を見合わせることすらしないのはまさに雲泥の差であることをうたっています。

\次のページで「「雲泥の差」の使い方・例文」を解説!/

「雲泥の差」の使い方・例文

「雲泥の差」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

同じ建設業を営んでいるといっても、わが社と一部上場のA社との経営規模を比べると雲泥の差があるといわざるをえまい。

おたくの息子さんは大学も出ているしきちんと就職もしているから、うちの息子とはまさに雲泥の差がありますよ。

雲泥の差といえば、以前世界中で疫病が流行ったときにとった各国政府の防疫に関する対応のことを思い出してしまう。

「雲泥の差」が意味するのは、差や隔たりの大きさに他なりません。この慣用句が用いられた文を理解するには、何について差や隔たりが大きいのかをきちんと押さえておくのがポイントです。

最初の例文では、経営規模がまったく異なることを理解しましょう。この場合は、圧倒的にA社の方が大規模であることが読み取れます。

二つめの例文で示されているのは、相手と自分の息子の進路状況といったところでしょうか。明記はされていないものの、自分の息子がいまだに無職であることが示唆されています。

最後の例文は、各国政府の間でうまく立ち回ったところとそうでなかったところで差の甚だしかったことがうかがえるものです。

#2 「雲泥の差」の類義語は?違いは?

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次に、「雲泥の差」類義語をいくつか紹介していきましょう。差が甚だしいことを表現するのは、何も「雲泥」だけではありません。

「月とすっぽん」

「月とすっぽん」もまた、「雲泥の差」と同じくらいポピュラーな慣用表現です。月もすっぽんも同じような丸い形をしています。

ところが、その姿をよく見ると美しい月に対し、すっぽんは泥にまみれた醜い姿が印象的です。このように、一見すると似ているもののよく見ると随分と異なっていることを表現するときにこの慣用句はよく用いられています。

\次のページで「「提灯に釣鐘」」を解説!/

「提灯に釣鐘」

「提灯(ちょうちん)に釣鐘(つりがね)」もまた、「雲泥の差」と同様の意味合いを持った慣用表現です。提灯も釣鐘も吊るして用いるもので形も似ているのに、その大きさや用途はまったく異なります。

そういうわけで、こちらも「月とすっぽん」のように「似て非なるもの」「比較にならないもの」の例えとして用いられるのが一般的です。

君が作曲した作品と彼のものとを比べると、まさに月とすっぽんという表現がぴったりだと思ったね。

うちのサッカー部とそちらとでは、規模が提灯に釣鐘とまでは言わないが、それに近いものがありませんか。

#3 「提灯に釣鐘」の対義語は?

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ところで、「雲泥の差」対義語はどのようなものだと考えられるでしょうか。「雲泥の差」が差が大きくてまったく異なるものであるならば、その逆は非常によく似ていることだといえるでしょう。

ここでは、このような意味合いを持った慣用表現を二つほどご紹介します。

「団栗の背比べ」

「団栗(どんぐり)の背比べ」は、差がほとんどないことを表すのによく用いられる慣用表現です。団栗は、パッと見ただけではその大きさはほとんど同じようにしか見えません。

そのような様子からほぼ同じレベルであるのを表現するフレーズとして用いられるようになりました。ただし、一般的にはどれもが平凡で優れた人や物が存在しないときに用いられるので注意が必要です。

「似たり寄ったり」

「似たり寄ったり」もまた、差がほとんどないことを表した慣用表現です。こちらも、高いレベルで同じというより、平凡もしくは低レベルで差がないことを示すのに用いられることがほとんどですので、使用する際には注意しましょう。

だれ一人として突出した存在がなく、どのお点前も団栗の背比べという表現がまさにぴったりであった。

先ほどから応募された漫画を拝見しているのですが、似たり寄ったりのレベルだというのが正直な感想です。

\次のページで「「雲泥の差」の英語訳は?」を解説!/

#4 「雲泥の差」の英語訳は?

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では、最後に「雲泥の差」が英語ではどのように表現されているのか見ていきましょう。

「chalk and cheese」

「chalk and cheese」は、「雲泥の差」を英訳したものの中でもっともポピュラーなもののひとつです。たとえば、黄色のチョークとスティックタイプのチーズを想像してみてください。

どうでしょうか?結構似ていると思いませんか?

もちろん、よく見れば結構見た目も違いますし、そもそも用途もまったく違います。似ているのはパッと見の印象ぐらいでしょうか。

見た目が似ているという点では、「月とスッポン」や「提灯に釣鐘」に近い存在なのかもしれません。

「a world of difference」

「a world of difference」もまた、「雲泥の差」を英訳した表現だといえるものです。こちらは、たとえば次のような文で用いられます。

・There was a world of difference between the service in the two companies.
(二つの会社のサービスには、雲泥の差があった。)

「雲泥の差」を使いこなそう

この記事では「雲泥の差」の意味・使い方・類語などを説明しました。この慣用句は、「差がはなはだしい」ことを表すものです。

両極端のものを例として挙げて表現する表現技法は、国語では珍しくありません。みなさんも類義語や対義語も含めて多くを習得することで、表現の幅をどんどん広げていってくださいね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「雲泥の差」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

この記事では「雲泥(うんでい)の差」について解説する。

端的に言えば「雲泥の差」の意味は「大きな違い」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「雲泥の差」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「雲泥の差」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「雲泥の差」の意味や使い方を見ていきましょう。

「雲泥の差」の意味は?

「雲泥の差」には、次のような意味があります。

天と地ほどの隔たり。大変なちがい。 「昔と今の生活水準には-がある」

出典:大辞林 第三版(三省堂)「雲泥の差」

「雲泥の差」どうして「大変な違い」を表しているのか考えてみましょう。みなさん、「雲」はどこにありますか?

そう、答えは空の上です。一方で、「泥」の方はいかがでしょうか?

そんなの地面に決まっているじゃないかと答える人がほとんどでしょう。その通りです。

もうお分かりでしょうか。雲は天を表し、泥は地を表しています。

つまり、雲泥の差とは天地ほどもかけ離れている様子を表した慣用表現だったのです。

「雲泥の差」の出典は?

次に「雲泥の差」出典を確認しておきましょう。これは、中国に大活躍した詩人である白居易の「傷友」という詩にその由来があります。

その詩の中にあるのが、次のような一節です。「今日長安の道、対面雲泥を隔つ

これは、洛陽にいた頃は貧しくてもお互いに助け合っていた友人が、今長安では道であってもお互いに顔を見合わせることすらしないのはまさに雲泥の差であることをうたっています。

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