この記事では「東奔西走(とうほんせいそう)」について解説する。

端的に言えば「東奔西走」の意味は「忙しく駆け回ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「東奔西走」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「東奔西走」の意味や使い方のまとめ

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それでは、早速「東奔西走」の意味や使い方を見ていきましょう。

「東奔西走」の意味は?

「東奔西走」には、次のような意味があります。まずは、ここからチェックしていきましょう。

あちこち忙しく駆け回ること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「東奔西走」

「東奔西走」という四字熟語の中で、唯一なじみの薄いのが「奔」という漢字ではないでしょうか。したがって、この漢字の字義さえしっかりと押さえておけば、この四字熟語全体の意味を押さえるのもさほど難しくはありません。

「奔」にはさまざまな意味がありますが、中でも「走り回る」「思うままに行動する」といった意味が代表的です。前者の意味を生かしたものでよく知られているのが「東奔西走」で、後者の方は「自由奔放(じゆうほんぽう)」がよく知られています。

この四字熟語が表すのはただ単に走り回っている様子ではありません。実際には、何らかの目的や用事を果たすために忙しく動き回っているイメージを想像するとよいでしょう。

「東奔西走」の使い方・例文

「東奔西走」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「東奔西走」の類義語は?違いは?」を解説!/

せっかく先生方が東奔西走して入試に関する資料を集めてくださったのに、君はそのありがたみを全然理解していないといってよい。

当時の私と仲間たちは教育に関するまったく新しいベンチャー企業を立ち上げるために、まさに東奔西走する毎日であった。

東奔西走といえば、ここのところ営業部のスタッフたちはいつにも増して新商品の売り込みにあちこちと走り回っているらしい。

「東奔西走」の意味がいくら走り回ることといっても、ただ闇雲に走っているわけではありません。そこには、明確な目標というものがあり、それを実現するためにあれやこれや動き回っていいます。

上記三つの例文では、それぞれ「資料の収集」「ベンチャー企業の立ち上げ」「新商品の売り込み」がその目標です。このように「東奔西走」は、目標実現のために動き回っているという点で「右往左往」とは明確に違うといえます。

#2 「東奔西走」の類義語は?違いは?

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では、「東奔西走」と似た意味を持った四字熟語をここで押さえておきましょう。例文も一緒に載せておくので、参考にしてみてください。

「南船北馬」

「南船北馬(なんせんほくば)」は、絶えず忙しく旅行をすることを表す四字熟語です。ここでいう、南や北は漢字の故郷である中国の南部や北部を意味しています。

中国の南部は川や湖が多いことから、古来より船で移動するのが一般的でした。対照的に、北部では平原か山がちな地形で馬に乗って旅行をしたといいます。

このことが転じて、あちこちを旅行して回ることを「南船北馬」と言うようになったというのが代表的な説です。

「粉骨砕身」

「粉骨砕身」もまた、「東奔西走」の類義語だということができます。この四字熟語が表すのは、一生懸命に努力することです。

こちらは文字通り、骨や身も砕けんばかりに頑張っている様子が表されています。たしかに、「東奔西走」には走り回るという意味合いはありません。

しかし、何かの目的に向かって努力を惜しまない様子は「東奔西走」と似ているといって差し支えないのではないでしょうか。

\次のページで「「東奔西走」の対義語は?」を解説!/

定年で仕事を退職した後は、これまで苦労をかけた妻と一緒に国内外で南船北馬を楽しみたいと思っている。

名だたる諸先輩を差し置いてこのプロジェクトを任されたからには、成功へと導くべく粉骨砕身していく所存です。

#3 「東奔西走」の対義語は?

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一方、「東奔西走」対義語にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、代表的なものを二つ紹介していきます。こちらも、最後に例文を付けておきますね。

「飽食終日」

「飽食終日」は、食べること以外に何もせず一日を無駄に過ごしてしまうことを表した四字熟語です。「飽食」は、飽きるほどご飯を食べる様子を表しています。

また、「終日」は一日中という意味です。「東奔西走」があちこち走り回っている「動」だとすれば、「飽食終日」は移動をしない「静」だと捉えることができます。

その意味で、この四字熟語は「東奔西走」の対義語であるといえるでしょう。

「無為徒食」

「無為徒食」もまた、何もしないでただ過ごすことを表した言葉です。したがって、こちらも「東奔西走」の対義語だといえます。

「無為」の部分が表しているのは、何も為さないということです。一方の「徒食」は、ただ食べるだけの様子を意味しています。

このとき「徒」は、「ただ~のみ」という意味で用いられていることには注意が必要です。

みんなが資金を調達するのに奔走しているというのに、君はといえばまさに飽食終日じゃないか。

うちの大将は、いったい何だってあんな無為徒食の輩にご飯と寝る場所を与えてやっているのだろう。

#4 「東奔西走」の英訳は?

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では、最後に「東奔西走」を英語で表現するとどうなるのか、いっしょに見ていきましょう。

\次のページで「「constantly on the move」」を解説!/

「constantly on the move」

四字熟語の「東奔西走」は、英語で「constantly on the move」を用いることで表現することが可能です。この英語表現は、「絶えず動き回っている」と直訳されます。

ただし、本来の「東奔西走」のように何か目的をもってそうしているという意味合いは含まれていません。この部分をカバーしたい場合は、「in order to ~」や「so that ~」のような表現とともに」用いるのがよいでしょう。

「run here, there and everywhere」

「run here, there and everywhere」もまた、「東奔西走」を英訳したもののひとつです。この英語表現の後半にある「here, there and everywhere」は、あちらこちら至るところを意味しています。

つまり、「run」と合わせれば、「あちらこちらを走り回る」というのが元々の意味です。こちらも、目的を表す表現とともに用いた方が、さらに「東奔西走」の意味に近づけることができるでしょう。

「東奔西走」を使いこなそう

この記事では「東奔西走」の意味・使い方・類語などを説明しました。この四字熟語は、東西に忙しく走り回る様子を表すものです。

ただし、闇雲にではなくきちんと目的を持って走り回っている点がキーワードだといえます。そのことにさえ注意していれば、いろいろな場合に使えそうですね。

反対にきちんと理解できていないまま使用すると、相手に誤解を与えてしまうかもしれません。その辺りを頭に入れて使うようにするとよいでしょう。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「東奔西走」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

この記事では「東奔西走(とうほんせいそう)」について解説する。

端的に言えば「東奔西走」の意味は「忙しく駆け回ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「東奔西走」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「東奔西走」の意味や使い方のまとめ

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それでは、早速「東奔西走」の意味や使い方を見ていきましょう。

「東奔西走」の意味は?

「東奔西走」には、次のような意味があります。まずは、ここからチェックしていきましょう。

あちこち忙しく駆け回ること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「東奔西走」

「東奔西走」という四字熟語の中で、唯一なじみの薄いのが「奔」という漢字ではないでしょうか。したがって、この漢字の字義さえしっかりと押さえておけば、この四字熟語全体の意味を押さえるのもさほど難しくはありません。

「奔」にはさまざまな意味がありますが、中でも「走り回る」「思うままに行動する」といった意味が代表的です。前者の意味を生かしたものでよく知られているのが「東奔西走」で、後者の方は「自由奔放(じゆうほんぽう)」がよく知られています。

この四字熟語が表すのはただ単に走り回っている様子ではありません。実際には、何らかの目的や用事を果たすために忙しく動き回っているイメージを想像するとよいでしょう。

「東奔西走」の使い方・例文

「東奔西走」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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