この記事では「獅子奮迅」について解説する。

端的に言えば「獅子奮迅」の意味は「獅子が奮い立って猛進するような激しい勢い」のことですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

学習塾経営者で国語が得意な「ぼすこ」を呼んです。一緒に「獅子奮迅」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ぼすこ

国立大学教育学部卒業後、学習塾を経営。読書好きが高じて蓄えた幅広い知識と、得意教科である国語力で、四字熟語をわかりやすく解説していく。

「獅子奮迅」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「獅子奮迅」の意味や語源・使い方など、基本的な内容を押さえていきましょう。

「獅子奮迅」の意味は?

「獅子奮迅」の意味を辞書で調べると次のようになります。

1.獅子が奮い立って猛進するような激しい勢い。また、勇猛に戦うさま。


出典:大辞林第三版(三省堂)「獅子奮迅」

「獅子(しし)」とは、ライオンのこと。「奮迅(ふんじん)」の「奮(ふん)」は気持ちが高揚すること、「迅(じん)」は激しく、また素早いことを表す漢字です。

サバンナを獲物を追って駆け抜けるライオンの姿を想像してみてください。すさまじい表情と勢いですよね。他の何者にも邪魔できないような迫力を感じます。そのライオンの様子のように、周囲を圧倒するような勢いで何かをすることを表した四字熟語が「獅子奮迅」です。

「獅子奮迅」の語源は?

「獅子奮迅」の意味を確認したところで、次にその語源についても見ていくことにしましょう。

「獅子奮迅」は元々仏教で使われていた言葉で「師子奮迅」と表記していたこともあるそう。もっとも古いものでは、大乗仏教の経典である「法華経」や「般若経」の中で、「獅子奮迅」の言葉を見つけることができます。元は、「お釈迦様が気分を高め勢いを持つと、周りの人々や邪な教えを圧倒するほどであった様子」を表していました。

次第に仏教以外の場でも「獅子奮迅」の言葉が使われるようになり、お釈迦様の様子としてだけでなく、「周囲を圧倒するほどの勢い」を表す言葉と変化していったのです。

\次のページで「「獅子奮迅」の使い方・例文」を解説!/

「獅子奮迅」の使い方・例文

では、「獅子奮迅」をどのように使えばよいのか、例文を見ていきましょう。

1.締め切りが迫り、チーム全体が焦りと不安で気持ちが沈む中、彼は若手らしく獅子奮迅の勢いで仕事をこなした。
2.不利な相手との試合だったが、試合開始より獅子奮迅の勢いで攻め、無事勝利を掴んだ。
3.普段はおとなしく淡々と仕事をこなす印象だった彼女が、新しいプロジェクトでは獅子奮迅の働きを見せ、周囲を驚かせた。

「獅子奮迅」には、「ライオンのような猛烈な勢い」という意味があります。ただし、「獅子奮迅」を使う時には、ただ勢いがあればよいのではなく、その勢いが周囲を圧倒するほどのものであることが求められるということです。「敵味方関係なく、圧倒されるような勢い」というと相当のもの。「獅子奮迅」はそれほどすごい勢いを指すので、使う時には少し注意したいポイントです。

古くは「獅子奮迅する」という動詞でも使われていましたが、現代では動詞としての使い方にはあまり馴染みがありません。動詞として使っても日本語として間違いではないですが、「獅子奮迅の勢い」や「獅子奮迅の働き」といったように、後ろに「の勢い」や「の働き」などをつけて使うのが妥当でしょう。

「獅子奮迅」の類義語は?違いは?

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「獅子奮迅」と似た意味を持つ言葉を探してみました。どんなものがあるのか、早速見ていきましょう。

「面目躍如」

「面目躍如(めんぼくやくじょ)」は、その人が持つ実力を存分に発揮して活躍する様子を表す四字熟語です。力を発揮して活躍するという点では、「獅子奮迅」と似ていますね。二つの違う点は、「獅子奮迅」の方は、周囲の人を圧倒する、という点でしょう。「面目躍如」は、実力を発揮できるだけで、人を圧倒するほどの気持ちの高ぶりはありません。

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「力戦奮闘」

「力戦奮闘(りきせんふんとう)」は、気力を奮い立たせて力の限り戦う、という意味の四字熟語です。力には、体力だけでなく気力という意味も含まれるので、気持ちを奮い立たせる「獅子奮迅」とは、似たところがあります。「獅子奮迅」と違うのは、力の尽くし方。「力戦奮闘」は全力を尽くすほどですが、「獅子奮迅」には力を使い切るという意味はありません。

また、「獅子奮迅」は結果を残す意味合いが強いですが、「力軍奮闘」は力を尽くしたことが重要で結果は伴わないときにも使われます。「力軍奮闘」の場合には、「力を尽くしたければ惜しくも負けてしまった」ような場面での使われ方の方がふさわしそうですね。

「獅子奮迅」の対義語は?

