化学

天才科学者「フリッツ・ハーバー」はどんな人物?現役講師がわかりやすく解説

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この海外旅行の時、ハーバーは日本に2か月ほども滞在した。じつは、ハーバーの研究を金銭的にサポートした日本人がおり、そのお礼もかねての旅だったんだ。

旅行中には各国の化学者から歓迎を受け、ドイツでは多方面で研究成果を出すなど、充実した生活を送っていたハーバーでしたが、そんな生活を一変させる事態が起きます。ドイツにおけるナチスの台頭です。

ハーバーが代表を務めていたたカイザー・ヴィルヘルム物理化学研究所。ここに複数のユダヤ人を雇っていたハーバーに対し、ナチスからユダヤ人を減らすよう命令が下ります。

そもそもハーバー自身がユダヤ系の出身でしたが、若い時にユダヤ教からプロテスタントへ改宗しており、さらに化学での研究が国に貢献していることも評価されていたので、彼自身が粛清を受けることはありませんでした。

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The Nobel Foundation – http://nobelprize.org/chemistry/laureates/1918/index.html, パブリック・ドメイン, リンクによる

それでもユダヤ人差別を良しとしないハーバーは辞表を書き、研究所を去ります。国内外で新しい仕事を探しますが、「毒ガス博士」のイメージから風当たりが強かったこともあり、なかなか一か所に腰を落ち着けることができませんでした。

1934年、これから新しい国へ移動しようとしているさなか、スイスのバーゼルで体長が急変し息を引き取ります。国のために尽くし、最後には国に裏切られた科学者の、65年の生涯でした。

image by Study-Z編集部

ハーバーの業績

アンモニアの合成法「ハーバー・ボッシュ法」

ハーバーのノーベル賞受賞理由にもなった「ハーバー・ボッシュ法」は、空気中にふくまれる窒素と、メタンから取り出した水素を原料にしてアンモニアを作り出す技術です。

窒素分子の結合をバラバラにするためには、かなりの高温高圧状態にしなければならないのですが、ハーバーとボッシュは触媒を工夫することで、その障害を乗り越えました。

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yu_onozuka