この記事では「医者の不養生」について解説する。

端的に言えば医者の不養生の意味は「人には養生を促す医者が自分の健康に配慮しないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

中高生に英語や数学など、指導経験豊富なライター要を呼んです。一緒に「医者の不養生」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/要

塾講師を5年していた経験がある。留学経験があり、学生時代は留学生と英語でコミュニケーションを取っていた。日本語とは違った英語の感覚をわかりやすく伝える。

「医者の不養生」の意味や語源・使い方まとめ

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たまに耳にする「医者の不養生」という言葉。意味はなんとなく知っていても、使い方や類義語などはあまり知られていません。そこで、今回は「医者の不養生」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「医者の不養生」の意味は?

「医者の不養生(いしゃのふようじょう)」とは、患者には養生を勧めていても、自分の健康には注意していないことを意味すると覚えている方が多いです。そのような意味もありますが、実際には少し違う意味の例えとして用いられます。

「医者の不養生」には、次のような意味がありますよ。

1.口では立派なことを説いているが、実行が伴わないことのたとえ。

出典:故事ことわざ辞典「医者の不養生」

「医者の不養生」とは、自分は立派なことを言っていても、実際には実行できていない例えとして使われます。先ほど紹介した「医者が養生しない」というももちろんありますが、それだけではなく人に言っていることを自分が行っていないという様を表していたのです。立派なことを言っている人に対してだけでなく、理屈をわかっている人が実行していないという状況を表すこともできます。

医者だけでなく専門家と言われる人は、「他人には専門的なアドバイスをしていても、自分は実行していない」と周りが思っている傾向があるようです。もちろん、医者が体調を崩した際にも使える表現になります。

また、医者や専門家だけでなく、どんな相手に対しても使える表現ですよ。

「医者の不養生」の語源は?

次に「医者の不養生」の語源を確認しておきましょう。

「医者の不養生」ということわざは、江戸時代の小説「風流志道軒伝(ふうりゅうしどうけんでん)」に登場します。「医者の不養生、坊主の不信心」という一説です。ここから、「医者の不養生」ということわざが誕生したと言われています。

患者には偉そうなことを言っていても、自分の健康には配慮しない医者によくある態度から生まれたようです。

\次のページで「「医者の不養生」の使い方・例文」を解説!/

「医者の不養生」の使い方・例文

「医者の不養生」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

医者に対してだけでなく、いろいろな人に使えることわざです。医者に対して使う例文と、医者以外に対して使う例文に分けてご紹介します。

この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.その医者が病を患ったのは、医者の不養生だな。
2.禁煙しろって言いながら、先輩は一向に禁煙しない。これこそ、医者の不養生だね。
3.パソコンのウイルス対策をしてるのに、自分のものがウイルスに感染したの?まさに医者の不養生。

1つ目の例は、医者に使われる例文です。患者のことを気にするあまり、自分の健康がおろそかになったことを指摘しています。医療関係で働く人たちには、多く見られるようです。医者に直接伝えることはないかもしれませんが、医者に対して使われることもありますよ。

2つ目と3つ目の例文は、医者以外に使われたのものです。偉そうに言っていたことや専門としていることを、自分は実践していない様子を表しています。そういった状況を指して、「医者の不養生だね」と付け加えるような使い方が多いです。

「医者の不養生」の類義語は?違いは?

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「医者の不養生」の類義語としては、「坊主の不信心(ぼうすのふしんじん)」や「儒者の不身持ち(ぶしゃのふみもち)」、「大工の掘っ立て(だいくのほったて)」、「紺屋の白袴(こんやのしろはかま)」、「左官の荒壁(さかんのあらかべ)」、「髪結いの乱れ髪(かみゆいのみだれがみ)」などがあります。

ここでは、「坊主の不信心」と「大工の掘っ立て」について見ていきましょう。

「坊主の不信心」

「坊主の不信心」とは、仏教の修業をしているお坊さんでも、仏を信じていないという僧侶の態度を表したことわざです。仏教を説いていても、自分は信仰していない様を表しています。

