今日はヒトの体に欠かせない「肺」について学ぶぞ。

中学校の理科の授業で肺については習っていると思うが、自分の体内にもある肺の構造をきちんと理解しているか?肺の主な働きは吸い込んだ酸素を体内にいきわたらせることです。肺で吸った酸素と血液中の二酸化炭素のガス交換が行われる。哺乳類、両生類、爬虫類、鳥類が肺で呼吸をしているんです。

今回は肺がどんなつくりをしているのか、そして肺はどんな働きをしているのかを勉強する。解説は大学時代に家庭教師のバイトをしていたリケジョのたかはしふみかがします。

ライター/たかはし ふみか

ハムスターと亀と暮らす化学系大学院出身のリケジョ。高校は化学部に所属していた。趣味は理科の雑学の本を読むこと。中学時代は理科が得意で、家庭教師では定期テストや受験対策で英語、数学、理科を教えていた。

肺とはどんな器官?

image by PIXTA / 59220514

肺とは呼吸器系のひとつで、心臓の左右にひとつずつあります。

呼吸器系とは呼吸を行う器官のことです。呼吸器系含まれるのは次の器官になります。

上気道

 鼻腔:鼻の穴の中

 咽頭:食物路と気道が交わり、消化管と気道の両方に属している

 喉頭:咽頭と気管の間で、発声する役割も持つ

下気道

 気管:気道が左右に分かれるまでの部分

 気管支:肺の中で枝分かれし、末端に肺胞があり血液中の二酸化炭素と空気中の酸素のガス交換が行われる

 肺:横隔膜などの拡張・伸縮によって呼吸が行われる

結構いろいろな器官がありますね。咽頭と喉頭はどっちがどっちか混乱しやすいので注意が必要です。

肺はスポンジ状の器官で重さは2つあわせて1㎏程度になります。成人は4秒に1回くらいのペースで呼吸し、通常の呼吸で取り入れられる空気の量は350~500ml程度です。自販機で買えるペットボトル1本分ぐらいの量ですね。この呼吸をするときに吸い込んだ空気が通る道を気道といい、鼻腔・咽頭・喉頭・気管・気管支などが含まれています。

肺と心臓

肺と心臓

image by Study-Z編集部

心臓から出る血液が通る道を動脈、心臓に戻る血液が通る道を静脈といいます。全身に行くのが大動脈、全身から戻るのが大静脈、そして肺に行くのが肺動脈、肺から戻るのが肺静脈です。

呼吸によって体内に入った新鮮な空気と血液中の二酸化炭素・老廃物は肺で交換されます。つまり肺から出て心臓に行って全身を巡る血液は酸素が多く、一度心臓に戻ってきて肺に送りだされる血液は酸素が少ないのです。酸素が多い血液を動脈少ない血液を静脈と呼びます。

肺の前後で変わる血液の色

Red White Blood cells.jpg
Electron Microscopy Facility at The National Cancer Institute at Frederick (NCI-Frederick) - [1], パブリック・ドメイン, リンクによる

血液といえば赤色のイメージですね。しかし血液の色は肺を通る前と後で異なります。この血液の色に関係しているのが色素ヘモグロビンです。赤血球中に存在するヘモグロビンは酸素と結合し、肺から全身へと運ばれます。ヘモグロビンには鉄が含まれていて、酸化した(さびた)鉄は赤色をしていますね。同じようにヘモグロビンの鉄も酸素と結合すると赤くなるのです。

先ほど動脈と静脈、動脈血と静脈血について説明しました。しかし、動脈を通るから動脈血なのではなく、血液中酸素がポイントなのに注意してください。酸素を含んだ血液を動脈、酸素が少ない血液を静脈といいます。そのため、肺静脈を動脈血が通り、肺動脈を静脈が通るのです。

血液についてはこちらの記事を読んでみてくださいね。

\次のページで「肺と一緒に覚えたい器官」を解説!/

肺と一緒に覚えたい器官

肺と一緒に覚えたい器官

image by Study-Z編集部

肺が正常に機能するには様々な器官の協力が必要です。どんな器官があるか確認してみてくださいね。

肺の中で枝分かれ「気管支」

気管支のキーワドは「枝分かれ」です。気管から肺に入り、肺の中で枝分れしている気管支。気管支の先には細気管支があり、さらにその先端に肺胞があります。気管支に小さな異物が入ってしまった場合は粘液でゴミを捕まえ、線毛によって取り除かれるのです。

