この記事では「石の上にも三年」について解説する。

端的に言えば石の上にも三年の意味は「我慢が大切」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語塾講師で、仏教に詳しいライターのトミー先生を呼んです。一緒に「石の上にも三年」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トミー先生

元国語塾講師で、通信教育で英語と国語の「赤ペン先生」などもやっていた。実はドイツ語が得意で、外国語を学ぶことにより国語を理解するのに役立つと実感している。今回は仏教に由来する慣用句「石の上にも三年」について、語源と意味と使い方を自分でしっかり理解できるよう、わかりやすく解説していく。

「石の上にも三年」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「石の上にも三年」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。「石の上にも三年」の読み方は「いしのうえにもさんねん」で、ことわざとして用いられていますね。石の上に3年間座り続けて修行をする、というイメージを思い描いてください。そんなことはとてもできないと考える人も多いでしょうが、ことわざですので、それが何を意味しているのか考えてみることにしますね。

「石の上にも三年」の意味は?

石の上にも三年」には、次のような意味があります。手元にある国語辞典には、次のように書かれていますね。

冷たい石の上でも3年も座りつづけていれば暖まってくる。がまん強く辛抱すれば必ず成功することのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「石の上にも三年」

もともとは、石の上に3年間も座禅をして修行するということなのですが、じっと我慢をし続けていれば、きっといいことがあるという意味の格言になったのですね。勉強にしても仕事にしても人間関係にしても、最初はなかなかうまくいかないことがあっても、しばらく辛抱する覚悟を持ちなさいという教訓が「石の上にも三年」という表現の意味と考えていいでしょう。

「石の上にも三年」の語源は?

次に「石の上にも三年」の語源を確認しておきましょう。このことわざの語源には2つの説がありますから、それを紹介しますね。ひとつめは、古代インドのバリシバ尊者説で、この人はなんと80歳になって出家したというのですね。出家して3年間も石の上で座禅を組んだということで、その偉容を讃えて「尊者」という称号をもらったということですよ。

ふたつめは、人形のダルマのもとになった達磨大師説で、この人は禅の開祖として有名ですね。達磨大師は、寺の裏にある洞窟の岩壁に向かってなんと9年もの間座禅を組んだということなのですね。ということで、石の上に3年どころか、達磨大師は9年間も座禅したというのですから、驚きですね。

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「石の上にも三年」の使い方・例文

石の上にも三年」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

最近の若者は就職してもすぐに転職することを考えているようだが、「石の上にも三年」ということを教えて、同じ職場で我慢するように教えたいな。

何か成果を上げたいと思ったら、「石の上にも三年」と考えて、じっと我慢することが大切ですよ。

石の上にも三年」ということわざがあるように、ある期間本気で努力して学習する必要があります。

すでに説明しましたように、「石の上にも三年」の由来は、冷たい石の上で座禅を組んで修行して悟りを開こうとすることですが、ふつうの使い方としては、じっと我慢していればそのうちきっといいことがある、という教訓を伝えていますね。勉強にしてもスポーツにしても仕事にしても、耐える必要があるのです。

ただ、どこまで耐えればいいのか、その判断はなかなか難しいですね。とくに最近では、パワハラなどがあり、さっさと辞めてしまった方がいい場合もありますから、そのことについても「石の上にも三年」の気持ちでじっくり考えるべきかもしれません。

「石の上にも三年」の類義語は?違いは?

