この記事では「一世一代」について解説する。

端的に言えば一世一代の意味は「一生に一度だけ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語塾講師で、演劇が得意なライターのトミー先生を呼んです。一緒に「一世一代」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トミー先生

元国語塾講師で、通信教育で英語と国語の「赤ペン先生」などもやっていた。実はドイツ語が得意で、外国語を学ぶことにより国語を理解するのに役立つと実感している。今回は四字熟語「一世一代」について、語源と意味と使い方を自分でしっかり理解できるよう、わかりやすく解説していく。

「一世一代」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一世一代」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。まず、この四字熟語の読み方ですが、「いっせいちだい」と読みます。これをそのままの意味で言うと、桜木建二先生のおっしゃる通り「一生涯に一度だけ」なのですが、そこからいろいろな意味が派生するとともに、いろいろな使い方がありますので、それについて解説しますね。

「一世一代」の意味は?

一世一代」には、次のような意味があります。手元にある国語辞典には、次のように書かれていますね。

1.一生に一度だけであること。特に、一生に一度の晴れがましいこと。「ーの大仕事」
2.役者などが、引退などの前に一生の仕納めとして演じる晴れの舞台。舞台納め。「ーの熱演」
〔補説〕この語の場合、「一世」を「いっせい」とは読まない。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「一世一代」

国語辞典には、意味が二つ書かれていますね。一生涯に一度だけ経験することと言えば、死ぬことがあるのですが、「一世一代」にはそれは含まれていませんから、注意してくださいね。国語辞典の例文にありますように、「一世一代の大仕事」のように、何か晴れがましいことに用いますね。

国語辞典の2番目の意味ですが、役者が引退するときなどの晴れの舞台に「一世一代」を用いるということですね。まさに「一世一代の晴れ舞台」ということですね。江戸時代の戯作者式亭三馬の滑稽本である『浮世床』に、「可楽が一世一代をした」ということが書かれていますね。可楽(からく)というのは三笑亭可楽という落語家ですね。

「一世一代」の語源は?

次に「一世一代」の語源を確認しておきましょう。「一世」も「一代」もどちらも「一生」という意味で、同じ意味の言葉を繰り返すことで、「一生に一度限りのこと」を強調していますね。同じ意味の言葉を繰り返して一つの用語にするという言葉の使い方は、日本の伝統文化である歌舞伎の口上でよく用いられているのですよ。舞台では「イッセイチデヘ」と、歌詞のように歌いますよ。

「一世一代」の使い方・例文

一世一代」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「一世一代」の類義語は?違いは?」を解説!/

これまで長い間出版の仕事に携わってきましたが、先生のこの作品はまさに一世一代の名作だと思います。

無頼派の作家織田作之助の『可能性の文学』には、大阪の将棋の棋士である阪田三吉が一世一代の大勝負に出て敗れたことが書かれている。

二・二六事件とは、陸軍の将校たちが一世一代の覚悟でクーデターを企てて蜂起した事件である。

その女性歌手は、人気曲がヒットした頃のジャケットを着て、引退コンサートの一世一代の舞台に立ったのでした。

一世一代」は、語源的には歌舞伎などの舞台の用語でしたね。引退するときは、それが最後の舞台ですからまさに一生に一度の舞台ということになりますが、役者たちは、必ずしも引退するときではなくいつでも、これが一世一代の晴れ舞台だという覚悟を持っていたそうですよ。それはもちろん歌舞伎だけではなく、演劇でもコンサートでも同じことですね。

また、歴史的事件なども、それを起こした人たちはどんな覚悟を持っていたのでしょうか。「一世一代の大博打(ばくち)」などという用語もありますが、今日のこの瞬間にすべてを賭けるほどの覚悟を、「一世一代」という慣用句は求めているのかもしれませんね。

「一世一代」の類義語は?違いは?

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一世一代」の類義語として、「千載一遇」と「空前絶後」を紹介しておきます。これらの四字熟語はどちらも、一生涯よりはるかに長い時間を想定していますが、時間はそれほど関係ないですね。使い方がそれぞれ違いますので、ここで解説しますね。

「千載一遇」

千載一遇」の読み方は「せんざいいちぐう」で、この四字熟語の意味は「千年に一度の出会い」ということになりますね。「一世一代」が「一生に一度だけ」ということですから、千年は人生百年時代でも一生涯の10倍ということになりますね。それほど貴重な瞬間ですから、「千載一遇のチャンス」という使い方をしますね。

「運は前から掴め」ということわざがあるけれど、これは間違いなく千載一遇のチャンスだから、あなたは決して逃してはなりませんよ。

「空前絶後」

空前絶後」は、「後にも先にもない」という意味で、想定されている時間は永遠の時間なのですよ。その出来事がそれほどまれなことだ、ということですね。「一世一代」のような「覚悟」を含むことはありませんよ。

\次のページで「「一世一代」の対義語は?」を解説!/

そのアーティストの最後の演奏会は、文字通り空前絶後の素晴らしいものでした。

「一世一代」の対義語は?

