この記事では「二の足を踏む」について解説する。

端的に言えば二の足を踏むの意味は「立ち止まる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語塾講師で、四字熟語と慣用句のライターをしているトミー先生を呼んです。一緒に「二の足を踏む」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トミー先生

元国語塾講師で、通信教育で英語と国語の「赤ペン先生」などもやっていた。実はドイツ語が得意で、外国語を学ぶことにより国語を理解するのに役立つと実感している。今回は慣用句「二の足を踏む」について、語源と意味と使い方を自分でしっかり理解できるよう、わかりやすく解説していく

「二の足を踏む」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「二の足を踏む」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。「足」は「あし」と読みますが、まず、徒競走を思い出してみてください。「ヨーイ、ドン!」のあと第一歩を踏み出してスタートしますね。そして第二歩、第三歩と次々に足を踏み出してゴールを目指しますが、第二歩を踏み出さなかったらどうなるでしょう。きっと、転んでしまいますね。

二の足を踏む」ということわざは、スタートしたのに二歩目を踏みとどまってしまうということですね。転んでしまうかどうかは別にして、せっかくやりはじめたことを中止するという意味の表現として、さまざまな意味合いで使われるようになったのですよ。それについて少し紹介していきますね。

「二の足を踏む」の意味は?

二の足を踏む」には、次のような意味があります。手元にある国語辞典には、次のように書かれていますね。

一歩目は進みながら、二歩目はためらって足踏みする。思いきれずに迷う。ためらう。しりごみする。「正札を見てー・む」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「二の足を踏む」

国語辞典に書かれているように、一歩目は踏み出したものの、二歩目を踏み出さず、そこで足踏みするのが「二の足を踏む」の意味なのですね。国語辞典には、「ためらう」とか「しりごみする」という言い換えが載せられていますね。

ところで、この辞典の例文の「正札を見て二の足を踏む」とはどういう意味かわかりますか。「正札」の読み方は「しょうふだ」で、割り引きなどのない値段表のことですよ。ある商品を見て、いいなと思い買おうと思って手に取ってみたところ、正札の値段があまりにも高くて、買うのをやめる決断をしたということですね。

「二の足を踏む」の語源は?

次に「二の足を踏む」の語源を確認しておきましょう。すでに確認しましたように、「二の足を踏む」というのは、二歩目を踏み出さないという意味ですが、語源についてもう一つの説があるのですね。

江戸時代には武士が刀を持っていましたね。その刀で他人を斬り殺すことができたのですが、それを思いとどまる必要もあったのですね。ですから武士の刀は、簡単に抜けないように金具で止めてあったのですね。その金具がなんと二つもあったということで、その金具を「一の足」と「二の足」と呼んでいたということですから、「二の足を踏む」というのは、どんなに腹の立つ相手であっても、その気持ちを抑え、刀を抜いて斬り殺すことをやめるということになりますね。

\次のページで「「二の足を踏む」の使い方・例文」を解説!/

「二の足を踏む」の使い方・例文

二の足を踏む」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。やり始めたことを途中で投げ出してしまうということからすれば、「二の足を踏む」にはネガティブなイメージがありますが、その反対に、語源にありますように、武士が刀を抜くことを思いとどまって事態を穏便に解決する決断をするということですから、マイナスばかりではありませんよ。

せっかく新しい仕事を始めたばかりなのに、二の足を踏むのはよくないよ。

失敗することを恐れて二の足を踏むよりも、きちんと対策を講じてみてください。

こんなとんでもない事情だから、きっとお釈迦様でも二の足を踏むと思うよ。

ときには二の足を踏むというのも、オトナの対応と言っていいかもしれないね。

物事には必ずプラスの面とマイナスの面があり、「二の足を踏む」のも、必ずしもよくないということではありませんね。決断したら一気に突っ走るより、しばらく様子をうかがってから、どうするかを考えるということも、人生には大切な考え方ですね。

「二の足を踏む」の類義語は?違いは?

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二の足を踏む」の類義語としては、国語辞典にありましたように「ためらう」や「しりごみする」がありますが、そのほかに少し難しい漢字を用いた「逡巡」や「躊躇」などが考えられますね。これらの用語について考えてみることにしましょう。

「逡巡」

逡巡」の読み方は「しゅんじゅん」で、意味としては「決断できないでぐすぐすしていること」ですね。「二の足を踏む」との違いは、「逡巡」はまだ一歩も踏み出していないということだということになりますよ。

\次のページで「「躊躇」」を解説!/

自分の将来についていろいろ悩みがあり、大学院に進むべきか就職すべきか逡巡している。

「躊躇」

躊躇」の読み方は「ちゅうちょ」ですが、意味としては、「あれこれ迷って決心できないこと」ですね。「二の足を踏む」とは違って、まだ一歩目を踏み出せないでいる状態ですから、その意味では「逡巡」と同じですね。ただ、「躊躇」の方が、「迷い」のニュアンスが強いかもしれませんね。

あなたはそんなに躊躇していないで、早く決断したほうがいいですよ。

どうするか躊躇している暇があったら、さっさとチームをやめてしまいなさい。

「二の足を踏む」の対義語は?

