この記事では「不老不死」について解説する。

端的に言えば不老不死の意味は「老化せず死なない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語塾講師で、漢文が得意なライターのトミー先生を呼んです。一緒に「不老不死」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トミー先生

元国語塾講師で、通信教育で英語と国語の「赤ペン先生」などもやっていた。実はドイツ語が得意で、外国語を学ぶことにより国語を理解するのに役立つと実感している。四字熟語「不老不死」について、語源と意味と使い方を自分でしっかり理解できるよう、わかりやすく解説していく。

「不老不死」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「不老不死」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。「不老不死」という漢文を訓読すれば「老いず死なず」ということなので、「老化することもなく死ぬこともない」という意味になりますね。しかし、われわれ人間だけではなくすべての生物には寿命(じゅみょう)がありますから、生命は生まれたあとは成長しやがて老化し、そして死ぬことになりますね。

生物学的に「不老不死」がないことは科学的真実なのですが、古来より人類は「不老不死」の可能性を求めてきたことも事実ですよ。現在では、あらかじめ定められている幹細胞の分裂回数を増やすことで寿命を延ばしたり、再生医療も発達していますから、未来社会においては不老不死の人工生命やロボットなどが開発されたりするかもしれませんね。マンガの世界ではすでに実現していますが。

「不老不死」の意味は?

不老不死」には、次のような意味があります。手元にある国語辞典には、次のように書かれていますね。

いつまでも年をとらず、また、死なないこと。中国人の伝統的生命観の一つ。「ーの仙薬」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「不老不死」

辞典には、「不老不死」が中国人の伝統的生命観の一つとありますが、日本とも意外なところでつながっているのですよ。古代中国の戦国時代を終結させた秦の始皇帝は、不老不死の仙薬を求めて、徐福という方士をはるばる日本にまで派遣したのですよ。徐福の伝説は日本のほかに中国や朝鮮半島のあちこちに残っていますが、熊野でその薬を見つけたとされ、徐福の墓とされるものが和歌山県の新宮市にありますね。

また、世界各地に人魚伝説がありますが、人魚の肉を食べると不老不死になると言われているのですよ。日本には八百比丘尼(はっぴゃくびくに)の伝説があり、人魚の肉を食べたため不老不死になりましたが、生きていることに疲れた彼女は、800年後に洞窟に身を隠したということで、その洞窟は今も残っているということですね。

「不老不死」の語源は?

次に「不老不死」の語源を確認しておきましょう。神話の世界では「不老不死」はむしろ当たり前のことで、最初の神話としては、紀元前2000年頃のメソポタミアの『ギルガメシュ叙事詩』がありますね。ギリシャ神話では、オリンポスの十二神に負けた巨人族ティターンも不老不死でしたね。

中国では、神話ではなく司馬遷の書いた歴史書である『史記』に、秦の始皇帝が不老不死の仙薬を手に入れるために、徐福を蓬莱(ほうらい)に送ったということが書かれていますね。この蓬莱が日本のことだというのはわかりますね。

\次のページで「「不老不死」の使い方・例文」を解説!/

「不老不死」の使い方・例文

不老不死」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

生物の遺伝子を研究している大学の学者や博士たちが将来、細胞分裂を永遠に繰り返すゲノムを見つけたら、不老不死が実現するかもしれない。

「亀は万年」ということわざがあるから、もしかしたら、カメは不老不死なのかもしれないね。

不老不死はわれわれ人間の憧れだけれど、それは健康で長生きするという「不老長寿」と言い換えてもいいかもしれないね。

吸血鬼は、人間の血を吸って生きているから不老不死だと言われているよ。

どんなに研究が進んでも、あるいは生物がどれほど進化しても、不老不死の存在がこの世に生まれることはないでしょう。北欧神話には「神々の黄昏(たそがれ)」という有名な話があり、神々でさえ死んでいく姿が壮大に描かれているのですよ。

不老不死は人類の永遠の憧れかもしれませんが、人生は有限であるからこそ美しいとも言えますね。現在は人生100年時代とも言われ、不老長寿が一般的になっていますが、時間の過ぎる速度を感じながら、突然の事故を回避して無事に生きていきたいものですね。不老不死の吸血鬼になど、なりたくはありませんよね。

「不老不死」の類義語は?違いは?

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不老不死」の類義語として、「永久不滅」をあげておきましょう。「永久不滅」は生命体だけに用いられるのではなく、機械なども含めて、あらゆる存在に用いることができますね。永久というのは時間と関連しますので、「不老不死」より少しスケールが大きくなるかもしれません。

「永久不滅」

永久不滅」の読み方は「えいきゅうふめつ」で、文字通り、永久に滅びないことですね。宇宙の星でさえ、われわれには想像もつかないほどの長い時間に、誕生と消滅を繰り返していますから、「永久不滅」もあなたの空想の世界にしてみてください。

\次のページで「「不老不死」の対義語は?」を解説!/

この最新の機械は、部品さえ取り替えればいつまでも稼働して、まさに永久不滅です。

あの歌手の人気は、永久不滅と言っていいでしょう。

ダイヤモンドの輝きは、本当に永久不滅です。

「不老不死」の対義語は?