「獅子奮迅」の対義語には、次のようなものが挙げられます。

「春風駘蕩」

「春風駘蕩(しゅんぷうたいとう)」は、元々の春風がのどかに吹いている様子から転じて、ゆったりのんびりした様子や人柄を表す四字熟語です。ライオンのように激しく早く猛進する「獅子奮迅」とは、真逆の様子を表していますね。

ただ、「春風駘蕩」のような人柄の方が「獅子奮迅の活躍」することもないわけではありません。まったくの逆の言葉であると言い切れないところが日本語の難しさを感じるところです。

似たような意味を持つ四字熟語に「悠々閑々(ゆうゆうかんかん)」というものもあります。こちらもゆったりのんびりとした様子を表すのですが、ゆったりさは「春風駘蕩」より上です。ただし、ゆったりすべきではない場面で使うべき四字熟語なので、使い所には注意しましょう。

「獅子奮迅」の英訳は?

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「獅子奮迅」の意味にはいくつかのニュアンスがあるため、一言で「獅子奮迅」を表現できる英単語はありません。意味によって伝わりやすい英単語を紹介します。

「furiously」

激しい、猛烈に、という意味を持つ英単語です。「獅子奮迅」の勢いだけを表現するのならば、この英単語が明確に伝わるでしょう。

「with irresistible force」

「獅子奮迅」を少し堅苦しくした表現です。「irresistible」は「抵抗できない、抗えない」、「force」は「力」をいう意味の単語なので、「獅子奮迅の勢いで」という訳になります。「獅子奮迅」が持つ「周りを圧倒する」ほどの力強さを表現するには、こちらの訳がぴったりでしょう。

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「獅子奮迅」を使いこなそう

「獅子奮迅」について、基本的な内容から関連する言葉まで、さまざまなことを見てきましたね。「獅子奮迅」は文字からも意味は読み取りやすい四字熟語ではありますが、似たような意味を持つ四字熟語が多く、細かい意味の違いをきちんと知っておくことが大事だと感じました。

「敵味方関係なく周囲を圧倒する」というニュアンスがあることについても触れましたが、さすがは百獣の王ライオンの名前が入る四字熟語ですね。「獅子奮迅」の意味を思い出すときには、ぜひライオンを想像してもらうと、意味も思い出しやすくなるのではないか、と思います。

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【四字熟語】「獅子奮迅」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「獅子奮迅」について解説する。

端的に言えば「獅子奮迅」の意味は「獅子が奮い立って猛進するような激しい勢い」のことですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

学習塾経営者で国語が得意な「ぼすこ」を呼んです。一緒に「獅子奮迅」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ぼすこ

国立大学教育学部卒業後、学習塾を経営。読書好きが高じて蓄えた幅広い知識と、得意教科である国語力で、四字熟語をわかりやすく解説していく。

「獅子奮迅」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「獅子奮迅」の意味や語源・使い方など、基本的な内容を押さえていきましょう。

「獅子奮迅」の意味は?

「獅子奮迅」の意味を辞書で調べると次のようになります。

1.獅子が奮い立って猛進するような激しい勢い。また、勇猛に戦うさま。


出典:大辞林第三版(三省堂)「獅子奮迅」

「獅子(しし)」とは、ライオンのこと。「奮迅(ふんじん)」の「奮(ふん)」は気持ちが高揚すること、「迅(じん)」は激しく、また素早いことを表す漢字です。

サバンナを獲物を追って駆け抜けるライオンの姿を想像してみてください。すさまじい表情と勢いですよね。他の何者にも邪魔できないような迫力を感じます。そのライオンの様子のように、周囲を圧倒するような勢いで何かをすることを表した四字熟語が「獅子奮迅」です。

「獅子奮迅」の語源は?

「獅子奮迅」の意味を確認したところで、次にその語源についても見ていくことにしましょう。

「獅子奮迅」は元々仏教で使われていた言葉で「師子奮迅」と表記していたこともあるそう。もっとも古いものでは、大乗仏教の経典である「法華経」や「般若経」の中で、「獅子奮迅」の言葉を見つけることができます。元は、「お釈迦様が気分を高め勢いを持つと、周りの人々や邪な教えを圧倒するほどであった様子」を表していました。

次第に仏教以外の場でも「獅子奮迅」の言葉が使われるようになり、お釈迦様の様子としてだけでなく、「周囲を圧倒するほどの勢い」を表す言葉と変化していったのです。

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