ほかの人を見ていると、よく他人をホイホイ信用できるなぁ…と思うことがあります。ただ一方で、目標や志望校に向かって「一心同体」で頑張っている人たちを見ていると微笑ましく思えることもあるんですね。ところで、「一心同体」、分かりますよね?

この「一心同体」というのは「二人以上が心も体も一つであるかのように力を合わせること」という意味の表現です。受験において、「一心同体」で頑張って合格する学生も中にはいます。今日はその「一心同体」について、院卒日本語教師の筆者が解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で2年間働き、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「一心同体」の意味や使い方は?

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「一心同体」という表現、時たま見聞きする表現ではあるでしょう。ただ、正確な意味を知らなかったり、正しく書けていなかったり…ということはあると思います。まずはその「一心同体」について、意味と使い方を確認していきましょう。

「一心同体」の意味は「二人以上が心も体も一つであるかのように力を合わせること」

最初に、「一心同体」の辞書での意味を確認していきましょう。「一心同体」は国語辞典では次のような意味が掲載されています。

二人以上の人が心も体も一つであるかのように力を合わせること。

出典:明鏡国語辞典 第二版(大修館書店)「いっしん-どうたい【一心同体】」

「一心同体」は「二人以上の人が心も体も一つであるかのように力を合わせること」という意味の四字熟語です。二人以上の人々が、お互いに気持ちを通い合わせ、行動も息ピッタリに行う様子を表します。

この四字熟語で大切なポイントは「気持ち(心)を通い合わせていること」です。よくある書き間違えで「一身同体」がありますが、これでは「心を良い合わせていること」が表現できていません。正しくは「一同体」です。気を付けましょう。

「一心同体」の使い方を例文とともに確認!

続いて、「一心同体」の使い方を例文とともに確認していきましょう。「一心同体」は名詞として用いられることが多く、「一心同体する」といった動詞の形や、「一心同体な~」といった形容動詞の形で用いられることは、ほぼありません。

\次のページで「「一心同体」の類義語は?」を解説!/

1.テニスのダブルスでは、相方のプレーヤーと一心同体になることが大切だ。
2.私たちは、夫婦で20年間、一心同体でこの店を切り盛りしてきました。
3.新入社員の皆さん、これからは皆で一心同体となって頑張っていきましょう!

例文1と2は二人での関係、例文3は二人以上の集団での関係について言及したものです。

例文1のテニスのダブルスのような二人一組でチームになって行う競技では、二人の心と体の連携…つまり「一心同体」であることが大切になりますよね。

例文2のように、夫婦や恋愛関係についても「一心同体」は使用されることが多いです。夫婦で、またはカップルで共に何かを成し遂げてきた場合、一緒に一つの行動をしてきた場合に、「一心同体」はよく使用されます

例文3のように、会社や部署のメンバー全員、スポーツなどのチームの全員が力を合わせて頑張っていこう…という場面でも「一心同体」はよく使用されますね。

「一心同体」の類義語は?

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次に、「一心同体」の類義語を見ていきましょう。「一心同体」の類義語は「二人で一つ」「二人三脚」「渾然一体」です。それぞれの意味やニュアンスをここでは確認していきます。「一心同体」と比較してみてください。

「二人で一つ」:二人で一体となることで力を発揮できること

「二人で一つ」は「二人で一体となることで力を発揮できること」という意味の表現です。一人では達成できないが、二人で一緒に力を合わせれば成し遂げることができる…というニュアンスを表します。また、一人では力不足だが、二人そろって一人前になる…というニュアンスも表しますね。前者のニュアンスで使用される場合は、「一心同体」と言い換えが可能です。

「二人三脚」:二人が力を合わせて物事を行うこと

「二人三脚(ににんさんきゃく)」は、もともとは「二人一組で並んで隣り合っている足をひもで縛り、二人の四脚を三脚のようにして走ること」や、その競技を表す言葉でした。そこから意味が派生し、現在では「二人で力を合わせて物事を行うこと」という意味も表します。

「二人」という言葉が中にある通り、あくまで二人の関係にしか使用できないのが特徴です。三人以上の集団には使用できません。

\次のページで「「渾然一体」:すべてが混じり合って一つになっている様子」を解説!/

「渾然一体」:すべてが混じり合って一つになっている様子

「渾然一体(こんぜんいったい)」は「すべてが混じり合って一つになっている様子」を表す四字熟語です。「多くのもの(人)が混じり合って混沌としている」というマイナスのニュアンスで使用される場合と、「混じり合っている全体が一つにまとまり見事である」というプラスのニュアンスで使用される場合があります。

プラスのニュアンスで使用される場合は、「一心同体」と似たような場面で使用されますが、「気持ち(心)を通い合わせる」というニュアンスはありません。

「一心同体」の英語表現は?ニュアンスに要注意!

