この記事では「竜頭蛇尾」について解説する。

端的に言えば竜頭蛇尾の意味は「期待外れ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語塾講師で、ライターをしているトミー先生を呼んです。一緒に「竜頭蛇尾」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トミー先生

元国語塾講師で、通信教育で英語と国語の「赤ペン先生」などもやっていた。実はドイツ語が得意で、外国語を学ぶことにより国語を理解するのに役立つと実感している。今回は四字熟語の「竜頭蛇尾」について、語源と意味と使い方を自分でしっかり理解できるよう、わかりやすく解説していく。

「竜頭蛇尾」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「竜頭蛇尾」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。この四字熟語の読み方は「りゅうとうだび」ですが、「りょうとうだび」と読むこともありますので注意してくださいね。この四字熟語の意味を単純に考えると「竜の頭に蛇のしっぽ」ということになりますね。

竜は想像上の生き物ですが、中国では皇帝の象徴とされるほどの高貴な生き物で、頭は麒麟で鹿の角が生えていて、胴体は蛇ですが脚がありますね。翼はありませんが空を飛ぶこともできるのですよ。蛇に比べると威勢の良いのが竜ですから、その威勢の良さがおしまいまで続かないということが「竜頭蛇尾」の基本的な意味ということになりますね。

「竜頭蛇尾」の意味は?

竜頭蛇尾」には、次のような意味があります。手元にある国語辞典を引いてみると、次のように書かれていますね。

《「碧眼録」一〇則から。頭は竜、尾は蛇のようである意》初めは勢いがよいが、終わりは振るわないこと。「鳴り物入りの公演もーに終わった」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「竜頭蛇尾」

竜頭蛇尾」は、頭は竜でしっぽは蛇ということですから、最初の勢いが最後まで続かないことのたとえとして用いられますね。国語辞典には「鳴り物入りの公演も竜頭蛇尾に終わった」という例文が載せられていますので、このような使い方ができるのですよ。

また、「竜頭蛇尾」の出典である『碧巌録』は中国の宋時代の仏教書で、日本では禅宗の臨済宗で尊重されていますね。その翻訳は岩波文庫にありますから、興味があれば読んでみてください。

「竜頭蛇尾」の語源は?

次に「竜頭蛇尾」の語源を確認しておきましょう。「竜頭蛇尾」という用語は『碧眼録』に由来するのですが、この本にはさまざまな逸話が載せられていて、それによって禅宗の教理が示されているのですね。禅宗というと座禅が有名ですが、禅問答というのもありますね。それは、ある問いを与えられて、その答えを考える出すということですね。

修行をかなりしていた僧侶が旅の途中で別の僧侶と出会い、この問答してみたところ、その別の僧侶はなかなか達者な応答をしたのですね。しかし、途中でこれは「竜頭蛇尾」ではないかと思って難問を出してみたところ、その僧はやはり見掛け倒しの人物だったというお話で、そこにこの四字熟語の由来がありますね。

「竜頭蛇尾」の使い方・例文

竜頭蛇尾」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「竜頭蛇尾」の類義語は?違いは?」を解説!/

そのスポーツ選手は、鳴り物入りで入団したけれど、残念なことに予想に反して竜頭蛇尾の結果に終わってしまった。

彼はその気迫に満ちた顔から、ビジネスで成功するかと思っていたら、マナーがひどく悪くて、残念ながらまさに竜頭蛇尾というところだ。

宣伝では、時代を映す鏡のような映画ということだったが、実際に見てみると竜頭蛇尾だった。

フルコースの料理を注文したのだが、最初は立派な前菜が出たのに、メインもデザートも期待外れで、あのレストランのコースメニューこそ竜頭蛇尾と言うしかない。

最初は立派だから、それが最後まで続くかと期待したのに期待外れの結果に終わった、というのが「竜頭蛇尾」の意味ということになりますね。そういうことはよくあることですが、考え方によっては、最初から最後までまったくダメだった、というよりはマシかもしれませんが。

「竜頭蛇尾」の類義語は?違いは?

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竜頭蛇尾」の類義語として「虎頭蛇尾」がありますが、竜と虎は「竜虎」とセットにされることがありますので、これらの四字熟語は同義語と考えていいでしょう。「竜頭蛇尾」のほうが用語としてはふつうだと思いますが。

そのほかの類義語として、「尻つぼみ」と「尻切れとんぼ」、それに四字熟語の「羊頭狗肉」がありますので、ここで紹介しますね。

「尻つぼみ・尻切れとんぼ」

尻つぼみ」も「尻切れとんぼ」も、「尻」が含まれている表現ですが、それは「竜頭蛇尾」の「しっぽ」と同じだと考えてくださいね。「尻つぼみ」は、最初のことはともかくとして、最後は良くなかったいうことになりますね。

トンボという昆虫は、大きな目玉をしていて、胸部にはしっかりした脚と大きな羽が生えていますね。そのトンボの尻の部分が切れているのが「尻切れとんぼ」ということですから、最初に比べて最後が中途半端だったということになるでしょう。

彼が会社の事務員として積み上げてきた実績は、尻つぼみだったね。

やりかかったら尻切れとんぼにならないよう、最後までやり抜かねばならない。

「羊頭狗肉」

四字熟語の「羊頭狗肉」の読み方は「ようとうくにく」で、直訳すると「羊の頭と犬の肉」ということになりますね。「竜頭蛇尾」と似ているような似ていないような、妙な四字熟語ですが、肉屋に羊の頭が掛けてあり、この肉屋では羊の肉が手に入るのかと期待したら、犬の肉しかなかったということですね。そう考えると、「羊頭狗肉」は「看板倒れ」という慣用句に言い換えることができますね。

\次のページで「「竜頭蛇尾」の対義語は?」を解説!/

羊頭狗肉」は「羊頭を掲げて狗肉を売る」を四字熟語にしたものだが、最近のコマーシャルを見ていると、「羊頭狗肉」のものが多いと思う。

「竜頭蛇尾」の対義語は?

