この記事では「栄枯盛衰(えいこせいすい)」について解説する。

ひとことで言えば「栄枯盛衰」の意味は「栄えるときもあれば衰えるときもある」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「栄枯盛衰」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「栄枯盛衰」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「栄枯盛衰」の意味や使い方を見ていきましょう。

「栄枯盛衰」の意味は?

「栄枯盛衰」には、次のような意味があります。

人・家・国家などの勢いにも盛んな時と衰える時のあること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「栄枯盛衰」

「栄枯盛衰」「栄枯」とは、植物が青々と生い茂ったり枯れたりする様子を表現しています。一方の「盛衰」は、盛んな様子と衰えている様子を表した言葉です。

つまり、人間や組織、国家などが、勢いのある盛んな時期もあれば勢いをなくし衰える時期もあるという意味を表しています。日本では同様の意味を持った「人生山あり谷あり」や「浮き沈みが激しい」などの慣用句が有名です。

「栄枯盛衰」の使い方・例文

「栄枯盛衰」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「栄枯盛衰」の類義語は?違いは?」を解説!/

栄枯盛衰は世の常とはよく聞くが、東証一部上場企業だったものがこうもあっさりと廃業に追い込まれるとは驚きだよ。

世界史を学ぶと、これまで実に多くの国々が栄枯盛衰を繰り返しながら現代社会にいたっていることがよく理解できる。

戦後、日本国内でさまざまな産業が繁栄と衰退を繰り返してきた様子は、まさに栄枯盛衰であるとはいえないだろうか。

「栄枯盛衰」という四字熟語を使う際のポイントは、やはり栄えている状態にあるものが衰えていく様子が相手に上手く伝わるかどうかです。たとえば、いちばん最初の例文を見てみましょう。

「栄枯」の「栄」や「盛衰」の「盛」は、当然ながら東証一部に上場されるまでの企業になったことです。一方、「枯」「衰」は、廃業に追い込まれてしまったことで間違いありません。

最良の状態から最悪の状態へと落ちていく様子は、まさに「栄枯盛衰」だといえるものです。

#2 「栄枯盛衰」の類義語は?違いは?

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では、次に「栄枯盛衰」よく似た意味の四字熟語を見ていきましょう。ここでは、代表的なものを二つ、ご紹介します。

「諸行無常」

「諸行無常(しょぎょうむじょう)」は、この世に変化しないものや無くならないものはないという意味の四字熟語です。この言葉は平家物語の冒頭に登場するので、覚えている方も多いのではないかと思われます。

「諸行」は、この世のすべてのものという意味の仏教用語です。もう一方の「無常」は、変化しないものは存在しないという意味を表しています。

「盛者必衰」

「盛者必衰(じょうしゃひっすい)」もまた、「栄枯盛衰」の類義語といって差し支えのないものです。こちらも、栄えているものもかならずいつかは滅びるという意味合いを持っています。

先ほどの「諸行無常」と合わせて平家物語に登場するので、知名度は抜群です。この場合の「盛者」が平氏を表しているのは、いうまでもありませんね。

では、これらを用いた例文をチェックしておきましょう。

大手小売店がついに身売りなんてニュースを聞くと、徒然草の一節にもあった諸行無常という言葉がつくづく心にしみてくるね。

何といっても盛者必衰というのは世の習いだから、大手の商社に就職できたからといって一生安泰だとは思わない方がいいぜ。

「祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘の音、諸行無常の響きあり。」この一節を耳にしたことのある人も多いのではないでしょうか。それもそのはず。

これは、多くの国語の教科書にも採用されている「徒然草(つれづれぐさ)」の前文だからです。「徒然草」は、無常観をベースにさまざまな事象について筆者の兼好法師が自らの考えを述べています。

この世の中に「永遠」などというものは存在しない、人生は移ろいやすく儚(はかな)いものだ。そんな人生訓を「徒然草」からは読み取ることができます。

#3 「栄枯盛衰」の対義語は?

