地学大気・海洋理科

我々がその下で暮らしている「大気の構造」とは?理系ライターがわかりやすく解説

今回は大気の構造について解説していきます。

普段生活しているとあまり意識することはないが、我々は空気の塊の底で暮らしている。我々がその中で暮らしている空気の塊を大気という。天気予報でよく聞く気圧とはこの空気の塊の重さのことです。大気について基本的なことを学んでみよう。

今回は物理学科出身のライター・トオルさんと解説していきます。

ライター/トオル

物理学科出身のライター。広く科学一般に興味を持つ。初学者でも理解できる記事を目指している。

大気の構造

image by iStockphoto

大気とは惑星や衛星の重力によって、それらの周囲に捕らえられている気体のことです。大気が存在する領域を大気圏とよんでいます。太陽系では、地球以外にも、複数の惑星と衛生に大気が存在しており、それぞれの大気は固有の特徴を持っているようです。地球の大気圏の下端は決まっていますが(もちろん地表面)、上端は明確には存在しません。上層にいくにつれ、大気は希薄になり宇宙空間と連続しています。

気象現象は高度100km以下で起こる現象ですので、便宜的に高度100kmを上限することもあるようです。地球の半径が約6400kmであることを考えると、大気の厚さは地球の直径の100分の1以下しかありません。しかし、もちろん大気がなくなれば我々は死んでしまいます。また、金星のように大気が厚すぎても、人間にとっては住みやすい環境にはならないでしょう。

今回はその地球の大気について、基礎的な事柄を学んでみましょう。ついでに、太陽放射についても簡単に触れておきます。

大気の鉛直構造(80km以下)

地球の大気は鉛直方向にいくつかの層に区分されています。層の区分は根拠は主に気温分布です。各層の境界の高度は緯度・季節によって異なりますので、ここで示す数値は大まかなものだと理解してください。地表面から約12kmまでの領域では、気温が平均的に1km上昇するごとに6.5度の割合で下がります。この層が対流圏です。対流圏では、空気の様々な運動が存在し、雲の発生・降水など多様な天気現象が存在しています。

地表面より約12~50kmまでは、気温が高度とともに徐々に上昇する層です。この層を成層圏と呼びます。20世紀初頭に成層圏が発見されたときは、大気の運動が存在せず密度成層をなしていると考えられ、この名前が付けられました。しかし、実際には大規模な大気の循環や物質と熱の輸送が起こっています。また、成層圏内に存在しているのがオゾン層です。

高度50~80kmまでは再び気温が高度とともに減少する層になります。この層が中間圏です。成層圏と中間圏の区別はあまり意味がありませんので、両者を合わせて中層大気と呼ぶこともあります。中層大気の特徴は高度50kmにおける気温極大層です。地球と似た構造をしている火星と金星にはこのよう層は存在せず、地球独特の構造になります。

この気温極大層は後で説明する、オゾン層による太陽放射エネルギーの吸収が原因です。オゾン層は長い地球史の中で生物が作り出したものになります。

 

大気の鉛直構造(80km以上)

Polarlicht 2.jpg
United States Air Force photo by Senior Airman Joshua Strang – この画像データはアメリカ合衆国空軍が ID 050118-F-3488S-003 で公開しているものです。 これはライセンスタグではありません!別途、通常のライセンスタグが必要です。詳しくはライセンシングをご覧ください。 العربية | বাংলা | Deutsch | English | español | euskara | فارسی | français | italiano | 日本語 | 한국어 | македонски | മലയാളം | Plattdüütsch | Nederlands | polski | پښتو | português | svenska | Türkçe | українська | 中文 | 中文(简体)‎ | +/− http://www.af.mil/weekinphotos/wipgallery.asp?week=97&idx=9 (Full Image), パブリック・ドメイン, リンクによる

高度80km以上の領域では大気温度は急激に増加します。この領域が熱圏です。80km以上の領域では窒素や酸素の原子・分子の一部が太陽の紫外線によって電離し、電離層を形成しています。このため80km以上の領域の別名は電離圏です。電離層は複数存在することが知られており、下から順にD層(80km)、E層(100~120km)、F1層(170~230km)、F2層(200~500km)と呼ばれます。

80km以上の領域で、太陽風の起源の高エネルギーのプラズマ粒子(正と負の荷電粒子が共存して運動する粒子の集合体)が、地球大気の分子や原子と衝突することにより発生するのが、オーロラと呼ばれる発光現象です。高度100kmから200kmの領域では、プラズマ粒子が酸素原子に衝突することにより緑色のオーロラが発生します。300km付近の高高度で発生するのは、プラズマ粒子が酸素原子に衝突することによる赤色のオーロラです。

高度100km以下での領域でもまれに窒素分子によってピンク色のオーロラが、窒素分子イオンによって紫色のオーロラが発生することがあります。ちなみに、火星や木星などほかの天体でもオーロラは発生しているようです。上記の画像は地球の地上から見たオーロラの画像になります。

大気の組成

Atmosphere gas proportions.svg
Mysid – Vectorized version of w:Image:Atmosphere gas proportions.gif (originally by Brockert). I SVG’d it a) to make it more international (chemical symbols) b) to make it (hopefully) clearer when rendered as a thumbnail and c) to make it easier to modify., パブリック・ドメイン, リンクによる

次は大気を構成している成分について見てきましょう。地球大気の主成分は窒素と酸素です。地表付近においての体積混合比は、窒素は約78%、酸素は約21%となっています。これ以外の成分はあわせて1%程度です。大気の成分比は高度方向に変化しています。あと、対流活動の影響を受け、かなり大きく変動しているのは水蒸気、つまりH2Oの量です。

光化学反応や相変化を起こしにくい窒素分子、酸素分子、アルゴン、二酸化炭素の混合比は高度80kmまでほぼ一定しています。これは、対流圏・成層圏・中間圏では混合、つまり十分に混ぜ合わせが起こっているという意味です。高度約80kmまでは主成分が地表付近と同様に窒素分子と酸素分子になります。これに対して、80km以上の上空では酸素原子が主成分の一つです。

水蒸気、オゾン、メタン、一酸化二窒素、一酸化炭素、フロンなどは濃度が非常に小さく微量成分とよばれています。しかし、微量成分は量は少なくても気候変動に重大な影響をおよぼすことがあるようです。たとえば、フロンは成層圏のオゾン層を破壊し、二酸化炭素、オゾン、メタン、一酸化二窒素は温室効果を持っています。

上記の画像は海面付近でのエアロゾル等の微粒子を除いた清浄な乾燥空気での組成分布です。

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