理科生態系生物

「バイオハザード」の本来の意味とは?現役講師がわかりやすく解説!

よぉ、桜木建二だ。今回は「バイオハザード」というキーワードについて学んでみよう。

ゲームや映画で使われていることから、この言葉を聞いたことがある人は多いと思う。もともと生物学や医療の研究現場で使われる言葉なのだが、本来の意味まで理解しているやつは少ないのではないだろうか?

大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらおう。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/小野塚ユウ

生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。

バイオハザードとは?

生物学や医学の研究現場で使うバイオハザード(Biohazard)という言葉。これは、「bio-(生物の)」+「hazard(危険)」という構成からもわかる通り、生物に関する危険性を表す言葉です。日本語では「生物学的危害」、もしくは生物によって引き起こされる災害を指して「生物災害」と訳されます。

バイオハザードの例

バイオハザード(生物学的危害)を引き起こす可能性は、研究現場のさまざまなところにあります。

例えば、細菌やウイルス、寄生虫などをあつかう実験室。取り扱いを間違えると研究者が感染してしまい、犠牲者が出ることがあります。また、研究室外に危険な微生物が漏洩してしまう可能性も考えられますね。病原菌の研究が本格的に始まった19世紀後半から、このような事故は実際に起きています。

例えば、1979年に旧ソ連の生物兵器研究所から炭疽菌(炭疽菌)という細菌が漏洩する事故がありました。炭疽菌は炭疽症という、命にかかわる病気を引き起こす、とても危険な細菌です。

そんな炭疽菌が街中に広がってしまい、96名が感染。そのうちの66名が死亡しています。細菌やウイルスは目に見えないものだからこそ、バイオハザードを防ぐためには厳重な管理が必要になるのです。

image by iStockphoto

近年新しくバイオハザードの可能性が指摘されているのが、遺伝子組み換えなどを行った実験体です。遺伝子を人工的にコントロールした生物が、環境や動物、人間にどんな影響を及ぼすか、完全にはわかっていません。細菌やウイルス同様、しっかりとした管理が必要となるため、研究者たちは一定のルールのうえで取り扱うことにしているのです。

image by iStockphoto

じつは、私たちの身近なところにもバイオハザードは存在しているんです。皆さんが病院で血液検査や注射を受けるとき、血の付いたガーゼなどは指定された場所に捨てるよう指示されませんか?

人の血液には感染症を引き起こすウイルスなどが存在している可能性があります。片付けの際に不用意に触れてしまうことのないよう、血液や体液のついたゴミを分けることで、バイオハザードをコントロールしているのです。

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医療現場から出るごみのうち、感染症を引き起こす可能性のある廃棄物を感染性廃棄物という。感染性廃棄物の容器や保管場所には、後述するバイオハザードのマークを表示しなくてはならないんだ。

\次のページで「バイオハザードのマーク」を解説!/

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