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さて、「栄枯盛衰」対義語にはどのようなものがあるのでしょうか。「栄枯盛衰」がこの世は「無常」であることを表した四字熟語ならば、その対義語は「永遠」を表したものになるはずです。

ここでは、そのような意味合いを持った四字熟語を二つご紹介します。

「百世不磨」

「百世不磨(ひゃくせいふま)」は、永遠に消えることなく存在し続けることという意味です。これは、先ほどまでに登場した「無常観」を表す四字熟語とは正反対の意味合いを持っています。

「百世」は、世代が百代も続くほど長い年月という意味の熟語です。もう一方の「不磨」は、磨かないという意味ではなく、磨耗しないという意味を表しています。

つまり、擦り減らないというわけですね。そして、この二つの熟語を合わせてできた「百世不磨」の意味は冒頭で紹介したとおりです。

「千古不易」

「千古不易(せんこふえき)」もまた、「栄枯盛衰」の対義語だといえるものです。こちらも、永遠に変わらないことを意味しています。

この四字熟語を構成する要素のうち「千古」は、はるか昔から現在にいたるまでという意味合いです。もう一方の「不易」変わらないことを意味しています。

これら二つを組み合わせた「千古不易」の意味は、もうお分かりでしょう。ちなみに「千」を「万」に変えた「万古不易(ばんこふえき)」という四字熟語もあるので、合わせて覚えておくとよいでしょう。

では、こちらも例文で用法を確認しておきます。

我ら親衛隊は百世不磨、この世から「押し」のアイドルが消え去ってしまうその日まで。

水は高き所から低き所へと流れゆく、これが千古不易の真理だというものじゃないかね。

\次のページで「「栄枯盛衰」の英訳は?」を解説!/

#4 「栄枯盛衰」の英訳は?

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それでは、最後に「栄枯盛衰」を英語で表現するとどうなるのか見ていきましょう。キーワードとなるのは、反対語をどのように英語で表すかです。

「rise and fall」

「rise and fall」は、「栄枯盛衰」を英語で表現したものの中でもっとも平易な表現のひとつです。「rise」上がることを、「fall」下がることをそれぞれ意味しています。

二つ合わせれば「良いときも悪いときも」というわけです。

「flux and reflux」

「flux and reflux」もまた、「栄枯盛衰」を英語で表現する方法のひとつです。「flux」とは海事用語で「上げ潮」のことを、「reflux」「引き潮」のことを意味します。

そして、これらがそのまま「栄えている状態」と「衰えている状態」を表す比喩になっているのは明白です。

「栄枯盛衰」を使いこなそう

この記事では「栄枯盛衰」の意味・使い方・類語などを説明しました。この四字熟語は、栄えているときものはいつか衰えるという無常観を表したものです。

構成する漢字はどれも平易なものばかりなので、ぜひ機会があったら使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「栄枯盛衰」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

この記事では「栄枯盛衰(えいこせいすい)」について解説する。

ひとことで言えば「栄枯盛衰」の意味は「栄えるときもあれば衰えるときもある」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「栄枯盛衰」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「栄枯盛衰」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「栄枯盛衰」の意味や使い方を見ていきましょう。

「栄枯盛衰」の意味は?

「栄枯盛衰」には、次のような意味があります。

人・家・国家などの勢いにも盛んな時と衰える時のあること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「栄枯盛衰」

「栄枯盛衰」「栄枯」とは、植物が青々と生い茂ったり枯れたりする様子を表現しています。一方の「盛衰」は、盛んな様子と衰えている様子を表した言葉です。

つまり、人間や組織、国家などが、勢いのある盛んな時期もあれば勢いをなくし衰える時期もあるという意味を表しています。日本では同様の意味を持った「人生山あり谷あり」や「浮き沈みが激しい」などの慣用句が有名です。

「栄枯盛衰」の使い方・例文

「栄枯盛衰」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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