パスツールの実験
パスツールの実験は「白鳥の首(スワンネック)の実験」として知られています。
パスツールは首が曲がったフラスコで、空気は外とつながっているけど微生物が入らない状況を作り出したのです。そしてこのフラスコに肉汁を入れて十分に加熱しました。そしてこの肉汁を放置し、腐敗しないことを確認したのです。この実験結果から肉汁が腐るのは外界の微生物が混ざるからであり、自然に発生した微生物によって腐敗するわけではないことを証明しました。
蚕とパスツール
絹糸作りが国の主要な産業であったフランスにとって蚕の大量死は深刻な問題でした。蚕の死因は桑が食べられなくなり体に黒褐色の斑点ができる微粒子病という病気です。パスツールは蚕がかかる微粒子病の原因がノゼマ・ボンビシスの寄生によることを突き止め、その防止方法を開発しました。
パスツール研究所
パスツール研究所は1887年にパリに設立されました。パスツールの功績のひとつである狂犬病ワクチンの開発成功への寄付金によって作られたのです。免疫学や微生物学、寄生虫学などの研究が行われています。この研究所からノーベル賞を受賞する優秀な研究者が排出され、エイズウイルスの発見やポリオワクチンの開発がされてきました。
近代細菌学の開祖、パスツールの功績
今では埃や泥から生き物が生まれないことは誰でも知っています。しかしパスツールが生まれ育ったころはまだ微生物は自然に発生すると思われていたのです。それをパスツールが実験によって自然に発生するわけではないことを証明しました。
低温殺菌によって風味をそのままにおいしく安全に牛乳やワインを楽しめるようになり、ワクチンの開発によって多くの人の命が助かっています。偉大な生物学者の功績をぜひ伝記で読んでみてはいかがでしょうか。