物理学

電気を流すと熱くなるのはなぜ?電気抵抗による温度上昇の原因を理系ライターが簡単に説明

よぉ、桜木建二だ。電気にはいろいろな使い道があるな。電気エネルギーを光に変換してるのが照明器具、運動エネルギーに変換したらモーター、熱エネルギーに変換したら電気ヒーター(コタツなど)。

実はヒーターではなくても、電気を流すと多少熱が発生し、温度が上がる。その理由について理系ライターR175と解説していく。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

R175

ライター/R175

関西のとある理系国立大出身。エンジニアの経験があり、身近な現象と理科の教科書の内容をむずびつけるのが趣味。教科書の内容をかみ砕いて説明していく。

1.身の回りの電化製品からの熱発生

電気を流す物は基本的に熱も発すると言えるでしょう。「光」を得るための照明器具も多少熱くなりますし、「回転」、つまり運動エネルギーを得るためのモーターも、電気を使って内部でデータのやり取りをしているPCやスマホも。

世の中の電気を使っていものはほぼ全て熱も発すると考えましょう。

1-1.すごく熱くなるものとならない物

image by iStockphoto

電気を流すと多少なりとも熱くなりますが、熱くなる度合いは物によって違うもの。例えば、白熱電球。本来、フィラメントに電気を流すことで光を得る装置ですが、それと同時に熱も発生。

白熱電球が電気→光への変換効率は約10%で、残りの90%は電気→熱に変換されています。そりゃ熱いですね。一方、同じ電球でもLEDだとあまり熱くなりませんね。

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電気を流すあらゆる物が熱を発している。熱の発生度合いは材質によって異なる。

2.熱の発生要因

電気を流すとなぜ熱が発生するか。その要因こそが「電気抵抗」。電気抵抗は電気の流れにくさ。電気が物質中を色々なところでぶつかりながら「頑張って」流れた結果熱が発生するのです。

さて、電気は物質中をどのように流れていいくのでしょうか。

電気が流れるという現象

電気が流れるという現象

image by Study-Z編集部

電気が流れる:+や-といった電荷が電位差にしたがって移動する現象。電位差とは2地点間での電荷の差。例えば、左側に-の電荷が1個あって(電位-1とする)、右側は+の電荷が2個ある(電位+2とする)場合、その差である3が電位差。

電位差があると、+電荷は-の方に、-電荷は+の方によって行き、不安定な状態を解消しようとして電荷が移動していきます。なお、-の電荷は電子、+の電荷は電子が不足している部分(正孔)。実際に移動しているのは電子(-電荷)で、それに従って正孔のポジションも変わるもの。

電位差があると電子が「移動しよう」としますが、電子が物質中を渡っていくのは多少「大変」なことです。なぜなら、電子が存在できる位置が決まっていて、自由自在には行き来できないから。

なぜ、電子が存在出来るポジションは固定なのか

なぜ、電子が存在出来るポジションは固定なのか

image by Study-Z編集部

どんな物質にも原子核とその周りに電子があります。電子は電子軌道といって電気的バランスが取れた位置にしか存在できません(イラスト)。しかも、1本の道(電子軌道)に存在出来る電子の数も決まっています。

とにかく移動が大変

とにかく移動が大変

image by Study-Z編集部

電子が移動するのはとにかく大変。上記のような制約条件のもと移動していく必要があり、途中でぶつかったり止まったりも多々起こるもの。その衝撃分のエネルギーが熱に変わります。

物理っぽく言うと、電子の運動エネルギーが熱エネルギーに変換させるわけです。

ぶつかりながら移動

電子は基本動くのが大変。動くときは、「はいはいごめんごめん、通して」と周りにぶつかりながら進んでいく。このぶつかった時の衝撃が熱となる。当然、移動が大変なほど熱の発生も増える。

+電荷の概念

電子は-の電荷を持った小さな粒子。では+電荷は?