二の足を踏む」というのは「思いとどまる」ということですから、その対義語としては、「一気呵成」という四字熟語がありますね。これについて少し考えてみましょう。

「一気呵成」

一気呵成」の読み方は「いっきかせい」で、「ためらうことなく一気に成し遂げること」という意味で用いられますね。「呵」は息のことですから、「一息でやってしまう」ということになりますね。もともとは、原稿などを書き上げる場合に用いられていたようですね。

フランスの作家バルザックは、『人間喜劇』と呼ばれるたくさんの長編小説を一気呵成に書き上げました。

\次のページで「「二の足を踏む」の英訳は?」を解説!/

「二の足を踏む」の英訳は?

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二の足を踏む」をそのまま英語訳しても意味が通じませんので、「ためらう」という意味のhesitateがいいでしょう。

「hesitate」

hesitateは、もしかしたら少しレベルが高い英単語かもしれませんが、この機会に覚えておいてください。

He hesitated about what he schould do.
彼は自分がどうすべきか二の足を踏んだ(迷った)。

He who hesitates is lost.
二の足を踏むといけない(ためらうと機会は二度と来ない)。
これは英語のことわざです。

「二の足を踏む」を使いこなそう

この記事では「二の足を踏む」の意味・使い方・類語などを説明しました。ふつうは、せっかく物事をやり始めたのだから、最後までやり抜く覚悟を持つことが大切ですが、場合によっては「二の足を踏む」必要もありますね。武士が刀を抜こうとして、「一の足」は切ったけれども「二の足」を切るのは思いとどまり、無事に事態が解決するということもありますから。

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国語言葉の意味

【慣用句】「二の足を踏む」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「二の足を踏む」について解説する。

端的に言えば二の足を踏むの意味は「立ち止まる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語塾講師で、四字熟語と慣用句のライターをしているトミー先生を呼んです。一緒に「二の足を踏む」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トミー先生

元国語塾講師で、通信教育で英語と国語の「赤ペン先生」などもやっていた。実はドイツ語が得意で、外国語を学ぶことにより国語を理解するのに役立つと実感している。今回は慣用句「二の足を踏む」について、語源と意味と使い方を自分でしっかり理解できるよう、わかりやすく解説していく

「二の足を踏む」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「二の足を踏む」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。「足」は「あし」と読みますが、まず、徒競走を思い出してみてください。「ヨーイ、ドン!」のあと第一歩を踏み出してスタートしますね。そして第二歩、第三歩と次々に足を踏み出してゴールを目指しますが、第二歩を踏み出さなかったらどうなるでしょう。きっと、転んでしまいますね。

二の足を踏む」ということわざは、スタートしたのに二歩目を踏みとどまってしまうということですね。転んでしまうかどうかは別にして、せっかくやりはじめたことを中止するという意味の表現として、さまざまな意味合いで使われるようになったのですよ。それについて少し紹介していきますね。

「二の足を踏む」の意味は?

二の足を踏む」には、次のような意味があります。手元にある国語辞典には、次のように書かれていますね。

一歩目は進みながら、二歩目はためらって足踏みする。思いきれずに迷う。ためらう。しりごみする。「正札を見てー・む」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「二の足を踏む」

国語辞典に書かれているように、一歩目は踏み出したものの、二歩目を踏み出さず、そこで足踏みするのが「二の足を踏む」の意味なのですね。国語辞典には、「ためらう」とか「しりごみする」という言い換えが載せられていますね。

ところで、この辞典の例文の「正札を見て二の足を踏む」とはどういう意味かわかりますか。「正札」の読み方は「しょうふだ」で、割り引きなどのない値段表のことですよ。ある商品を見て、いいなと思い買おうと思って手に取ってみたところ、正札の値段があまりにも高くて、買うのをやめる決断をしたということですね。

「二の足を踏む」の語源は?

次に「二の足を踏む」の語源を確認しておきましょう。すでに確認しましたように、「二の足を踏む」というのは、二歩目を踏み出さないという意味ですが、語源についてもう一つの説があるのですね。

江戸時代には武士が刀を持っていましたね。その刀で他人を斬り殺すことができたのですが、それを思いとどまる必要もあったのですね。ですから武士の刀は、簡単に抜けないように金具で止めてあったのですね。その金具がなんと二つもあったということで、その金具を「一の足」と「二の足」と呼んでいたということですから、「二の足を踏む」というのは、どんなに腹の立つ相手であっても、その気持ちを抑え、刀を抜いて斬り殺すことをやめるということになりますね。

\次のページで「「二の足を踏む」の使い方・例文」を解説!/

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