今回は「アレルギー」について勉強していこう。

アレルギーの代表である食物アレルギーは、一昔前は「ただの食わず嫌い、食べれば治る」のように思われていたのを知っているか?

アレルギーの原因や症状について、化学的な視点からライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.アレルギーの種類

アレルギーと聞いて、あなたはどんなものを思い浮かべますか?代表的なアレルギーの種類をまとめました。

1-1.食物アレルギー

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アレルギーの代表ともいえる食物アレルギーは、その名の通り食品によるアレルギーです。卵や小麦、そばなどが一般的ですが、お肉やフルーツなど、その種類は多岐にわたります。摂取後に運動することで発症するアレルギーがあることも知っていましたか?

今の子育て世代では広く認知されている食物アレルギーですが、祖父母世代から上の年代では「ただの好き嫌いでしょ?」という認識の人も多いでしょう。食べたいのに食べられないつらさ、誤って食べてしまった場合のリスクを、アレルギー持ちではない人も理解したいですね。

1-2.花粉アレルギー

毎年花粉の時期はマスクや箱ティッシュが必須という人も多いでしょう。今や日本人の半数近くが何かしらの花粉にアレルギーを持つといわれています。スギやヒノキが有名ですが、ブタクサやイネなど、その時期によって複数のアレルギーを持つ人も少なくありません。薬でいくらか症状を抑えられるとはいえ、長期に症状が及ぶのは大変なことです。

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1-3.動物アレルギー

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動物に対してアレルギーを持つ人もいます。動物の毛であったり、動物に付着しているダニにアレルギーがあったり、触りたいけど触れないという人もいるでしょう。食物アレルギーや花粉アレルギーの人よりも接する機会は少ないかもしれませんが、よくあるアレルギー原因です。

1-4.薬物アレルギー

もう1つ知っておきたいのは、薬品に関するアレルギーです。注射をするときにアルコール消毒をしますが「消毒でかぶれたことはありますか?」と質問されたことはありませんか?医療のために用いる薬品であっても、人によってはアレルギー物質となってしまう場合があります。もし何か薬を飲んで体調の異変を感じたときは、すぐに病院に行くことが大切です。

2.症状と反応メカニズム

アレルギーによる症状は人ぞれぞれです。軽いものであれば皮膚のかぶれ、赤みが出る程度で済むでしょう。くしゃみや鼻水、目のかゆみが出るのは花粉やハウスダスト、動物でのアレルギーによくあります。重篤な症状になると気管支が腫れあがることで呼吸困難になることもあるでしょう。ではこれらを引き起こす原因は何なのでしょうか。

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食物アレルギーを例にして考えてみましょう。

アレルギーを引き起こす食物(アレルゲン)が体内に入ると、体内に入った異物を生体内から除去するはたらきを持つ特異IgE抗体が生成されます。通常はこの抗体によってウイルスなどの異物が取り除かれ、免疫機能が維持されているのです。つくり出された抗体はマスト細胞という細胞に結合するのですが、再びアレルゲンが体内に入り込むと、マスト細胞からアレルギー症状を引き起こすヒスタミンなどの化学物質が放出されてしまいます。アレルゲンに対して「異物が入ってきた!」と過剰に反応してしまうことにより、アレルギー反応に変わるのです。

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3.アレルギーテスト

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では、これらのアレルギーはどのように知ることができるのでしょうか。病院で行われるのは、血液検査とパッチ検査の2種類です。

血液検査では、血液を採取することによってアレルギーの有無を判定することができます。ただし精度はそれほど高くなく、陰性だからといって全くアレルギーがでないとは限りません。同様に陽性だからといって直ちに食事制限等をする必要もないでしょう。

パッチ検査では、特定の物質を付けた試験紙(または金属等そのもの)を直接肌に当て、反応をみることで判断するものです。アレルギーには反応が即座に出るものと数日経って現れるものがあるので、それを判断するのに向いています。アルコールへの耐性を簡易的にチェックする方法としても用いられるでしょう。

その他、プリックテストと呼ばれる、専用の針でアレルゲンを肌に押し当てて反応を見るという方法もありますよ。

4.アレルギー治療

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花粉症のような予め予防策がとれるものに関しては、薬を飲んだり病院で治療を受けるのが一般的でしょう。動物アレルギーや金属アレルギーでは、アレルゲン物質に触れないことが重要です。気を付けていても完璧に防ぐことのできない食物アレルギーについては、抗ヒスタミン薬の飲み薬や、アナフィラキシーショックに対してアドレナリン自己注射薬を用いることもあります。しかしこれらはどれも一時的なものです。

食物アレルギーや花粉アレルギーでは、アレルギーの原因となる物質を少量ずつ注射や経口摂取し、原因物質に対する反応を弱めていくアレルゲン免疫療法という方法があります。時間は多少かかりますが、原因物質に体が慣れていくことで過剰な反応(アレルギー)を抑える効果があるのです。

他人事じゃないアレルギー症状

赤ちゃんから大人まで、年齢を問わず発症する可能性のあるアレルギーは、まず原因を特定することが何より大切です。特に患者数の多い食物アレルギーでは同時に複数の食べ物を食べている場合が多く、摂取した食べ物のどれが原因なのが、どの成分が関わっているのかを調べることから始まります。

子どもの頃に発症するケースが多いものの、後天的にアレルギーとなる場合も少なくありません。自分の身体を守ってくれるはずの抗体が過剰に反応することで起こるのがアレルギーです。この反応を緩やかにすることで症状が落ち着くことから、最近では治療の方法も増えてきています。ある特定の野菜や果物、魚介類などを食べた後にじんましんや息苦しさ、吐き気のような異常が出た場合は適切な治療を受けるようにしてくださいね。

 

画像引用:いらすとや

" /> かつては食わず嫌いと認識されていた?「アレルギー」を元塾講師がわかりやすく解説 – Study-Z
理科環境と生物の反応生物

かつては食わず嫌いと認識されていた?「アレルギー」を元塾講師がわかりやすく解説

今回は「アレルギー」について勉強していこう。

アレルギーの代表である食物アレルギーは、一昔前は「ただの食わず嫌い、食べれば治る」のように思われていたのを知っているか?

アレルギーの原因や症状について、化学的な視点からライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.アレルギーの種類

アレルギーと聞いて、あなたはどんなものを思い浮かべますか?代表的なアレルギーの種類をまとめました。

1-1.食物アレルギー

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アレルギーの代表ともいえる食物アレルギーは、その名の通り食品によるアレルギーです。卵や小麦、そばなどが一般的ですが、お肉やフルーツなど、その種類は多岐にわたります。摂取後に運動することで発症するアレルギーがあることも知っていましたか?

今の子育て世代では広く認知されている食物アレルギーですが、祖父母世代から上の年代では「ただの好き嫌いでしょ?」という認識の人も多いでしょう。食べたいのに食べられないつらさ、誤って食べてしまった場合のリスクを、アレルギー持ちではない人も理解したいですね。

1-2.花粉アレルギー

毎年花粉の時期はマスクや箱ティッシュが必須という人も多いでしょう。今や日本人の半数近くが何かしらの花粉にアレルギーを持つといわれています。スギやヒノキが有名ですが、ブタクサやイネなど、その時期によって複数のアレルギーを持つ人も少なくありません。薬でいくらか症状を抑えられるとはいえ、長期に症状が及ぶのは大変なことです。

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