
原子核崩壊のメカニズムとは?理系学生ライターが詳しくわかりやすく解説!
「原子核崩壊」は、不安定な原子核が安定な原子核へと姿を変えるときに起こる反応です。この反応の理論は、原子力発電などの科学技術を支えるもので、日本を含む世界中で研究開発されているぞ。今回は、「原子核崩壊」のメカニズムや種類について説明する。ぜひ、この記事を読んで「原子核崩壊」について学んでくれ。
エネルギー工学、環境工学を専攻している理系学生ライターの通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長
現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。放射化学、放射線物理学、原子力工学なども勉強中。
原子核について

原子は、原子核とその周りに存在する電子から構成されます。そして、原子核は複数の陽子と中性子が集合したものです。原子の化学的な性質は、原子核中の陽子の個数によって決定されますよね。陽子が1つであれば水素、陽子が2つであればヘリウムといった具合です。一方、中性子の数は、化学的な性質にほとんど影響を与えません。つまり、陽子がただ1つ含まれる原子は、中性子が何個含まれていても水素なのです。
では、中性子の数は原子核にどのような影響を与えるのでしょうか。実は、中性子の数は原子核の安定度に影響を与えます。水素の場合を例にとって考えてみましょう。天然に存在する水素は、中性子の数が0個(軽水素)、1個(重水素)、2個(三重水素)の合計3種類の同位体がありますよ。これらの存在比は軽水素が99.99%、重水素が0.01%、三重水素は極めて0に近い値となっています。したがって、水素の場合には中性子の数が0個の軽水素が最も安定的に存在することになりますね。重水素や三重水素は、安定度が低く存在しずらいものであることがわかります。
原子核崩壊とは?
先ほど、原子核には安定度という概念があり、存在しやすい原子核と存在しにくい原子核があると述べました。ここでは、安定度の低い原子核がどのような反応を起こすのかを考えますね。実は、安定度の低い原子核は、安定度の高い原子核へと変身するという性質があります。この変身の過程が原子核崩壊です。原子核崩壊の際には、非常に大きなエネルギーが放出されます。
原子核崩壊について、より詳しく考えましょう。原子核崩壊のとき、安定度の低い原子核はいくつかの陽子や中性子の放出し、安定度の高い原子核に変化します。このときに放出される陽子や中性子のかたまりが放射線の正体なのです。また、放射線を出す性質がある原子核を放射性核種といい、放射線を出す能力のことを放射能といいます。
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