一世一代」は一生に一度、つまりめったにないことを指していますから、「日常茶飯事」が対義語ということになるでしょうか。

「日常茶飯事」

日常茶飯事」の読み方は「にちじょうさはんじ」です。あなた方はいつも、お茶を飲んだりご飯を食べたりしていますね。「日常茶飯事」は、そういうごく当たり前のことを意味する表現ですよ。

いつも日常茶飯事の出来事しか起こらないけれど、ある意味でそれは幸せなのですよ。

「一世一代」の英訳は?

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一世一代」を「一生涯に一度」という意味で英語訳すると、once in a lifetimeとなりますね。これを形容詞として用いる場合は、once-in-a-lifetimeとすればいいでしょう。また、「一生涯に一度きりの大成功」という意味に少し拡大すると、the greatest success of one\'s lifeという英語が考えられますよ。これらの表現について、少し考えてみましょう。

「once in a life time」

once in a life timeは、日本語に訳すと「一生に一度」という意味ですから、「一世一代」の基本的な意味と一致しますね。ただ、ある出来事が一生に一度起こるという意味ですから、「一世一代」の覚悟という使い方はできませんね。

I met her just in this corner. That was once-in-a-lifetime chance.
私はまさにこの街角で彼女に会った。それは人生に一度の偶然だった。

\次のページで「「the greatest success of one's life」」を解説!/

「the greatest success of one's life」

the greatest success of one's lifeを日本語に訳すと、「ある人の人生で最大の成功」ですから、「一世一代」の晴れ舞台と同じような使い方ができますね。

This novel is the greatest success of my life.
この小説は私の人生で最大の成功です。

「一世一代」を使いこなそう

この記事では「一世一代」の意味・使い方・類語などを説明しました。「一世」も「一代」もどちらも「一生涯」という意味なのですが、四字熟語にすると「一生涯に一度だけ」という意味になりますね。そこからさらにいろいろな使い方がされますので、しっかりと理解してくださいね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「一世一代」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「一世一代」について解説する。

端的に言えば一世一代の意味は「一生に一度だけ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語塾講師で、演劇が得意なライターのトミー先生を呼んです。一緒に「一世一代」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トミー先生

元国語塾講師で、通信教育で英語と国語の「赤ペン先生」などもやっていた。実はドイツ語が得意で、外国語を学ぶことにより国語を理解するのに役立つと実感している。今回は四字熟語「一世一代」について、語源と意味と使い方を自分でしっかり理解できるよう、わかりやすく解説していく。

「一世一代」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一世一代」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。まず、この四字熟語の読み方ですが、「いっせいちだい」と読みます。これをそのままの意味で言うと、桜木建二先生のおっしゃる通り「一生涯に一度だけ」なのですが、そこからいろいろな意味が派生するとともに、いろいろな使い方がありますので、それについて解説しますね。

「一世一代」の意味は?

一世一代」には、次のような意味があります。手元にある国語辞典には、次のように書かれていますね。

1.一生に一度だけであること。特に、一生に一度の晴れがましいこと。「ーの大仕事」
2.役者などが、引退などの前に一生の仕納めとして演じる晴れの舞台。舞台納め。「ーの熱演」
〔補説〕この語の場合、「一世」を「いっせい」とは読まない。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「一世一代」

国語辞典には、意味が二つ書かれていますね。一生涯に一度だけ経験することと言えば、死ぬことがあるのですが、「一世一代」にはそれは含まれていませんから、注意してくださいね。国語辞典の例文にありますように、「一世一代の大仕事」のように、何か晴れがましいことに用いますね。

国語辞典の2番目の意味ですが、役者が引退するときなどの晴れの舞台に「一世一代」を用いるということですね。まさに「一世一代の晴れ舞台」ということですね。江戸時代の戯作者式亭三馬の滑稽本である『浮世床』に、「可楽が一世一代をした」ということが書かれていますね。可楽(からく)というのは三笑亭可楽という落語家ですね。

「一世一代」の語源は?

次に「一世一代」の語源を確認しておきましょう。「一世」も「一代」もどちらも「一生」という意味で、同じ意味の言葉を繰り返すことで、「一生に一度限りのこと」を強調していますね。同じ意味の言葉を繰り返して一つの用語にするという言葉の使い方は、日本の伝統文化である歌舞伎の口上でよく用いられているのですよ。舞台では「イッセイチデヘ」と、歌詞のように歌いますよ。

「一世一代」の使い方・例文

一世一代」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「一世一代」の類義語は?違いは?」を解説!/

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