この記事では「一刀両断」について解説する。

端的に言えば一刀両断の意味は「ためらわずに思い切って決断すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「一刀両断」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「一刀両断」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一刀両断(いっとうりょうだん)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。比較的よく使われる四字熟語ですが、語源を知っていると詳しく正確に意味を掴むことができますよ。

「一刀両断」の意味は?

「一刀両断」には、次のような意味があります。「一刀両断」の意味に加えて、付随するニュアンスまであわせて見ていきましょう。

1.ひと太刀で、まっぷたつに断ち切ること。
2.すみやかに、はっきりとした処置をとること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

一つ目は、「一刀」をひと太刀で、「両断」を二つに切るというそのままの意味で使っており、物理的に切ることを表しています。もう一つの意味は、一つ目の意味から転じて、ひと太刀で切るかのように速やかに処置や決断をすることです。

基本的には「グズグズせず速やかである」「中途半端でなくはっきりしている」というプラスイメージの意味合いで使われることが多くなっています。ただ、「一刀両断」をされる側にとっては、もう少し熟慮してほしかったという気持ちになることはあるかもしれませんね。このように、やや冷たい印象を与える場合にも使われることがあります。

「一刀両断」の語源は?

次に「一刀両断」の語源を確認しておきましょう。そもそもの語源は、ひと太刀で切ることですが、中国の南宋の思想家である朱熹(しゅき)が、孔子のようすを「朱子語類(しゅしごるい)」に残しています

孔子が、人の世の将来を憂いて食事を忘れるほどであることがあるのに対して、自分が楽しむときには憂いをさっぱり忘れて没頭しているところを見て「一刀両断」と表したということです。

もとの切るという意味から転じて使っていますね。また、今の中国では「古い関係を思い切って断つ」という意味で使われていますよ。

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「一刀両断」の使い方・例文

「一刀両断」の使い方を例文を使って見ていきます。使い方の違いと意味合いの違いの両方に注目していきましょう。

1.真っ二つに切れている柳生一刀石と呼ばれる巨石は、柳生石舟斎が天狗を切ろうとした際に一刀両断したものとされている。
2.新しい情報提供サービスについて意見が分かれたが、部長の一刀両断により即決した。

例文の1.は、実際に切る場面について書かれています。ただし、伝説なので実際に切ったのかどうかは別ですが。2.のほうは、迷っていたものを部長の一存で即決したようすです。案を細かく見ていくと善し悪しはさまざまあるので、責任を持てる人が判断を下すのはよくあることですね。

また、使い方については、1.のほうは「一刀両断する」と動詞として使っており、2.は「一刀両断」を名詞として使っています。どちらもよく使われる表現方法です。

「一刀両断」の類義語は?違いは?

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それでは、「一刀両断」の類義語についての説明です。類義語であってもわずかな違いはあるので、ニュアンスまで見ていきましょう。

「勇猛果敢」

「一刀両断」の類義語には、「勇猛果敢(ゆうもうかかん)」があります。意味は、「勇ましくて力強く、決断力のあるようす」です。「勇猛」が勇ましく猛々しいようすを、「果敢」が思い切りのよいことを表しています。

「一刀両断」の意味としては決断する部分のみでしたが、「勇猛果敢」のほうは加えて勇ましくて力強いという意味がありますよ。

\次のページで「「即断即決」」を解説!/

「即断即決」

もう一つの類義語は、「即断即決(そくだんそっけつ)」です。「その場で直ちに決めること」という意味で使われます。「即断」も「即決」もどちらも物事の判断をすぐにするという意味を表していますよ。

「一刀両断」と意味はほぼ同じです。迷いなく決めることからいい意味で使われますが、「一刀両断」のように受け身で「即断即決される」という使い方はあまりしません。

「一刀両断」の対義語は?