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最後に、「一心同体」の英語表記を確認していきましょう。「一心同体」の英語表現は「as one」「one flesh」です。ニュアンスによって使い分けが必要ですので、例文と合わせて解説します。

「as one」:一つになって、一体となって

「as one」は「一つになって」「一体となって」という意味を表す英語表現です。文脈によっては「物事に一体となって取り組む」というニュアンスを表すことができるため、「一心同体」と同じような意味・ニュアンスを表現できます。例文を見てみましょう。

1.Baseball is all about the team playing as one.
野球はチームが一心同体となってプレーすることが大切だ。

2.All employees will work as one to overcome this difficult situation.
社員が一心同体となってこの難局を乗り越えていくだろう。

「one flesh」:一つの身体

「one flesh」は「一つの身体」という意味の表現で、多くのwebサイトで「一心同体」の訳語として紹介されています。ただ、「one flesh」を「一心同体」という意味で使用する場合は注意が必要です。

「one flesh」には、ただ体が一つであるという比喩的意味だけでなく、「性的なつながりがある」というニュアンスも含みます。この点から、「one flesh」が「一心同体」という意味で使えるのは、夫婦関係や恋愛関係について述べる場合のみと言えるでしょう。

1.Mary and I became one flesh as husband and wife.
マリーと私は夫婦として一心同体となった。

2.Yulia and I have been in a one flesh for the last month.
ユリアと私は先月から一心同体の関係だ。

\次のページで「あなたと「一心同体」の人間はいますか?」を解説!/

あなたと「一心同体」の人間はいますか?

今回は「一心同体」について紹介しました。「一心同体」は「二人以上の人が心も体も一つであるかのように力を合わせること」という意味の四字熟語で、二人以上の人々が、お互いに気持ちを通い合わせ、行動も息ピッタリに行う様子を表します。

あなたは今、「一心同体」で行動している人はいますか?もしいるなら、その人のことを大切にしましょう。困った時にお互いに頼りになるのはその人です。現在「一心同体」の人間がいない人も心配は不要ですよ。誰かと「一心同体」であることで、自分の行動に制限が出る場合もありますから。自分の好きな道を選びましょう。

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国語言葉の意味

一つの”心”と一つの”身体”!「一心同体」の意味や類義語などを院卒日本語教師がわかりやすく解説

ほかの人を見ていると、よく他人をホイホイ信用できるなぁ…と思うことがあります。ただ一方で、目標や志望校に向かって「一心同体」で頑張っている人たちを見ていると微笑ましく思えることもあるんですね。ところで、「一心同体」、分かりますよね?

この「一心同体」というのは「二人以上が心も体も一つであるかのように力を合わせること」という意味の表現です。受験において、「一心同体」で頑張って合格する学生も中にはいます。今日はその「一心同体」について、院卒日本語教師の筆者が解説していきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で2年間働き、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。

「一心同体」の意味や使い方は?

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「一心同体」という表現、時たま見聞きする表現ではあるでしょう。ただ、正確な意味を知らなかったり、正しく書けていなかったり…ということはあると思います。まずはその「一心同体」について、意味と使い方を確認していきましょう。

「一心同体」の意味は「二人以上が心も体も一つであるかのように力を合わせること」

最初に、「一心同体」の辞書での意味を確認していきましょう。「一心同体」は国語辞典では次のような意味が掲載されています。

二人以上の人が心も体も一つであるかのように力を合わせること。

出典:明鏡国語辞典 第二版(大修館書店)「いっしん-どうたい【一心同体】」

「一心同体」は「二人以上の人が心も体も一つであるかのように力を合わせること」という意味の四字熟語です。二人以上の人々が、お互いに気持ちを通い合わせ、行動も息ピッタリに行う様子を表します。

この四字熟語で大切なポイントは「気持ち(心)を通い合わせていること」です。よくある書き間違えで「一身同体」がありますが、これでは「心を良い合わせていること」が表現できていません。正しくは「一同体」です。気を付けましょう。

「一心同体」の使い方を例文とともに確認!

続いて、「一心同体」の使い方を例文とともに確認していきましょう。「一心同体」は名詞として用いられることが多く、「一心同体する」といった動詞の形や、「一心同体な~」といった形容動詞の形で用いられることは、ほぼありません。

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