物理物理学・力学理科

「ガリレイ変換」と「座標変換」を理系ライターがわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。今回はガリレイ変換と座標変換について解説していくぞ。

ガリレイ変換とは座標変換の一種だ。座標変換はそれほど難しくはない概念であるが、とても重要な概念だ。ガリレイ変換とともに座標変換の基本について学んでみよう。

今回は物理学科出身のライター・トオルさんと解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/トオル

物理学科出身のライター。広く科学一般に興味を持つ。初学者でも理解できる記事を目指している。

ガリレイ変換と座標変換について

image by iStockphoto

ガリレイ変換とは座標変換の一種であり、特に相対運動に対する座標変換の一種です。座標というものは人間が自由に設定していいものですが、どんな座標を設定しても運動は同じであるために、座標同士には厳密な対応関係が成り立たなければなりません。これは片方の座標が片方に対して運動している場合でも成り立つことです。

しかし、運動している座標、すなわち運動している視点から見た場合は運動が違って見えることがあります。動いている電車の中でボールを落とした場合、外から見たらどうなるかを考えてもらえればいいでしょう。このような場合を分析する場合にも座標変換が有効です。慣性力という妙なものが座標変換を調べることによって簡単に解析できます。

さらに一見単純な概念である座標変換は対称性という概念と関係していて、対称性は現在物理学の最重要な概念の一つです。意外と奥深かい座標変換について見ていきましょう。

ガリレイ変換について

ガリレイ変換について

image by Study-Z編集部

まずはガリレイ変換から見ていきましょう。左の図をみてください。静止している座標系をSとします。それに対して速度v0で動いている座標系がS’です。Sが静止している人、S’が電車などで動いている人から見た視点と考えればいいでしょう。ここで重要なのがv0が定数ということであり、これはずっと同じ速度で動いている意味というです。

簡単のため時刻0で二つの座標がぴったり重なっていて、S’がx軸方向にのみ動いているとします。適当な位置に質量mの物体があるとし、座標系Sでの位置が(x,y)、座標系S’では(x’,y’)であると考えてください。するとxとx’、yとy’の関係は右の一番上の式になります。これがガリレイ変換です。

ここで両座標でのニュートンの運動方程式の関係も見ておきましょう。運動方程式とは質量と加速度の積が加えられた力に等しいという意味の式です。ガリレイ変換の式をv0が定数であることに注意して、時間で2回微分すると最後の式がでてきます。最後の式は、ようするに座標系SとS’での運動方程式は等しいという意味です。

これはSでもS’でもニュートンの運動法則がまったく同じように成り立つということを意味しています。このようにニュートンの運動法則がそのまま成り立つ座標系が慣性系です。静止系はもちろん慣性系ですので、今回の結果は慣性系をガリレイ変換しても慣性系になるという意味になります。慣性系が保存するとは座標変換しても慣性系が成り立つという意味です。

直線運動の座標変換

直線運動の座標変換

image by Study-Z編集部

次はガリレイ変換をより一般化しましょう。ガリレイ変換はv0がずっと一定の場合でしたが、速度が変化する場合はどうすればいいでしょうか。簡単のために、今回もS’はSに対してx軸上のみを移動するとします。そうすると、xとx’の関係は右の一番上の式です。ここでx0はSから見たS’の原点のx座標になります。

前回と同様に関係式を両辺時間で微分し、S座標系でのニュートンの運動方程式に代入したのが下から二番目に式です。ここでFx’は一番式の式になります。この式は、Sに対するS’の加速度に質量をかけてマイナスをつけたものです。これが慣性力になります。電車や車が急に止まった時に感じるあれです。

慣性力はSに対するS’の加速度を消すような形で働くことを覚えておきましょう。S’の運動が速度一定の場合、慣性力が0となり前回と同じ結果がでてくるのがわかるかと思います。

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直線の相対運動に対する座標変換で、速度が一定のものがガリレイ変換と呼ばれるものだ。慣性系のガリレイ変換は慣性系だ。速度が一定でなければ、慣性系でなくなり慣性力がでてくることも覚えておこう。

回転変換

回転変換

image by Study-Z編集部

直線運動をやったので、ついでに回転運動の場合も見ておきましょう。今度は静止している座標系Sに対して、S’は原点を中心にして角速度ωで回転しているとします。t=0で二つの座標は重なっていたとすると、Sに対するS’の角度はωtです。S’系はメリーゴーランドに乗っている人、S系はメリーゴーランドの中心で回転せずに立っている人をイメージすればいいでしょう。

直線運動と同様に、任意の点であるS系で(x,y)の点に質量mの物体があるとします。これをS’の(x’,y’)に変換する式が右の上の式です。少しややこしいので色をつけておきました。xCosωtが青色、ySinωtがオレンジ色で二つを足したものがx’になります。同様にyCosωtが緑色で、そこからxSinωtであるピンクを引いたものがy’です。

その下はこの関係を逆にして(x,y)を(x’,y’)で表したものになります。一見ややこしいですが、一つずつ丁寧に図で確認していくとそれほど難しくないことがわかるはずです。

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