電子軌道は電子が満杯状態が一番安定していて、空きがあるとそこに電子を入れて埋め合わせようとするもの。空いてるところには何もないとはいかず、空いてるところも粒として捉える必要があり。

この電子がなく空いてる部分を正孔といいます。これが+電荷の正体。電子が全部入っていて電荷がプラマイゼロなので、空きが1つ(正孔1つ)で電荷は+1、正孔2個で+2と考えることが出来ます。

3.電気抵抗

前述の通り、電子が色々とぶつかっていくことで熱が発生。どんな物質中も電子が流れていくのは大変ですが、その大変さの程度を表すのが「電気抵抗」

ちなみに、電気抵抗の逆数で、電気の流れやすさを表すのが導電率。この記事では、電気抵抗を用いて話を進めます。

電気が流れやすいケース

電子が存在できるポジションは限られている。とはいえ、ものすごく制約が厳しいケースと比較的自由に移動できるケースがあるもの。

例えば、金属の場合、電子軌道の都合上、数個の電子が外側をふわふわ自由に存在できるもの。内側の電子軌道に持っている電子を詰め切れず、余った電子が少数だけ最外殻(一番外側の電子軌道)上にふわふわと存在しています。

そのような金属原子がいくつもくっついているのですから、いかにも電子が移動しやすそう。つまり、このような物質は電気抵抗が低く電気が流れやすいもの。

電気が流れにくいケース

一方、電子軌道が電子でいっぱいの場合はどうでしょう。頑張って電圧をかけて、電子をおびき寄せようにも相当なパワーが要りますね。このように、電子の移動が大変な物は電気抵抗が高いと言えます。

電気抵抗の定義式~オームの法則~

電圧=電流 x 電気抵抗

言わずと知れた、有名な公式。電子の移動のしにくさ「電気抵抗」を数式で定義したもの。

電圧→パワー
電流→流量
電気抵抗→流れにくさ

と言い換えましょう。オームの法則が意味するところは

流量(電流)を増やすにはそれに比例して大きなパワー(電圧)が必要。
流れにくい(電気抵抗が大きい)ほど、それに比例してパワー(電圧)が必要。

4.電気抵抗による温度上昇

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photo: Qurren (talk) – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

オームの法則にしたがって電気が流れている限り熱は必ず発生するもの。その熱の大きさも式で定義されています。

ジュール熱

物質に電気を流した時、1秒あたりに発生する熱量がジュール熱。単位はW(ワット)。

ジュール熱=電流 x 電圧

電気の流量が多いほど(電流が大きいほど)、またパワーが強いほど(電圧が高いほど)熱の発生が増えるというもの。納得ですね。

ちなみに、

熱量=ジュール熱 × 熱をかけた時間。

こちらは単位がJ(ジュール)。ややこしいですね。電流 × 電圧だと単位時間あたりの熱量になるということをおさえておきましょう。

電気抵抗とジュール熱

ここでは、電気抵抗と熱の関係を見ていきます。直感的には抵抗が大きいほど熱の発生も多そう。しかし、それは場合によるところ。ジュール熱Q、電流I、電圧V、電気抵抗Rとしましょう。Q=IVからは電気抵抗と熱の関係がよくわからないので式を変形します。

オームの法則より、I=V/RまたはV=IR。

電流一定の場合

V=IRを代入して、Q=I^2・R 。電気抵抗が2倍になると熱も2倍に。抵抗が大きいほど熱の発生も増えます。同じ量の電流を流そうとしたら、抵抗に比例して熱発生も多くなるもの。

電圧一定の場合

Q=V ^2/R。抵抗が2倍になると、熱の発生は半分に。同じ電圧をかけた時、抵抗が大きい物にはあまり電流が流れず結果的に熱の発生は減ります。極端な話、抵抗がものすごく大きいプラスチックや木材に100Vの電圧をかけても熱くなりませんね。

逆に抵抗が小さな物は、電流が大量に流れてしまい、電子の衝突が多発し熱の発生が増えます。

電気抵抗による熱発生

電気を流すと、電子の衝突により熱が発生。電子の移動のしにくさの指標が電気抵抗。同じ電流を流そうとしたら、電気抵抗が大きいほど熱の発生は増える。同じ電圧をかけた場合、電気抵抗が大きいほど、(あまり電流が流れないため)熱の発生が少ない。

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