
原子核崩壊のメカニズムとは?理系学生ライターが詳しくわかりやすく解説!
ガンマ線の正体
原子核崩壊に伴って放出される代表的な放射線には、アルファ線とベータ線だけではなく、ガンマ線も含まれています。先ほど、電子捕獲反応(エレクトロンキャプチャー)が起こるときにガンマ線が放出されると述べましたが、実はアルファ崩壊やベータ崩壊が起こる際にもガンマ線が生じるのです。
しかしながら、アルファ崩壊やベータ崩壊の反応式にはガンマ線は含まれていませんよね。どのようなメカニズムでガンマ線が生じるのでしょうか?アルファ崩壊やベータ崩壊が起きた直後の原子核は励起状態にあるのです。励起状態とは、通常の状態(基底状態)よりも原子核がエネルギーを過剰に有していることを指します。そして、この過剰なエネルギーが放出されるときにガンマ線が生じるのです。
ガンマ線は電磁波であり、非常に強い透過能力をもちます。そのため、ガンマ線を遮蔽する場合には、厚い鉛板などが必要になるのです。一方、ガンマ線の電離作用はアルファ線やベータ線に比べて小さくなっていますよ。
核分裂反応と連鎖反応

原子核崩壊の際には、非常に大きなエネルギーが生じます。そこで、原子核崩壊を人為的かつ連続的に起こすことで、安定的に大きなエネルギーを取り出す仕組みが考え出されました。この仕組みを利用しているのが、原子力発電や原子力潜水艦です。ここでは、どのようにして、原子核崩壊を人為的かつ連続的に起こさせるのかを考えましょう。
特定の原子核に熱中性子を照射すると、その原子核は2つの別の原子核に分裂します。この際に、複数の中性子も生じますよ。この中性子はもう一度、特定の原子核に衝突します。すると、同様の核分裂反応が生じて、中性子が出てきますよね。このような反応を繰り返すことができれば、安定的に大きなエネルギーを取り出すことができるのです。この繰り返しの過程を、連鎖反応といいます。
核分裂反応と連鎖反応を起こすことができる原子核は限られており、この性質をもつ物質を核燃料として用いるのです。現在、核燃料にはウラン235が用いられていますよ。
原子核崩壊について理解しよう
原子核崩壊は、核物理や放射化学といった学問の基本中の基本の部分です。このような知識をベースにして、原子力工学などを学んでいきます。核エネルギーに興味のある方は、まずはこの記事の内容を頭に入れておきましょう!
ぜひ、この機会に原子核崩壊について学んでみてください。