この記事では「千変万化」について解説する。

端的に言えば千変万化の意味は「局面や状況が変化し続けていること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「千変万化」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「千変万化」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「千変万化(せんぺんばんか)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「変」は「べん」とも読みます。また、まれに「万化」を「ばんけ」という読むことがあるようですが、基本は「ばんか」のほうを知っていれば大丈夫です。

「千変万化」の意味は?

「千変万化」には、次のような意味があります。使われている漢字に特徴があるので、意味は予想がつくかもしれませんが、正確な意味を知っておきましょう。

1.局面や状況などがさまざまに変化してきわまることがないこと。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)

「千変万化」は、簡単に言うと「さまざまに変化し続けること」という意味になります。変化するのは何かというと、世の中であったり、状況や環境です。

なお、「千」と「万」は数が多いことを示しています。ほかの熟語や慣用句でもよく登場しますね。「変」と「化」のほうは変わることを表しており、とくに「変」と「化」の漢字の違いによって意味の違いを持たせているわけではありません。

「千変万化」の語源は?

次に「千変万化」の語源を確認しておきましょう。中国の「列子」に書かれている周の穆王(ぼくおう)の話がもとになっています。

穆王が領内の巡視しているとき、何でもできるというに偃師という者に出会いました。偃師が器用な動きをする人形を見せると、穆王は如何様にも変化する動きの複雑さに驚いたという出来事があったとされています。このことから話が広まり、変化に富んだ物事を千変万化と呼ぶようになったそうです。

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「千変万化」の使い方・例文

「千変万化」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.千変万化する世の中を渡るには、経験を積んだり読書などで知識をつけることも大切だ。
2.入念に計画してイベントを企画したが、要望に応えるうちに千変万化してしまった。

いずれの例文も、変化するのは「物事」で人ではありませんね。変化する物事に対して、人がどう対応していくかという例文が多くなっていますよ。

1.の「世の中」のように抽象的な事柄について使うこともありますし、2.のように具体的な計画などにも使うことがあります。ただ、やはり物事が主語なので、「千変万化」するのは意図的ではないということは共通していますね。

「千変万化」の類義語は?違いは?

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それでは、「千変万化」の類義語についての説明です。ほぼ同じような意味を表しますが、ニュアンスの違いをチェックしておきましょう。

「二転三転」

「千変万化」の類義語には、「二転三転(にてんさんてん)」があります。意味は、「物事の内容や状態、成り行きなどが何度も変わること」です。

「千、万」は大きな数字なので数が多いことが伝わりますが、「二、三」のほうは数は小さいものの繰り返しているようすが伝わります。表現方法は違いますが、変化が多かったり繰り返されているようすがイメージできますね。

「転」のほうは、日本語では真っ先に「転がる」という意味が浮かぶかもしれませんが、「転じる」という意味で「変わる」につながっています。

\次のページで「「万物流転」」を解説!/

「万物流転」

もう一つの類義語として、「万物流転(ばんぶつるてん)」があります。意味のほうは、「この世にあるすべてのものは絶え間なく変化し続けること」です。

「万物」の部分は、たくさんのものというよりは「全てのもの」という意味で使っています。「流転」の「流」は川の流れなどのように留まらずに動き続けているという意味があり、「転」は「二転三転」ででてきたとおり「変わる」という意味です。

「千変万化」の対義語は?

次は、「千変万化」の対義語についての説明です。見た目には意味がわかりにくいものもあるので、詳しく意味を確認しましょう。

「永久不変」

「千変万化」の対義語には、「永久不変(えいきゅうふへん)」があります。意味は、「いつまでも果てしなく続いて変わらないこと」です。

意味は「ずっと変わらないこと」ですが、その主語は環境や状態のほか人の精神的なものであることが多くなっています。人が主語なら、気持ちや決意などが相当しますね。

また、「永久不変」は、哲学者のニーチェが唱えた「永劫回帰(えいごうかいき)」とも類義語の関係です。これまで生きてきた経験は繰り返される、そして、繰り返される内容は変わらないということから「永久不変」と「永劫回帰」は近い意味としてとらえられています。

「千古不易」

もう一つの対義語は、「千古不易(せんこふえき)」です。意味は「永遠に変化しないこと」で、価値などが変化しないという意味でも使われます。「千古」は、太古の意味で遠い昔や長い年月のことを指し、「易」は「変わる」という意味で使われて「不易」で「変わらないこと」を表しますよ。

「千」が「万」になった「万古不易(ばんこふえき)」や「万世不易(ばんせいふえき)」としても、「千古不易」と全く同じ意味で使うことができます。

「千変万化」の英訳は?

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最後に、「千変万化」の英訳について見ていきましょう。ほぼ意味のそのままの表現になっていますが、それぞれの単語の意味を正確に確認しておくといいですね。

「infinite variety」

「千変万化」の英訳には、「infinite variety」があります。直訳すると「無限の変化」となり、限りなく変化があるという意味です。ただ、「variety」を多様という意味でとらえると、「千差万別」という意味で受け取ることもできるので要注意ですね。

ほかには、「innumerable changes」と表現すると、「数え切れない変化」という意味から「千変万化」の英訳として使うことができます。

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「千変万化」を使いこなそう

今回の記事では「千変万化」の意味・使い方・類語などを説明しました。「千変万化」は「目まぐるしく変化し続ける」という意味ですが、「千変万化」する物事がよいわけでも悪いわけでもなく事実を伝える表現です。

そのため、「千変万化」する物事に対して、人はどうするのかという場面で使われることが多くなっています。変化に対して、人はどう対応していくのかということですね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「千変万化」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「千変万化」について解説する。

端的に言えば千変万化の意味は「局面や状況が変化し続けていること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「千変万化」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「千変万化」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「千変万化(せんぺんばんか)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「変」は「べん」とも読みます。また、まれに「万化」を「ばんけ」という読むことがあるようですが、基本は「ばんか」のほうを知っていれば大丈夫です。

「千変万化」の意味は?

「千変万化」には、次のような意味があります。使われている漢字に特徴があるので、意味は予想がつくかもしれませんが、正確な意味を知っておきましょう。

1.局面や状況などがさまざまに変化してきわまることがないこと。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)

「千変万化」は、簡単に言うと「さまざまに変化し続けること」という意味になります。変化するのは何かというと、世の中であったり、状況や環境です。

なお、「千」と「万」は数が多いことを示しています。ほかの熟語や慣用句でもよく登場しますね。「変」と「化」のほうは変わることを表しており、とくに「変」と「化」の漢字の違いによって意味の違いを持たせているわけではありません。

「千変万化」の語源は?

次に「千変万化」の語源を確認しておきましょう。中国の「列子」に書かれている周の穆王(ぼくおう)の話がもとになっています。

穆王が領内の巡視しているとき、何でもできるというに偃師という者に出会いました。偃師が器用な動きをする人形を見せると、穆王は如何様にも変化する動きの複雑さに驚いたという出来事があったとされています。このことから話が広まり、変化に富んだ物事を千変万化と呼ぶようになったそうです。

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