「坊主の不信心」も「医者の不養生」とほとんど同じ意味です。他人には立派な事を言っていても、実行していない状況を例えています。

例えば、「歯医者さんに銀歯がたくさんあって、坊主の不信心だと思ったよ」というように使えますよ。使い方も「医者の不養生」とあまり変わりませんね。

\次のページで「「大工の掘っ立て」」を解説!/

「大工の掘っ立て」

「大工の掘っ立て」とは、「人の世話を焼くことに忙しく、自分のことには手が回っていない」という例えの表現です。また、「人に忠告していても、自分は実践していない」という例えとしての意味も持っています。

大工さんは人のために立派な家を建てますが、自分は掘っ立て小屋のような家に住んでいるという状況から生まれた言葉です。

「大工の掘っ立て」と「医者の不養生」では、自分を疎かにしているという点で共通しています。ただ、「医者の不養生」の場合には自分が言ったことや専門としていることに対して使われました。一方で、「大工の掘っ立て」は人の世話を焼いたり、人に忠告したりしたことに対して使われます。少しだけ意味が異なりますが、似た意味で使われる場合が多いです。

「医者の不養生」の英訳は?

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「医者の不養生」の英語表現として有名なものは、「Physician, heal thyself.」になります。その意味を詳しく見ていきましょう。

「Physician, heal thyself.」

「Physician, heal thyself.」は、直訳すると「医者、汝自身(なんじじしん)を知れ」です。「Physician」は医者、「thyself」は「汝自身」という意味になります。「heal」は「癒す、治す」という意味があり、「知れ」という文章にする際には「know」という単語でも問題ありません。「Physician, know thyself.」となります。

「heal」の単語を正確に訳すと、「医者よ、自身を治せ」という意味になりますね。そこから、「人の過ちを指摘しているより先に、自分自身の過ちを直せ」というニュアンスになり、「医者の不養生」と同じ意味を表せるのです。

「医者の不養生」を使いこなそう

この記事では「医者の不養生」の意味・使い方・類語などを説明しました。「医者の不養生」は、他人に言っていることを自分では実行しない例えとして使われています。医者に対して用いられることも多いですが、医者以外にも使えることわざです。意味を理解して、正しく使ってみてくださいね。

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「医者の不養生」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「医者の不養生」について解説する。

端的に言えば医者の不養生の意味は「人には養生を促す医者が自分の健康に配慮しないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

中高生に英語や数学など、指導経験豊富なライター要を呼んです。一緒に「医者の不養生」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/要

塾講師を5年していた経験がある。留学経験があり、学生時代は留学生と英語でコミュニケーションを取っていた。日本語とは違った英語の感覚をわかりやすく伝える。

「医者の不養生」の意味や語源・使い方まとめ

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たまに耳にする「医者の不養生」という言葉。意味はなんとなく知っていても、使い方や類義語などはあまり知られていません。そこで、今回は「医者の不養生」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「医者の不養生」の意味は?

「医者の不養生(いしゃのふようじょう)」とは、患者には養生を勧めていても、自分の健康には注意していないことを意味すると覚えている方が多いです。そのような意味もありますが、実際には少し違う意味の例えとして用いられます。

「医者の不養生」には、次のような意味がありますよ。

1.口では立派なことを説いているが、実行が伴わないことのたとえ。

出典:故事ことわざ辞典「医者の不養生」

「医者の不養生」とは、自分は立派なことを言っていても、実際には実行できていない例えとして使われます。先ほど紹介した「医者が養生しない」というももちろんありますが、それだけではなく人に言っていることを自分が行っていないという様を表していたのです。立派なことを言っている人に対してだけでなく、理屈をわかっている人が実行していないという状況を表すこともできます。

医者だけでなく専門家と言われる人は、「他人には専門的なアドバイスをしていても、自分は実行していない」と周りが思っている傾向があるようです。もちろん、医者が体調を崩した際にも使える表現になります。

また、医者や専門家だけでなく、どんな相手に対しても使える表現ですよ。

「医者の不養生」の語源は?

次に「医者の不養生」の語源を確認しておきましょう。

「医者の不養生」ということわざは、江戸時代の小説「風流志道軒伝(ふうりゅうしどうけんでん)」に登場します。「医者の不養生、坊主の不信心」という一説です。ここから、「医者の不養生」ということわざが誕生したと言われています。

患者には偉そうなことを言っていても、自分の健康には配慮しない医者によくある態度から生まれたようです。

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