「一縷千鈞」
一縷千鈞は「いちるせんきん」と読み、「一縷」は1本の糸、「千鈞」は非常に重い重さを示しています。1本の糸で千鈞もの重さを吊るす様子から、非常に危ない状態を示す言葉で、一触即発にとても近い意味の言葉です。似たような表現で「一髪千鈞」ともいい、こちらは糸が髪に変わっています。
「累卵之危」
累卵之危は「るいらんのき」と読みます。「累卵」は卵を積み重ねた状態を指していて、「危」は文字通り危うい(あやうい)状態を指す文字です。累卵之危で「卵を積み重ねたように危うい状態」という意味になります。こちらも、一触即発や一縷千鈞と同じような意味です。
「一触即発」に学ぶ漢字の意味
先に説明したとおり、一触即発の「一」は少し、「触」は手を加える、「即」はすぐに、「発」は何かが起こることを意味しています。このように、漢字はその文字自体が意味を持つ表意文字です。日本語のひらがなや英語のアルファベットのように、その文字自体は意味を成さない文字を表音文字といいます。
四字熟語のユニークな点は、表意文字の組合せで構成されているので、その熟語自体は知らなくても意味を類推できるところでしょう。
類義語で紹介した一縷千鈞は一触即発に比べるとあまり一般的な熟語ではありませんが、「一縷」は「一縷の望み」などの慣用句でも使われる表現ですし、「鈞」は重さを示す古い単位です。この知識があれば、一縷千鈞という熟語そのものは知らなくても、意味を想像することができます。逆に、使われている漢字の意味を熟語と一緒に覚えておけば、あまり見覚えのない漢字であっても熟語の意味から思い出せるかもしれません。
「累卵之危」という熟語を漢字の意味と一緒に知っていれば、「累代」など違う使われ方をしている漢字であっても意味を想像することができます。
四字熟語そのものの知識を問われるような機会はテストくらいですが、文学や論文など、漢字は文系理系を問わずあらゆる場面で触れる表意文字です。四字熟語とそこに使われている漢字の意味をセットで知れば、生活のあらゆる場面で役立つ教養となります。
「一触即発」を使いこなそう
今回の記事では、一触即発について、意味や使い方を説明しました。国語分野だけでなく、日常的にもよく目にする言葉ですが、正確な意味を問われると案外わからないものです。特に、一触即発には類義語が多く、それぞれのニュアンスが微妙に違っていたり、ほとんど変わらなかったりします。場面に合わせて正しく使えるようになりましょう。
さらに、表意文字としての漢字の特徴に注目し、四字熟語と漢字の意味をセットで覚えることについても触れました。この考え方は一触即発だけでなく他の熟語にも応用できますので、ぜひ積極的に活用してくださいね。