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石の上にも三年」の類義語として、「待てば海路の日和あり」と「雨垂れ石を穿つ」を紹介することにしますね。「海路」は「かいろ」、「日和」は「ひより」、「雨垂れ」は「あまだれ」、「穿つ」は「うがつ」と読みますね。

「待てば海路の日和あり」

このことわざの意味ですが、波や風が激しくてなかなか船を漕ぎ出せないことがあっても、待っていれば必ず天気は良くなって船を出せる時が来る、ということですね。天気はそもそもあるサイクルで変化していくものですから、「待てば海路の日和あり」は「石の上にも三年」よりも少し気楽なニュアンスということですね。

\次のページで「「雨垂れ石を穿つ」」を解説!/

今日はダメでも、「待てば海路の日和あり」ということわざのように、明日は大丈夫かもしれないから、あなたはもっと気長にチャンスを待つことが大事ですよ。

「雨垂れ石を穿つ」

雨垂れ石を穿つ」ということわざは、一滴一滴したたり落ちる雨垂れでも、やがてはその下にある石に穴を開けることができる、という意味ですね。「石の上にも三年」と同じように、じっと辛抱していればそのうちに成功するということですが、雨垂れが石に穴を開けるためには3年どころかもっと気の遠くなるような時間が必要ですね。

雨垂れ石を穿つ」とは言うけれど、一人前の職人になるためには、それくらいの修業が必要だろうね。

「石の上にも三年」の対義語は?

石の上にも三年」は、じっと我慢していれば必ず成功するという意味のことわざですから、その対義語として「三日坊主」を紹介しておきましょう。

「三日坊主」

三日坊主」の読み方は「みっかぼうず」です。「坊主」は僧侶のことですが、ふつうは僧侶になるための修行を始めたばかりの弟子たちのことを指していますから、「三日坊主」は、せっかく僧侶になるための修行を始めたのに、たった3日でそれを辞めてしまうということですね。我慢がない、という意味の慣用句となりますね。

なお、「修業」と「修行」の違いですが、職人になるためには「修業」をし、僧侶になるためには「修行」をするということですから、覚えておいてくださいね。

せっかく学習ドリルを買ってきてあげたのに、うちの子供は「三日坊主」だから困ります。

\次のページで「「石の上にも三年」の英訳は?」を解説!/

「石の上にも三年」の英訳は?

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石の上にも三年」は、「石の上に3年間すわっていること」という意味ですが、それをそのまま英訳してはいけません。「石の上に3年間すわる」ということはあくまでも、もののたとえであって、それほどの辛抱と努力をすれば必ず成功を収めることができるという結果が大事ですね。ということで、英語訳としては、patienceが考えられますね。

「patience」

patienceには、我慢や辛抱という意味がありますが、大変な仕事をやり遂げるには是非とも必要なことですね。

A Japanese proverb "Sitting on a stone for three years" means that we need patience.
「石の上に3年間座る」という日本のことわざは、我慢が必要だという意味です。

「石の上にも三年」を使いこなそう

この記事では「石の上にも三年」の意味・使い方・類語などを説明しました。冷たい石の上にじっと我慢して座っていれば。その石もやがて暖かくなるということですが、実際にそのような辛い修行をした僧侶もいるようですね。そのことに由来するこのことわざは、何かを達成するためには日々の努力が本当に重要だという意味ですね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「石の上にも三年」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

「石の上にも三年」の英訳は?

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石の上にも三年」は、「石の上に3年間すわっていること」という意味ですが、それをそのまま英訳してはいけません。「石の上に3年間すわる」ということはあくまでも、もののたとえであって、それほどの辛抱と努力をすれば必ず成功を収めることができるという結果が大事ですね。ということで、英語訳としては、patienceが考えられますね。

「patience」

patienceには、我慢や辛抱という意味がありますが、大変な仕事をやり遂げるには是非とも必要なことですね。

A Japanese proverb “Sitting on a stone for three years” means that we need patience.
「石の上に3年間座る」という日本のことわざは、我慢が必要だという意味です。

「石の上にも三年」を使いこなそう

この記事では「石の上にも三年」の意味・使い方・類語などを説明しました。冷たい石の上にじっと我慢して座っていれば。その石もやがて暖かくなるということですが、実際にそのような辛い修行をした僧侶もいるようですね。そのことに由来するこのことわざは、何かを達成するためには日々の努力が本当に重要だという意味ですね。

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