効率の良いガス交換「肺胞」

気管支の先についた肺胞の壁で血液中の二酸化炭素と呼気中の酸素が交換されます。多数の肺胞があることで表面積が増え、効率よくガス交換が行われているのです。ところで体の中で表面積を増やして効率よく働いているといえば小腸にある柔毛。柔毛も小腸の表面積を増やし、消化の候率を上げています。

肺胞が集まったのが肺胞嚢です。肺胞の周りにはたくさんの毛細血管があり、それを間質が支えています。ちなみにヒトは4500万個ほどの肺胞を持って生まれ、中学生になる頃に2、3億個まで増加するそうです。

呼吸を生み出す「横隔膜」

肺には筋組織(伸縮性を持ち、筋繊維からできている組織)がありません。代わりに横隔膜の働きによって肺が拡張・伸縮します。息を吸うとき、横隔膜が縮んで下がり引っ張られて肺が膨らみ、逆に息を吐くときは横隔膜が伸びて上がり押し上げられて肺が縮むのです。

しゃっくりとは、この横隔膜が痙攣した時に起こる現象。しゃっくりに関する世界記録ではなんと、60年以上にわたり2秒から3秒に1回くらいのペースでしゃっくりをし続けた人がいるそうです。

実験 肺の再現

実験 肺の再現

image by Study-Z編集部

筋肉のない横隔膜がどのように膨らんで空気を取り入れているのかを学ぶことができる肺の模型は、おうちで簡単に作ることができます。用意するのは次のものです。

\次のページで「肺の仕事」を解説!/

ペットボトル(肋骨、胸腔)、フタ:1つ

風船(肺、横隔膜):2つ

ストロー(気管):1つ

ゴム栓4号:1つ

テープ:適量

模型の作り方、実験方法をご紹介します。

1 ペットボトルの底を切り取る。

2 ゴム栓とペットボトルのフタにストローが通る穴を開ける。

3 ストローをゴム栓の穴に通し、適当長さに切る。

4 ゴム栓の細い方に風船をかぶせ、ペットボトルにゴム栓をする。

5 ゴム栓の上からペットボトルのフタをする。

6 ペットボトルの底を切り取った部分に、上半分を切り取り口を縛ったもうひとつの風船をかぶせて完成。

結んだ風船(横隔膜)の結び目を引っ張ると、中の風船(肺)が膨らみます。ゴム栓がない時は風船とストローをしっかりと固定してくださいね。うまくいかないときは、どこかから空気が漏れていないか確認してみてください。

肺の仕事

肺の仕事は体の中の二酸化炭素と外から取り入れた新しい酸素を入れ替えることです。肺の仕事といえば呼吸をイメージする人が多いでしょう。呼吸には外呼吸と内呼吸があり、肺が担当しているのは外呼吸の方です。

外呼吸とは先ほど説明した体の中と外で二酸化炭素と酸素を交換することで肺が行っています。そして内呼吸とはグルコースなど栄養を分解してエネルギーを作り出しATP(アデノシン三リン酸)を生産し、細胞呼吸とも呼ばれているのです。

肺を持つ生き物

肺を持つ生き物

image by Study-Z編集部

呼吸方法にはいくつかあり、動物の種類によって異なります。植物も呼吸をしていますが、呼吸器官はなく、葉の表皮にある気孔を使って呼吸をしているのです。

肺で呼吸をする動物には哺乳類、鳥類、爬虫類がいます。カエルのような両生類だと幼生(オタマジャクシ)はえら呼吸で、成長すると肺呼吸に変わります

\次のページで「人の呼吸に必須!肺のはたらき」を解説!/

人の呼吸に必須!肺のはたらき

肺によって人をはじめとする哺乳類や鳥類、爬虫類は体内に酸素を取り入れることができます。生き物が生きるのに新鮮な酸素は欠かせず、肺は酸素を取り入れるのに大切な器官です。そんな肺を学ぶと血液の流れや、肺胞などがよく出てきます。心臓から出た血液がどのような経路で流れているのか、血液は肺を通る前後でどう違うのか、そして肺胞の役割は必ず覚えてください。