不老不死」の対義語として、「生者必滅」がありますね。この四字熟語は「しょうじゃひつめつ」と読みますよ。

「生者必滅」

生者必滅」は文字通り、「生きている者は必ず滅びる」ということですね。これは仏教用語で、「会者定離」(えしゃじょうり)とペアで用いられることが多いですね。この命はいずれ滅びるし、めぐり会った人ともやがて別れなくてはならない、という人生の定めを表していますが、同時にまた、この人生そのものは永遠に繰り返されるものだということが、その背景にあるのですよ。

辛いことですが、「生者必滅」という定めは変えられませんので、ご冥福をお祈りいたします。

「不老不死」の英訳は?

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「不老不死」の意味は「いつまでも若く死ぬことがない」ですから、それをそのまま英語に訳すと、eternal youth and immortalityとなりますね。英語表現としては、この二つの語をセットにするのではなく、どちらか一つでいいでしょう。どちらか一つを選ぶとすれば、immortalityですね。

「eternal youth and immortality」

etrenal youth and immortalityを日本語訳すると、「永遠の若さと不死」ということですから、まさに「不老不死」にピッタリです。ただし、ヨーロッパ、とくに東ヨーロッパでは、吸血鬼ドラキュラが不老不死の存在として有名ですので、そのことは忘れないようにしてください。

これらの語を形容詞にすると、eternally young and immortalですね。

\次のページで「「不老不死」を使いこなそう」を解説!/

The actress has eternal youth and immortality.
その女優は永遠の若さと不死性を持っています。

Vampires are immortal.
吸血鬼たちは不老不死です。

「不老不死」を使いこなそう

この記事では「不老不死」の意味・使い方・類語などを説明しました。生きものはすべて、限りのある生命しか与えられていません。しかし、中国では「不老不死」が伝統的生命観であるということですね。一方、吸血鬼も不老不死ということで、人間の考える世界の無限の広がりがここにあるのではないでしょうか。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「不老不死」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「不老不死」について解説する。

端的に言えば不老不死の意味は「老化せず死なない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語塾講師で、漢文が得意なライターのトミー先生を呼んです。一緒に「不老不死」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トミー先生

元国語塾講師で、通信教育で英語と国語の「赤ペン先生」などもやっていた。実はドイツ語が得意で、外国語を学ぶことにより国語を理解するのに役立つと実感している。四字熟語「不老不死」について、語源と意味と使い方を自分でしっかり理解できるよう、わかりやすく解説していく。

「不老不死」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「不老不死」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。「不老不死」という漢文を訓読すれば「老いず死なず」ということなので、「老化することもなく死ぬこともない」という意味になりますね。しかし、われわれ人間だけではなくすべての生物には寿命(じゅみょう)がありますから、生命は生まれたあとは成長しやがて老化し、そして死ぬことになりますね。

生物学的に「不老不死」がないことは科学的真実なのですが、古来より人類は「不老不死」の可能性を求めてきたことも事実ですよ。現在では、あらかじめ定められている幹細胞の分裂回数を増やすことで寿命を延ばしたり、再生医療も発達していますから、未来社会においては不老不死の人工生命やロボットなどが開発されたりするかもしれませんね。マンガの世界ではすでに実現していますが。

「不老不死」の意味は?

不老不死」には、次のような意味があります。手元にある国語辞典には、次のように書かれていますね。

いつまでも年をとらず、また、死なないこと。中国人の伝統的生命観の一つ。「ーの仙薬」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「不老不死」

辞典には、「不老不死」が中国人の伝統的生命観の一つとありますが、日本とも意外なところでつながっているのですよ。古代中国の戦国時代を終結させた秦の始皇帝は、不老不死の仙薬を求めて、徐福という方士をはるばる日本にまで派遣したのですよ。徐福の伝説は日本のほかに中国や朝鮮半島のあちこちに残っていますが、熊野でその薬を見つけたとされ、徐福の墓とされるものが和歌山県の新宮市にありますね。

また、世界各地に人魚伝説がありますが、人魚の肉を食べると不老不死になると言われているのですよ。日本には八百比丘尼(はっぴゃくびくに)の伝説があり、人魚の肉を食べたため不老不死になりましたが、生きていることに疲れた彼女は、800年後に洞窟に身を隠したということで、その洞窟は今も残っているということですね。

「不老不死」の語源は?

次に「不老不死」の語源を確認しておきましょう。神話の世界では「不老不死」はむしろ当たり前のことで、最初の神話としては、紀元前2000年頃のメソポタミアの『ギルガメシュ叙事詩』がありますね。ギリシャ神話では、オリンポスの十二神に負けた巨人族ティターンも不老不死でしたね。

中国では、神話ではなく司馬遷の書いた歴史書である『史記』に、秦の始皇帝が不老不死の仙薬を手に入れるために、徐福を蓬莱(ほうらい)に送ったということが書かれていますね。この蓬莱が日本のことだというのはわかりますね。

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