最初は竜の頭のように威勢がいいものの、最後は期待はずれだというのが「竜頭蛇尾」ですから、その反対語として「徹頭徹尾」という四字熟語を紹介しておきますね。

「徹頭徹尾」

徹頭徹尾」の「徹」は、「頑固一徹」という四字熟語や「徹底的」という言葉からわかるように、一貫しているという意味で使われますね。ですから、「徹頭徹尾」は、最初から最後まで一貫しているという意味になりますね。「竜頭竜尾」と言い換えても良さそうですが、そういう四字熟語はありませんので、覚えておいてくださいね。

私のかかりつけの医院は、徹頭徹尾患者を大事にしてくれる、本当の意味での医療機関だ。

「竜頭蛇尾」の英訳は?

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竜頭蛇尾」をそのまま英単語に置き換えて、dragon head and snake tailなどと言ってみても、英語としての意味はないと思いますね。「竜頭蛇尾」の基本的な意味が、「最初は華麗だが最後は拍子抜け」ということですから、a bright beginning and a dull endingという表現が考えられますね。また、「竜頭蛇尾に終わる」のように動詞としての使い方もできますから、それはend in anticlimaxと英語で表現できますね。

「a bright beginning and a dull ending」

a bright beginning and a dull endingを日本語訳すると、「明るい始まりと鈍い終わり」となりますが、brightはふつうに明るいというだけではなく、「聡明な」という意味にもなりますね。dullもただ鈍いというだけではなく「愚鈍な」という意味も含まれていますから、「聡明な始まりと愚鈍な終わり」という訳も考えられますね。いずれにしても、まさに「竜頭蛇尾」ですね。

The party was a bright beginning and a dull ending.
そのパーティーは竜頭蛇尾だった。

\次のページで「「end in anticlimax」」を解説!/

「end in anticlimax」

climaxは日本語で「クライマックス」とそのままカタカナになっていますが、「最高潮」とか「盛り上がり」というような日本語に置き換えることもできますね。anticlimaxはその反対ですから、end in anticlimaxは「盛り上がることなく終わる」というように日本語訳することができますね。

The drama ended in antiklimax.
そのドラマは結末が良くなかった。

「竜頭蛇尾」を使いこなそう

この記事では「竜頭蛇尾」の意味・使い方・類語などを説明しました。その由来が禅宗の書物からきているというのは、面白いですね。期待される新人は、「竜頭蛇尾」の結果になることが多いので、そうならないよう頑張ることが大切ですね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「竜頭蛇尾」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

そのスポーツ選手は、鳴り物入りで入団したけれど、残念なことに予想に反して竜頭蛇尾の結果に終わってしまった。

彼はその気迫に満ちた顔から、ビジネスで成功するかと思っていたら、マナーがひどく悪くて、残念ながらまさに竜頭蛇尾というところだ。

宣伝では、時代を映す鏡のような映画ということだったが、実際に見てみると竜頭蛇尾だった。

フルコースの料理を注文したのだが、最初は立派な前菜が出たのに、メインもデザートも期待外れで、あのレストランのコースメニューこそ竜頭蛇尾と言うしかない。

最初は立派だから、それが最後まで続くかと期待したのに期待外れの結果に終わった、というのが「竜頭蛇尾」の意味ということになりますね。そういうことはよくあることですが、考え方によっては、最初から最後までまったくダメだった、というよりはマシかもしれませんが。

「竜頭蛇尾」の類義語は?違いは?

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竜頭蛇尾」の類義語として「虎頭蛇尾」がありますが、竜と虎は「竜虎」とセットにされることがありますので、これらの四字熟語は同義語と考えていいでしょう。「竜頭蛇尾」のほうが用語としてはふつうだと思いますが。

そのほかの類義語として、「尻つぼみ」と「尻切れとんぼ」、それに四字熟語の「羊頭狗肉」がありますので、ここで紹介しますね。

「尻つぼみ・尻切れとんぼ」

尻つぼみ」も「尻切れとんぼ」も、「尻」が含まれている表現ですが、それは「竜頭蛇尾」の「しっぽ」と同じだと考えてくださいね。「尻つぼみ」は、最初のことはともかくとして、最後は良くなかったいうことになりますね。

トンボという昆虫は、大きな目玉をしていて、胸部にはしっかりした脚と大きな羽が生えていますね。そのトンボの尻の部分が切れているのが「尻切れとんぼ」ということですから、最初に比べて最後が中途半端だったということになるでしょう。

彼が会社の事務員として積み上げてきた実績は、尻つぼみだったね。

やりかかったら尻切れとんぼにならないよう、最後までやり抜かねばならない。

「羊頭狗肉」

四字熟語の「羊頭狗肉」の読み方は「ようとうくにく」で、直訳すると「羊の頭と犬の肉」ということになりますね。「竜頭蛇尾」と似ているような似ていないような、妙な四字熟語ですが、肉屋に羊の頭が掛けてあり、この肉屋では羊の肉が手に入るのかと期待したら、犬の肉しかなかったということですね。そう考えると、「羊頭狗肉」は「看板倒れ」という慣用句に言い換えることができますね。

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