また、呼吸器系にはたくさんの器官があります。医療系に行きたい人は肺だけでなく呼吸に関わる他の器官についても確認してみてくださいね。

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タンパク質と生物体の機能理科生物

3分で簡単肺のつくりとはたらき!元家庭教師が分かりやすくわかりやすく解説

今日はヒトの体に欠かせない「肺」について学ぶぞ。

中学校の理科の授業で肺については習っていると思うが、自分の体内にもある肺の構造をきちんと理解しているか?肺の主な働きは吸い込んだ酸素を体内にいきわたらせることです。肺で吸った酸素と血液中の二酸化炭素のガス交換が行われる。哺乳類、両生類、爬虫類、鳥類が肺で呼吸をしているんです。

今回は肺がどんなつくりをしているのか、そして肺はどんな働きをしているのかを勉強する。解説は大学時代に家庭教師のバイトをしていたリケジョのたかはしふみかがします。

ライター/たかはし ふみか

ハムスターと亀と暮らす化学系大学院出身のリケジョ。高校は化学部に所属していた。趣味は理科の雑学の本を読むこと。中学時代は理科が得意で、家庭教師では定期テストや受験対策で英語、数学、理科を教えていた。

肺とはどんな器官?

image by PIXTA / 59220514

肺とは呼吸器系のひとつで、心臓の左右にひとつずつあります。

呼吸器系とは呼吸を行う器官のことです。呼吸器系含まれるのは次の器官になります。

上気道

 鼻腔:鼻の穴の中

 咽頭:食物路と気道が交わり、消化管と気道の両方に属している

 喉頭:咽頭と気管の間で、発声する役割も持つ

下気道

 気管:気道が左右に分かれるまでの部分

 気管支:肺の中で枝分かれし、末端に肺胞があり血液中の二酸化炭素と空気中の酸素のガス交換が行われる

 肺:横隔膜などの拡張・伸縮によって呼吸が行われる

結構いろいろな器官がありますね。咽頭と喉頭はどっちがどっちか混乱しやすいので注意が必要です。

肺はスポンジ状の器官で重さは2つあわせて1㎏程度になります。成人は4秒に1回くらいのペースで呼吸し、通常の呼吸で取り入れられる空気の量は350~500ml程度です。自販機で買えるペットボトル1本分ぐらいの量ですね。この呼吸をするときに吸い込んだ空気が通る道を気道といい、鼻腔・咽頭・喉頭・気管・気管支などが含まれています。

肺と心臓

肺と心臓

image by Study-Z編集部

心臓から出る血液が通る道を動脈、心臓に戻る血液が通る道を静脈といいます。全身に行くのが大動脈、全身から戻るのが大静脈、そして肺に行くのが肺動脈、肺から戻るのが肺静脈です。

呼吸によって体内に入った新鮮な空気と血液中の二酸化炭素・老廃物は肺で交換されます。つまり肺から出て心臓に行って全身を巡る血液は酸素が多く、一度心臓に戻ってきて肺に送りだされる血液は酸素が少ないのです。酸素が多い血液を動脈少ない血液を静脈と呼びます。

肺の前後で変わる血液の色

Red White Blood cells.jpg
Electron Microscopy Facility at The National Cancer Institute at Frederick (NCI-Frederick) – [1], パブリック・ドメイン, リンクによる

血液といえば赤色のイメージですね。しかし血液の色は肺を通る前と後で異なります。この血液の色に関係しているのが色素ヘモグロビンです。赤血球中に存在するヘモグロビンは酸素と結合し、肺から全身へと運ばれます。ヘモグロビンには鉄が含まれていて、酸化した(さびた)鉄は赤色をしていますね。同じようにヘモグロビンの鉄も酸素と結合すると赤くなるのです。

先ほど動脈と静脈、動脈血と静脈血について説明しました。しかし、動脈を通るから動脈血なのではなく、血液中酸素がポイントなのに注意してください。酸素を含んだ血液を動脈、酸素が少ない血液を静脈といいます。そのため、肺静脈を動脈血が通り、肺動脈を静脈が通るのです。

血液についてはこちらの記事を読んでみてくださいね。

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