次は、「一刀両断」の対義語について見ていきましょう。対義語ごとの意味の微妙な違いを確認していくといいですね。

「優柔不断」

「一刀両断」の対義語には、「優柔不断(ゆうじゅうふだん)」があります。意味は、「ぐずぐずしていて、物事の決断が鈍いこと」です。「優柔」は優しく柔らかということから意見がはっきりしないこと、「不断」は決断力に欠けるようすを表します。

「一刀両断」とはちょうど反対の意味になっており、決断ができないマイナスのイメージで使われる言葉です。

「思慮分別」

対義語には、さらに「思慮分別(しりょふんべつ)」があります。意味のほうは、「物事に注意深く考えをめぐらして判断すること」です。「思慮」は慎重に考えること、「分別」は物事の道理や常識から判断することを表しています。

「優柔不断」と同じく「一刀両断」と反対の意味になっていますが、「思慮分別」はよいほうの意味合いで使われますよ。よく考えて常識的な判断をするということで、安心感を与えながら問題解決に導いていくイメージです。

「一刀両断」の英訳は?

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最後に、「一刀両断」の英訳について見ていきます。特徴のある表現なので、語源も含めてチェックしていきましょう。

「cut the Gordian knot」

「一刀両断」の英訳は、「cut the Gordian knot」です。「the Gordian knot」とは「ゴルディアスの結び目」と呼ばれ、古代アナトリアの伝説に登場します

誰にも解けないほどに強く結ばれた「ゴルディアスの結び目」を解いた者がアジアの王になるということで、マケドニアの王であるアレクサンドロス王が挑戦するもののなかなか解けず、最後には剣で一刀両断にするという話です。そこから転じて、無理難題を解くという意味で使われていますよ。

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「一刀両断」を使いこなそう

この記事では「一刀両断」の意味・使い方・類語などを説明しました。「一刀両断」は語源からしてもプラスイメージの言葉であり、辞書にもいい意味で書いてあります。

ただ、実際には受け身で「一刀両断される」側からすると、「もう少しよく考えてほしかった」「事情をくんだ判断をしてほしかった」というように「残念ながら一刀両断されてしまった」というマイナスイメージのニュアンスで使うことがありますよ。

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【四字熟語】「一刀両断」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「一刀両断」について解説する。

端的に言えば一刀両断の意味は「ためらわずに思い切って決断すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「一刀両断」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「一刀両断」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一刀両断(いっとうりょうだん)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。比較的よく使われる四字熟語ですが、語源を知っていると詳しく正確に意味を掴むことができますよ。

「一刀両断」の意味は?

「一刀両断」には、次のような意味があります。「一刀両断」の意味に加えて、付随するニュアンスまであわせて見ていきましょう。

1.ひと太刀で、まっぷたつに断ち切ること。
2.すみやかに、はっきりとした処置をとること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

一つ目は、「一刀」をひと太刀で、「両断」を二つに切るというそのままの意味で使っており、物理的に切ることを表しています。もう一つの意味は、一つ目の意味から転じて、ひと太刀で切るかのように速やかに処置や決断をすることです。

基本的には「グズグズせず速やかである」「中途半端でなくはっきりしている」というプラスイメージの意味合いで使われることが多くなっています。ただ、「一刀両断」をされる側にとっては、もう少し熟慮してほしかったという気持ちになることはあるかもしれませんね。このように、やや冷たい印象を与える場合にも使われることがあります。

「一刀両断」の語源は?

次に「一刀両断」の語源を確認しておきましょう。そもそもの語源は、ひと太刀で切ることですが、中国の南宋の思想家である朱熹(しゅき)が、孔子のようすを「朱子語類(しゅしごるい)」に残しています

孔子が、人の世の将来を憂いて食事を忘れるほどであることがあるのに対して、自分が楽しむときには憂いをさっぱり忘れて没頭しているところを見て「一刀両断」と表したということです。

もとの切るという意味から転じて使っていますね。また、今の中国では「古い関係を思い切って断つ」という意味で使われていますよ。

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